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ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: 奥野ミズオミ


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21話

 フィンが遺跡の隠し通路を発見。



 その道を抜けて、俺たちは街を出た。



 目の前には広い街道が続いている。

空気は暖かくて、とても気持ちがいい。



 ザルガスとの戦いでボロボロだった心も、少しずつ元気になってきた。



「よし、みんな! 王都に向けて出発だ!」



 俺が声を上げると、仲間たちが元気に返事をした。



「ようやく街に行けるわね。剣の手入れもしたいわ」



 ライラが腰の剣を叩いて笑う。



「私は王都の大図書館が楽しみです!」



 エルザが瞳を輝かせた。



「私は新しいメガネと、あと転んでも壊れない靴が欲しいです!」



 フィンが鼻息を荒くして言った。



 彼女はさっきから、何もない道で三回も転んでいる。



「わふん!」



 シロもしっぽをブンブン振っている。



 プニは俺の肩の上で、日差しを浴びて気持ちよさそうだ。



 街道を半日ほど歩くと、小さな村が見えてきた。



 煙突から煙が上がっていて、どこか懐かしい匂いがする。



「コウイチさん、あそこを見てください! 看板に温泉マークが書いてあります!」



 フィンが指を差した。



 彼女はその勢いで、道端の溝に落ちそうになった。



 温泉みたいだな。寄って行きたい。



 日本みたいに温泉がこの世界にも多くあるようだ。



「危ないって。でも温泉か。いいな」



 俺たちはその村に寄ることにした。



 村の名前は「ゆらり村」というらしい。



 名前の通り、のんびりした空気が流れている。



 小さな村だな。農村って感じする。



「いらっしゃい。旅の人かい? 温泉ならあそこだよ」



 村のおばあさんが親切に教えてくれた。



 俺たちはさっそく、村の共同浴場へ向かった。



 温泉は男女別だった。



 俺はシロと一緒に男湯に入る。



 ザブーン! とお湯に浸かった瞬間、思わず声が出た。



「ふあぁぁ。極楽だあ」



「くぅ~ん」



 これは最高だ! 寄って大正解だな。



 日本人には嬉しい。



 シロもお湯が気持ちいいのか、目を細めている。



 ダンジョンでの死闘。重い荷物を背負っての移動。



 全ての疲れがお湯に溶けていくみたいだ。



 壁の向こうからは、女子たちの賑やかな声が聞こえてくる。



「きゃあ! フィン、泳いじゃダメよ!」



「すみません! 足が滑って潜っちゃいました!」



「もう、フィンさんは目が離せませんね。ほら、背中を流してあげます」



「ありがとうございます、エルザさん!」



 ライラたちの笑い声を聞きながら、俺は天井を見上げた。



 ブラック企業の時は、お風呂なんてシャワーで済ませることが多かった。



 ゆっくりお湯に浸かるなんて最高だ。



 仲間と一緒に旅をして、温泉に入る。



 こんな幸せが、この世界にはある。



 温泉から上がると、みんなの肌がつやつやしていた。



「生き返ったわね。コウイチ、顔色が良くなったわよ」



 ライラがポカポカした顔で笑う。



「温泉の力ってすごいです! 魔力まで回復した気がします!」



 エルザも嬉しそうだ。



 フィンは、脱衣所で服を着る時にボタンを掛け違えていた。



 俺は教えてあげたら、苦笑いする。



 シロにはタオルで乾かしてあげる。



 元気になったっぽいな。



 この村にはまた来たいと心底思った。



 温泉村で一晩ゆっくり休んだ俺たちは王都を目指した。



 ずっと居たいけども、そうもしていられない。



 俺達には目的もあるからな。



 街道を進むにつれて、すれ違う馬車や旅人の数が増えてきた。



 明らかに大都市に近くなってきている感じ。



 そして、丘を越えた瞬間。



 目の前に、とてつもなく大きな街が現れた。



「うわあ。すごい!」



 俺は言葉を失った。



 それは、今まで見たこともないような巨大な大都市だった。



 高い石造りの壁が街を囲んでいる。



 中には尖った屋根の建物がぎっしりと並んでいた。



 中央には、真っ白なお城がそびえ立っている。



「あれが王都『アステリア』よ。この国で一番大きな街ね」



 ライラが誇らしげに言った。



「あの中に、知識の宝庫があるんですね!」



 フィンが鼻血を出しそうな勢いで興奮している。



 門の前には長い行列ができていた。



 疑問があるのでエルザに聞いてみると、



「なぜ行列があるのか?」



「王都は警備が厳しい。入るのにギルドの許可証だったり、身分を証明させるのです」



「なるほど、門で怪しい人物とかを見ているのだな」



「私たちはギルド許可証がありますから問題ないです」




 エルザの言う通りにした。



 順番を待って、門番の兵士にギルド証を見せた。



「よし、通っていいぞ。歓迎するよ、旅の諸君」



 通れたな。ちょっと怖そうな感じしたけど。



 大きな鉄の門をくぐると、そこは別世界だった。



 人、人、人で溢れかえっている。



 露店からは美味しそうな匂いが漂くう。



 吟遊詩人が竪琴を弾いている。



 魔法で動く噴水や、宙を浮く掃除道具まである。



 これが王都なのか。大都市な感じだ。



