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ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: おーちゃん


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29話


 表紙には、フィンの言っていた通り『闇を封ずべき光の記録』と書かれている。


「フィン、これだろ? 無事に取り返したぞ」


 俺はフィンに本を手渡した。


「ありがとうございます! さすがコウイチさんです!」


 フィンは瞳を輝かせて、さっそく本をめくり始めた。


「どれどれ。魔王軍の四天王に対抗する手段は」


 ライラとエルザも、フィンの手元を覗き込む。


 何やら険しい顔に。


 どうしたのかな?


 早く読んでくれ。


「四天王はそれぞれの属性を司っています。でも、共通する弱点があるはずなんです」


 フィンがページをどんどんめくっていく。


 しかし、フィンの指がピタリと止まった。


「え? そんな、嘘でしょう?」


「どうしたのよ、フィン」


 ライラが顔を寄せた。


「ページが。一番大事な後半のページが、全部破られています!」


 フィンの叫びが静かな図書館に響いた。


 俺が本を覗き込むと、確かにギザギザの切り口があった。


 嘘だろ!


 大事な部分のページがない。


「さっきの奴らが、逃げる間際に破ったのか!」


 俺は拳を握りしめた。悔しいが、これでは内容がわからない。


「空間把握、再起動!」


 俺は魔力を集中させ、図書館全体の気配を読み取った。


 まだ近くにいると思う。


 すると不自然な魔力の揺らぎがある。


「上だ! 図書館の屋上に向かってる!」


「逃がさないわよ! 追いかけるわよ、みんな!」


 ライラの合図で、俺たちは螺旋階段を一気に駆け上がった。


 逃がすかよ!


「コウイチさん、待って、あがっ!」


 フィンが階段で足をもつれさせたが、俺は彼女の腕を掴んで引っ張り上げた。


「今は転んでる暇はないぞ、フィン!」


「はい! 死ぬ気で登ります!」


 屋上がある。外に出れそうだ。


 きっと外の屋上にいるはず。


「屋上に行けそうです!」


「行くよ!」


 屋上へと続く扉を蹴り破ると、冷たい夜風が吹き抜けた。


「誰かいるぞ! 私が切る」


「待て待てライラ」


 そこには、一人の男が立っていた。


 青白い肌に、尖った耳。


 背中にはコウモリのような翼が生えている。


 こいつが破いたページを持っていそうだな。


 いい奴には見えないからな。


「やはり来たか。絆の勇者とその仲間たちよ」


 男の手には、本から破り取ったページが握られていた。


「お前、カースの仲間か?」


 俺が剣を構えると、男は不敵に笑った。


「私は四天王カース様が刺客、空裂のザガン。この街ごと、この忌々しい知識を消し去るのが私の役目だ」


「やはり四天王カースの仲間か」


「返しなさい、そのページを」


「返すかよ」


「力で取り戻せってことかよ。しかしコウイチ、こいつの魔力はヤバいぞ」


「ヤバいな」


 ザガンという名前だった。


 圧倒的な魔力を感じる。


 先程のは単なる手下に過ぎないほどの差がある。


 ザガンが空に向かって手を掲げた。


 すると、図書館の真上に巨大な魔法陣が展開された。


「な、なんて魔力なの。この魔法が発動したら、図書館どころか街の半分が吹き飛ぶわ!」


 エルザが杖を構えながら、声を震わせた。


 バカな!


 こんな魔法を図書館の上でやる気か。


 絶対に阻止しないとマズい!


「やらせるかよ! ライラ、行くぞ!」


「了解! 俊足!」


 ライラがジグザグに走り、ザガンの死角を突く。


 ザガンは空中に浮き上がり、風の刃を放ってきた。


「液体化!」


 俺は腕を液体に変え、風の刃を弾き飛ばした。


「シロ、陽動だ!」


「わんっ!」


 シロが屋上の壁を蹴り、ザガンの顔面目掛けて飛びかかる。


「邪魔だ、獣め!」


 ザガンがシロを振り払おうとした瞬間、俺は「魔力譲渡」をフィンに送った。


「フィン、あいつの足止めを!」


「任せてください! 古代の重圧、かかれー!」


 フィンのブレスレットが光り、ザガンの周りの重力が急激に増した。


「ぐおっ!? 体が重い!」


 ザガンの動きが鈍った。


 いいぞ、フィン。


「今だ、エルザ! 魔法陣を狙え!」


「聖なる光よ、空を貫け! シャイニング・レイ!」


 エルザの放った光の柱が、空の魔法陣を直撃した。


 バリバリと音を立てて魔法陣に亀裂が入る。


「おのれええ! 下等な人間どもが!」


 逆上したザガンが、手に持っていたページを燃やそうとした。


「それはさせないわ!」


 ライラが空中で一回転し、ミスリル剣でザガンの腕を切り裂いた。


 ザガンの手から、パラパラと紙片が舞い落ちる。


 やった、落としたぞ!


「ページが! 飛ばされる!」


 フィンが叫んだ。


 俺は「空間把握」で紙片の動きを完全に読み切った。


 プニに頼もう。


「プニ、回収を頼む!」


 俺の肩から飛び出したプニが、空中で体を広げてページをすべて包み込んだ。


 ナイスだプニ!


 これでページは回収した。


「よし! あとはお前を倒すだけだ!」


 俺は魔導鋼の剣に全員の魔力を集めた。


「絆の共鳴、リミット解除!」


 剣が黄金色に輝き、夜空を照らす。


「これが俺たちの、みんなの力だあああ!」


 俺は屋上の床を蹴り、空中のザガンへと接近した。


「馬鹿な。人間の魔力がこれほど、ぐあああ!」


 俺の剣がザガンの胸を貫いた。


 ザガンの体は黒い灰となって、夜風の中に消えていった。


「やったぞ!」


 同時に空の魔法陣もきえた。


 図書館は破滅せずに済んだな。


「勝ったのか?」


 俺は屋上に着地し、荒い息を整えた。


「やったわ、コウイチ! 完璧だったわよ!」


 ライラが駆け寄ってきて、俺の背中を叩いた。


 プニが俺の元に戻り、体の中から無傷のページを吐き出した。


「ありがとう、プニ。よくやったな」


「ぷるん!」


 フィンがページを急いで本に挟み直した。


「ページは揃いました! これで全部ですので読めますよ」


 エルザも安堵の表情で空を見上げた。


「街を守れてよかったです。コウイチさん、ありがとうございます」


「俺一人の力じゃないさ。みんながいたからだ」


 俺は仲間の顔を順番に見た。


 ドジなフィンも、頼れるライラも、優しいエルザも。


 みんなが俺の、本当の宝物だ。


 俺たちは星空の下で、勝利の喜びを分かち合った。


 四天王カース。


 次はお前の番だ。

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