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ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: 奥野ミズオミ


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12/15

12話

 俺たちはルナールの街を出発した。



 水源の問題を解決して、街の人たちにはすごく感謝された。



 美味しい料理も食べたし、最高級の宿でぐっすり眠れた。



 体調は万全だし、来て良かったな。



 俺の「液体化」スキルが役に立って、本当に良かったと思う。



 ブラック企業の時は、自分のスキルなんて「エクセルが少し使える」程度だった。



 でも今は誰かを助けるための本当の力がある。



 それが何よりも俺を前向きにさせてくれているのかな。



「コウイチ、顔がにやけてるわよ」



 ライラが歩きながら俺の顔を覗き込んできた。



「そんなことないって。ただ、天気がいいなと思ってさ」



 俺は照れ隠しする。



「ルナールのスイーツ、また食べたいです!」



 エルザが大きな荷物を背負いながら、楽しそうに。



 ワン!



「シロも同じ、食べたいってさ」



「みんな食いしん坊ってことだね」



 エルザはすっかり俺たちのパーティーに馴染んでいる。



 シロは俺の隣を歩き、時折「ワン!」と元気に鳴く。



 プニは俺のポケットの中で、ぷるぷると心地よさそうに揺れていた。



 街道をしばらく進むと、大きな森の入り口が見えてきた。



「迷いの森みたいよ。さっきの街で教えてくれた」



 「迷いの森」と呼ばれている場所らしい。



 王都へ行くには、この森を抜けるのが一番の近道だ。



「ここからは気を引き締めていこう」



 ライラが腰の剣に手を置いた。



 彼女の表情が、冒険者の鋭いものに変わる。



 俺も「魔力感知」の感度を上げた。



 森の中は、外よりも少しひんやりとしていた。



 大きな木々があるな。



 足元には腐葉土が積もっていて、歩くたびにフカフカと沈む。



「変な感じね。空気が重いわ」



 ライラが鼻をヒクつかせた。



 獣人である彼女の感覚は、俺のスキルとはまた違う鋭さがある。



「コウイチ、何か感じる?」



「ああ。あちこちに小さな魔力の反応がある。囲まれているみたいだ」



 俺は立ち止まって、周囲を警戒した時だった。



「キィィィィッ!」



 高い鳴き声と共に、木の上から黒い影が降ってきた。



「フォレストエイプだわ! 数が多いわよ!」



 ライラが叫ぶと同時に、剣を抜く。



 猿のような姿をした魔物が、十数体も現れた。



 初めて見る魔物だな。



 彼らは木の枝を自在に飛び回り、俺たちを観察している。



 知能が高そうだな。



「私が魔法で!」



 エルザが杖を構えた。



「待って、エルザ! ここは木が密集しすぎているわ!」



 ライラが魔法を制止させる。



 確かに周囲は大木だらけ。



「火魔法を使うと、森ごと燃えちゃう。それは危険よ」



 確かにライラの言う通りだ。



 火災に巻き込まれたら、俺たちまで逃げ場がなくなる。



「じゃあ、俺が」



「いいえ、ここは私に任せて」



 ライラが一歩前に出た。



 彼女の背中が、いつもより大きく見えるな。



「コウイチとエルザは、シロとプニを守ってて」



 ライラはそう言うと、地面を強く蹴った。



 「俊足」のスキルを使っている俺から見ても、彼女の動きは速い。



 スキルに頼った速さだけじゃない。



 長年の訓練と、野生の直感が合わさった動き。



 俺には真似できないな。



 ライラは一番近くにいたフォレストエイプに接近した。



「ハッ!」



 鋭い掛け声と共に、剣を振る。



 魔物の鋭い爪を紙一重でかわす。



 その胴体を一文字に斬る。



 フォレストエイプは悲鳴を上げて地面に転がった。



 いいぞ、ライラ。



 しかし、敵は次々に木の上から飛びかかってくる。



「右だ!」



 俺が援護する。ライラは後ろを見ることなく、剣を背後に回した。

 


 キンッ!



