表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: おーちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/65

27話


 宿が用意されていたな。


 行ってみたい。


 ギルドでの大騒ぎを終えて、俺たちは用意された宿へと向かった。


 そこは王都の貴族街に近い場所にあるという。


 「白銀の竪琴亭」という宿だ。


 貴族街という地域があるらしい。


 いわゆるセレブの住む地域ってことかな。


 日本での生活からしたら考えられない話だな。


 確かに歩いている人の服装が違うな。


 門構えからして、今まで泊まったどの宿よりも豪華だった。


「ここ、本当に私たちが泊まっていいの?」


 ライラが建物の大きさに圧倒されて、声を震わせている。


「ギルド長からの招待状があります。大丈夫ですよ」


 俺は受付にギルドのカードと書状を提示した。


 これで大丈夫だと思うが。


「お待ちしておりました、コウイチ様。最上階のスィートルームへご案内します」


「最上階のスィートルーム?」


「はい、そうです」


「いいのですか?」


「書状に書かれていますので」


「お願いします」


 執事のような格好をした従業員が、深々と頭を下げた。


 俺たちはふかふかの絨毯が敷かれた廊下を歩いていく。


 ギルド長の書状には最上階のスィートルームと。


 書いてあるのだし、案内してもらった。


「絨毯が、絨毯が沈みます! 足が吸い込まれるようです!」


 フィンが興奮して足元をキョロキョロ見ている。


 案の定、彼女は自分の足に絡まって前のめりに倒れた。


「あわわっ! 顔面から高級絨毯の感触を堪能しました!」


「フィン、静かにしなさい。恥ずかしいわよ」


 ライラが顔を赤くしてフィンの襟首を掴んだ。


 フィンの気持ちも理解できる。


 俺も何だか落ち着かないな。


 案内された部屋は、もはや一つの家くらい広かった。


 大きなリビングにはシャンデリアが輝いている。


 窓からは王都の夜景が一望できた。


 マジかよー!


「すごい。ベッドが雲みたいに真っ白でフワフワです!」


 エルザがベッドを指で押して驚いている。


 シロはさっそく部屋の隅っこで、高級そうなクッションの上に陣取った。


「わふん」


「シロ、お前は順応するのが早いな」


 俺は笑いながらシロの頭を撫でた。


「コウイチさん、見てください! お風呂が、お風呂が部屋についています!」


 フィンの叫び声で、俺たちは奥の部屋へ向かった。


 そこには大理石で作られた大きな浴槽があった。


 しかも、蛇口をひねると魔法の石が光り、すぐにお湯が出てくる。


「これなら全員で入っても余裕ね!」


「さすがに俺は別で入るよ」


 俺は苦笑いしてライラにツッコミを入れた。


 風呂付きの部屋には驚いた。


 入浴したいというので、みんな入浴する。


 俺はライラ達とは別に入浴。


 凄い豪華。気持ちいい。


 日本でも有名な温泉宿があるが、また違う格式のある雰囲気だな。


 お風呂でさっぱりした後、俺たちはリビングに集まった。


 テーブルの上には、宿のルームサービスで頼んだ豪華な食事が並んでいる。


「乾杯しましょう! 私たちのこれからの大活躍を祈って!」


 エルザが果実水のグラスを掲げた。


「乾杯!」


「乾杯!」


「乾杯!」


 カチン、とグラスが鳴り、俺たちの宴が始まった。


 料理はどれも絶品だった。


 料理も貴族の料理だ。


 最高級のホテルの料理の感じだ。


 こんなの食べていいのかな。


 柔らかいローストビーフに、濃厚なチーズのパスタ。


「オーク肉も美味しかったけど、やっぱりプロの味は違うわね」


 ライラがソースをパンにつけて、幸せそうに頬張っている。


「コウイチさん、あーんしてください! このフォアグラ、とろけますよ!」


 フィンがフォークを差し出してきた。


「自分で食べろって。ほら、口の横にソースついてるぞ」


 俺が拭いてやると、フィンは嬉しそうにえへへ、と笑った。


 日本にいた頃は、コンビニの弁当を机で食べてばかりだった。


 それとポテトチップにパンにカフェラテとかのパターン。


 日本の生活になれた俺には贅沢過ぎるな。


 深夜に一人、冷めたご飯を食べる毎日は、味なんてしなかった。


 でも今は、温かい料理と、大好きな仲間たちの笑い声がある。


「ねえ、コウイチ。あんた、本当にこの世界に来てくれて良かったわ」


 ライラが少し酔ったような顔で、俺の肩に寄り添ってきた。


「私、あんたがいなかったら、今頃まだ独りで戦ってたと思う」


「俺もだよ、ライラ。みんながいてくれるから、俺は俺でいられるんだ」


 俺は正直な気持ちを口にした。


「絆、ですね」


 エルザが優しく微笑んだ。


「はい! 絆パワーです! 私は転んでも、コウイチさんが起こしてくれるって信じてますから!」


 フィンが胸を叩いて豪語した。


「いや、フィン。なるべく転ばないように努力はしてくれよ」


 俺が言うと、部屋中にまた笑い声が広がった。


 夜も更けて、みんなそれぞれの寝室へ戻っていった。


 俺はリビングのバルコニーに出て、夜風に当たった。


 王都の夜は静かである。


 魔王軍が遠くにいるとか信じられない風景。


「さて、明日からも頑張るか」


 俺は自分の手を見た。


 この手には、仲間を守るための力がある。


 翌朝、俺は誰かの叫び声で目を覚ました。


「大変です! コウイチさん、起きてください!」


 フィンの声だ。


 俺が慌ててリビングへ行くと、彼女が手紙を持って震えていた。


「ドアの下に、これが挟まっていました!」


 手紙の封筒には、不気味な紫色の紋章が刻印されていた。


 それは、ザルガスが持っていた大鎌の模様と同じだった。


 俺は息を呑んで、その手紙を開封した。


 『絆を紡ぐ者よ。王都の地下で、お前たちの招待を待っている。四天王が一人、カースより』


「四天王! もう動き出したっていうの?」


 ライラが険しい表情で俺の隣に立った。


「招待って、罠に決まってます!」


 エルザが不安そうに手紙を見つめている。


 俺はゆっくりと手紙を握りしめた。


「準備が整えば行こう。放っておいたら、この街が危ない」


 俺の言葉に、仲間たちが力強く頷いた。


 せっかくの高級宿での休息は、急に現実に戻された。


 でも、俺たちの心は少しも折れていない。


「まさか王都にまで忍び寄ってきているとはな」


 俺の声に、シロが「ワン!」と元気に答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