「すごい活気だな。新宿や渋谷よりすごいかも」



「シンジュク? シブヤ? 何のことですか?」



 エルザが不思議そうに聞いてくる。



「いや、俺の故郷にある賑やかな場所のことだよ」



 俺は笑って誤魔化した。



「お腹が空きました! コウイチさん、何か食べましょう!」



 フィンがお腹を鳴らして訴えてきた。



 そういえば、温泉村を出てから何も食べていないな。



「私も食べたい」



「俺も食べたいな。お店を探そう」



「いいお店を知ってるわ。こっちよ」



 ライラが知っているみたい。



 ライラが先頭に立って、裏路地にある隠れ家のような食堂へ案内してくれた。



 看板には大きな鳥の絵が描いてある。



「いらっしゃい! 威勢のいいパーティーだね!」



「こんにちは」



「いい雰囲気です」



「お店の研究をしたいです」



 店主が迎えてくれた。



 俺たちはおすすめの「王都名物・ドッカン鳥の丸焼き」と、たっぷり野菜のシチューを注文した。



 運ばれてきた料理を見て、全員の目が釘付けになった。



 鳥の丸焼きは黄金色に輝いていて、肉汁が溢れている。



 美味しそうだな。食欲そそる。



「いただきまーす!」



「美味そう!」



 俺は大きな肉を口に放り込んだ。



「うまっ! 何これ、めちゃくちゃ柔らかい!」



「本当ね! スパイスが効いてて最高だわ!」



 ライラも夢中で食べている。



「シチューも美味しいです! 野菜が甘くて、体が温まります」



 エルザが幸せそうに目を細める。



 フィンはというと、大きなスプーンでシチューを飲もうとして、鼻にシチューを突っ込んでいた。



「あ、あふぉぉ! 鼻がシチューです!」



「フィン、落ち着きなさいってば」



 俺は笑いながらナプキンを渡した。



 シロにはお店の人が特別に骨付き肉をくれた。



 シロは「ハフハフ」と言いながら、美味しそうに肉を噛み砕いている。



 プニは俺の皿の横で、お裾分けしたパンを体の中に取り込んでいた。



 お腹いっぱい食べて、心も体も満たされた。



「こんなに美味しいもの、ブラック企業の給食じゃ絶対に出なかったな」



「コウイチ、またそのブラックなんとかの話? 本当にひどい場所だったのね」



 ライラが心配そうに聞いてくる。



「ああ。でも、今はもういいんだ。みんなとこうして美味しいものを食べられるから」



 俺が言うと、仲間たちが優しい笑顔を返してくれた。



 何もわからない王都にて、良い店に出会った。



 王都にいる時はまた利用したいな。



 食事が終わると、次は今夜の宿探しだ。



「せっかくだから、少し良いところに泊まりましょうよ。コウイチさん、お金はたっぷりありますよね?」



 フィンが悪い顔をして笑う。



 ダンジョンで魔王軍を倒した時に、ザルガスが持っていた金貨をたくさん手に入れていた。



「ああ、奮発しよう。みんな頑張ったしな」



 俺たちは街の中央近くにある「黄金の馬車亭」という宿屋に決めた。



 ここは冒険者御用達の宿で、サービスが良いことで有名らしい。



 見た感じも悪くはないし。



「いらっしゃいませ。五名様と一匹ですね。お部屋は二つ、隣同士でお取りしました」



 綺麗なフロントの女性が微笑む。俺とシロが一部屋。



 ライラ、エルザ、フィンが一部屋だ。



 プニはどっちにも自由に行き来する。



 部屋に入ると、フカフカの大きなベッドが並んでいた。



 窓からは王都の夜景が見える。



 魔法の明かりが街を彩っていて綺麗だな。



「最高だな」



 俺はベッドに倒れ込んだ。



 シロも横に飛び乗ってきて、丸くなる。



 コンコン。



 隣の部屋からライラたちが遊びに来た。



「コウイチ、部屋の使い心地はどう?」



「最高だよ。これならぐっすり眠れそうだ」



「本当ですね。王都に着いたんだなあって、実感が湧いてきました」



 エルザが窓の外を見ながら。



「明日はギルドに行って、魔王軍のことを報告しないとな」



 俺が言うと、みんなの表情が少し引き締まった。



「ええ。四天王候補のザルガスを倒したんだもの。きっと大騒ぎになるわよ」



 ライラがニヤリと笑う。



「私の知識も役に立つはずです! 古代文字の調査依頼も受けてきますね!」



 フィンが鼻息を荒くしたら、また自分の足に引っかかって俺のベッドに転がった。



「あわわ。失礼しました!」



「ははは。フィン、王都でも変わらないな」



 俺たちはしばらくの間、これからの冒険について語り合った。



 魔王軍との戦い。まだ見ぬ四天王。



 そして、この広い世界のどこかにいるであろう、他の転生者たちのこと。



 でも、今は難しいことは考えない。



 大切な仲間と一緒に、この安らぎを味わいたい。



「みんな、おやすみ。明日は忙しくなるぞ」



「おやすみなさい、コウイチさん」



「おやすみ、コウイチ。風邪引かないようにね」



 仲間たちが自分たちの部屋に戻っていく。



 俺は部屋の明かりを消した。



 シロの穏やかな寝息が聞こえてくる。



 俺はステータスを確認した。



『絆結び』のスキルが、仲間たちとの繋がりを教えてくれる。



 レベルも上がり、頼もしい仲間も増えたな。



 俺は明日のことを考えつつ、深い眠りに落ちる。



 王都アステリアでの物語は、まだ始まったばかりだ。

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