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ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: 奥野ミズオミ


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22/22

22話

 フカフカのベッドから目が覚めた。



 窓からは明るい朝日が差し込んでいる。



 シロが俺の顔をぺろぺろと舐めてきた。



「わかった、わかったよシロ。おはよう」



 俺は体を起こして、大きく伸びをする。



 隣の部屋に仲間たちがいるけど、起きたかな。



 今日一日、楽しみにいきたい。



 女子たちの部屋へ行くと、ちょうど準備が終わったところだった。


「起きたかな?」



「おはよう、コウイチ! よく眠れた?」



 ライラが元気に声をかけてくる。



「おはよう。バッチリだよ」



「コウイチさん、おはようございます。今日もいい天気ですね」



 エルザがニコニコしながら挨拶してくれた。



「お、おはようごじゃいま、あいたたた!」



 フィンが挨拶をしようとして、自分の足に引っかかって転んでいた。



 彼女のメガネが、俺の足元まで飛んできた。



「フィン、朝から絶好調だな」



 俺は苦笑いしながらメガネを拾って渡した。



「よし、朝飯を食べたらギルドに行こう」



 俺たちは宿の食堂で朝食を済ませた。



 う〜〜んいい香り。



 焼きたてのパンと、新鮮なミルク。



 これだけで幸せな気分になれる。



 準備を整えて、俺たちは王都の冒険者ギルドへと向かった。



 昨日からギルドに行くと決めていたから。



 報告したいこともある。



「うわあ。大きい」



 目の前に現れた建物を見て、俺は圧倒された。



 今まで見てきたどの支部のギルドよりも巨大だ。



 大理石で作られた豪華な建物。



 そこには、世界中から集まった凄腕の冒険者たちがいる空気。



 きっと強い有名なパーティーも居るのだろうな。



 漫画とかで憧れた世界だな。



「ここが王都の総本山よ。気合を入れなさい、コウイチ」



 ライラが俺の背中をバシッと叩いた。



 俺たちは勇気を出して、大きな扉をくぐった。



 中はものすごい熱気だった。



 装備を自慢する男たちや、難しい顔で依頼書を見る魔法使い。



 俺たちが中に入ると、一瞬だけ視線が集まった。



 でも、すぐに興味を失ったように逸らされる。



「まあ、新米に見えるわよね。私たち」



 ライラが言う。確かに若いし、ルーキーみたいに思われたのかな。



 気にしないで行こう。



 俺たちは受付へと向かった。



 そこには、仕事ができそうな美人の女性が座っていた。



「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」



「地下迷宮の調査報告に来ました。魔王軍の幹部、ザルガスを討伐しました」



 俺が静かに言うと、受付の女性の手が止まった。



 あれ、女性が手を止めた。



 変なこと言ったかな。



「はい? 今、何とおっしゃいましたか?」



「魔王軍四天王候補、ザルガスを倒しました」



 俺がもう一度はっきり言うと、周囲の空気が凍りついた。



「ハハハ! おいおい、聞いたかよ今の!」



 背後から大きな笑い声が聞こえた。



 振り返ると、派手な鎧を着た大男がこちらを見て笑っていた。



 誰だこいつは。



 明らかにバカにした笑いだな。



 彼の周りには、同じように強そうな冒険者たちが集まっている。



「ザルガスと言えば、数々のAランク冒険者を葬ってきた化け物だぞ」



「それをそこの若造と、女子供のパーティーが倒したって? 冗談も休み休み言えよ」



 男は俺たちの前に歩み寄ってきた。



 身長は二メートル近くある。ものすごい威圧感だ。



「ぼうず、ここは王都だ。嘘をついて有名になろうなんて考えない方がいい」



 男は俺を見下して鼻で笑った。



「嘘じゃありません! 私たちは本当に戦ったんです!」



 エルザが勇気を出して言い返した。



「へぇ、その杖も飾りじゃなさそうだが。どうせ魔物が相打ちになったところでも見つけたんだろ?」



 男の言葉に、周りの冒険者たちもクスクスと笑い始めた。



 ライラが剣の柄に手をかけたが、俺はそれを手で制した。



「嘘だと思うなら、これを見てください」



 俺はアイテムボックスから、ザルガスの大鎌の破片を取り出した。



 禍々しい闇の魔力が、破片から漏れ出している。



 これで信じてくれるかな。



「これは」



 受付の女性の顔色が変わった。



 俺が嘘を言っていないと女性は感じたっぽい。



 でも、目の前の大男はまだ信じようとしない。



「そんなもん、どこかの遺跡で拾ってきたガラクタだろ」



 男は俺の胸ぐらを掴もうとしてきた。



 こいつは本当に面倒な奴だな。



 あまり関係を持ちたくないのだが、しつこいな。



「おい、ぼうず。嘘つきはギルドから追放されるのが決まりだ」



「どうしても信じられないなら、試してみますか?」



 俺は男の目を真っ直ぐに見つめて言った。




「俺と勝負して、あんたが勝ったら嘘を認めます。でも俺が勝ったら、報告を正式に受理してください」



 ギルド内が、どよめきに包まれた。



「面白い。Aランク冒険者のこの俺、ヴォルグ様に喧嘩を売るとはな」



 ヴォルグと呼ばれた男は、凶悪な笑みを浮かべた。



 俺たちはギルドの裏にある訓練場へ移動した。



 ギルドの冒険者たちが、ぐるりと俺たちを囲んでいる。



 面白いから見学に来たらしい。



 どう見てもヴォルグが圧勝すると思っているな。



 Aランクだと言っていたが。



「コウイチ、大丈夫なの。ヴォルグはAランクよ?」



「みんなの力が俺にはあるさ」



「わかったわ。信じる」



 エルザが心配そうに。



「大丈夫だよ。今のコウイチなら負けない。あいつはパワーだけなら本物よ。油断しないで」



 ライラが鋭いアドバイスをくれた。



「わかってる。サクッと終わらせてくるよ」



 ヴォルグは身の丈ほどもある大剣を抜いた。



「武器はいいのか、ぼうず?」



「これで十分です」



 俺はいつもの使い慣れた剣を構えた。



「死んでも恨むなよ!」



 ライラの忠告通りにパワーはありそう。



 力任せに来そうだな。



 ヴォルグが地響きを立てて突進してきた。



 その大剣が、凄まじい風切り音を立てて振り下ろされる。



 「空間把握」起動。



 俺の脳内に、ヴォルグの動きがスローモーションのように映し出された。



 筋肉の動き、重心の移動。



 どこに攻撃が来るか、すべて丸見えだ。



 「俊足」を使って、俺は紙一重で大剣をかわした。


 

 ドォォォン!



 訓練場の地面が、ヴォルグの一撃で粉々に砕けた。



「ちょこまかと!」



 ヴォルグがさらに剣を振り回す。



 でも、俺には当たらない。



 俺は「液体化」を部分的に使い、相手の攻撃の衝撃を受け流した。



「な、なんだ? 手応えがないぞ!」



 ヴォルグが焦り始めた。液体化はビビったらしいな。



 初めて経験しただろうな。



 俺も攻撃する!



「次はこっちから行きます」



 俺は一気に距離を詰めた。



 「剛力」を腕に込める。



 でも、本気で殴ったら死んでしまうかもしれない。



 俺は剣の柄の部分で、ヴォルグを正確に突いた。



「ガハッ!」



 ヴォルグの大きな体が、くの字に折れ曲がった。



 さらに俺は「俊足」で背後に回り込み、蹴り上げた。



 大きな音がして、ヴォルグが膝をつく。



 ヴォルグの首筋に、静かに剣先を突きつけた。



 圧勝だよな。全員の予想を覆した〜うだな。



「終わりです」



 訓練場が静まり返った。



 誰もが、目の前の光景が信じられないという顔をしていた。



 Aランク冒険者のヴォルグが、新米に見える若造に手も足も出なかったのだから。



「負けた。俺の完敗だ」



 ヴォルグが力なく大剣を落とした。



「あんた、本当にザルガスを倒したんだな。この強さ、疑って悪かった」



 彼は潔く俺に頭を下げた。



 周囲の冒険者たちからも、驚きと感嘆の声が上がった。



「すげえ。あんなに軽々とヴォルグを圧倒するなんて」



「あのパーティー、一体何者なんだ?」



 俺達の噂話に変わった。



 俺やライラへの目線も変わったな。



 下に見る感じじゃない。



 俺は剣を収めて、ヴォルグに手を貸した。



「いえ、あんたの一撃も凄かったです。盾がなかったら危なかった」



 俺が笑って言うと、ヴォルグは照れくさそうに頭をかいた。



「ハハハ、お前いいやつだな! 俺はヴォルグだ。困ったことがあったらいつでも言え!」



 どうやら、新しい絆の種が蒔かれたみたいだ。



 ギルドに戻ると、受付の女性が丁寧に頭を下げた。



「失礼いたしました。コウイチ様、および皆様。報告を正式に受理いたします。すぐにギルド長への面会を手配します」



「ありがとうございます」



 俺たちは周囲の尊敬の視線を浴びながら、ギルドの奥へと進んでいった。



「やったわね、コウイチ!」



 ライラが俺の腕に抱きついてきた。



「さすがコウイチさんです! 私、信じてました!」



 エルザも目を輝かせている。



「私も! 私も信じてましたよ!  あ、あいた!」



 フィンが興奮して跳ねようとして、また椅子の脚で転んだ。



「わふん!」



 シロも誇らしげに胸を張っている。



 王都での生活は、最高のスタートを切った。



 今は、仲間がいて、認めてくれる人がいる。



 俺は、この世界で本当の居場所を見つけたんだ。



 さあ、ギルド長とやらに会うかな。

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