 金属音が響き、魔物の攻撃を完璧に弾き返す。

 


 そのまま体を回転させ、二体同時に斬り伏せた。



「すごい!」



「速い!」



 エルザが驚く。俺も同じ気持ちだった。



 普段は明るくて少しお調子者のライラ。



 でも、戦っている時の彼女は、本物の剣士だ。



 無駄のない動き。迷いのない剣。



 自分が彼女との絆で「剛力」や「俊足」を得た理由を再確認した。



 彼女の中に、これだけの強さがあったからなんだ。



 フォレストエイプたちは、ライラの強さに怯え始めた。



 彼らは距離を取り、木の上から石や木の実を投げつけてくる。



「逃がさないわよ!」



 ライラは木を蹴って、空中に跳んだ。



 まるで重力がないかのような身のこなしだ。



 枝から枝へと飛び移り、逃げる魔物を追い詰めていく。



「ガアッ!?」



 逃げ場を失ったフォレストエイプが、驚きの声を上げる。



 ライラの剣は喉元を貫いた。流れるような動き。



 彼女は一分もしないうちに、残りの魔物たちを全て倒してしまった。



 最後の一体を斬り倒すと、ライラは軽やかに地面に着地した。



 剣を振り、血を払ってから鞘に収める。



「ふぅ。こんなもんね」



 彼女は何事もなかったかのように笑った。



「ライラ、かっこよすぎだろ!」



 俺は思わず駆け寄った。



「本当に! 飛んでいるみたいでした!」



 エルザも目を輝かせて拍手した。



 シロも「ワフッ!」と尊敬の眼差しでライラを見ている。



 ライラは少し顔を赤くしている。



「まあ、これくらいできないと、あんたたちの護衛は務まらないわよ」



 彼女はそう言ったけど、すごく嬉しそうだった。



「俺ももっと、ライラみたいに洗練された動きができるようになりたいな」



 俺は自分の手を見つめた。



 俺の力は、まだ「スキル頼み」なところがある。



 でも、ライラは自分自身の技術で戦っている。



 それがすごく格好いいよな。とても俺にはできない技だな。



「何言ってるのよ。コウイチにはコウイチの戦い方があるでしょ」



 ライラが俺の肩を叩いた。



「あんたがド派手に暴れるために、私が道を切り開いてあげる。それでいいじゃない」



「そうだな。それが俺たちのパーティーだもんな」



 俺は笑って答えた。役割分担はある。



 誰にも得意不得意はある。自分の長所を使えばいいか。



 信頼し合える仲間がいるからこそ、俺は全力を出せるんだ。



 俺たちは再び歩き出した。



 ライラの活躍のおかげで、森は抜けられそうだな。



 魔物たちも、今のライラの戦いを見て警戒しているのだろう。



 しばらくの間、不穏な気配は無かった。



「あ、見て! 綺麗な花が咲いてます!」



 エルザが道端の花を見つけた。



 それは薄紫色をした、透き通るような花だった。



「それは『月光草』ね。夜になると光るのよ」



 ライラが物知り顔で教える。



「へぇ、この世界には不思議な植物がたくさんあるんだな」



 俺は感心した。

 


 夕方になり、森の中に広場のような場所を見つけた。



「今日はここでキャンプにしましょう」



 エルザの提案で、俺たちは準備を始めた。



 俺は「剛力」を使って、大きな薪を集めてくる。



 ライラは手際よく火を起こした。



 エルザは保存食を使って、いい匂いのするスープを作ってくれた。



 シロは俺たちの周りを見回りして、安全を確認してくれている。



 プニは俺の膝の上で、焚き火の光を反射してキラキラ光っていた。



「今日のライラは、本当に凄かったな」



 スープを飲みながら、俺は改めて言った。



「しつこいわね。そんなに褒めても何も出ないわよ」



 ライラは照れくさそうにスープを啜った。



「でも、本当に助かりました。魔法が使えない場所であんなに戦えるなんて」



 エルザも心からの感謝を伝えた。



「私たちはチームなんだから。当たり前のことでしょ」



 ライラはそう言うと、焚き火の火を見つめた。



「私も、最初は一人で戦ってた。でも、コウイチと出会って、誰かのために剣を振る楽しさを知ったの。だから、今日みたいに活躍できるのは嬉しいわ」



 ライラの言葉に、俺は胸が熱くなった。



 絆をライラからも聞いた。この世界に来て、俺が手に入れた一番の宝物。



 スキルの数よりも、その絆の方が、俺には価値がある。



「俺も、皆のためにもっと強くなるよ」



「期待してるわよ、英雄様」



 ライラが笑って、俺の背中をバシッと叩いた。



「痛いって!」



 夜の森で俺たちの笑い声が起きる。



 王都まではまだ少しある。



 でも、この仲間たちとなら、どんな困難も乗り越えられる。



 俺はそう確信しながら、心地よい眠りについた。



 翌朝。



 鳥のさえずりで目が覚めた。



 森の出口は、もうすぐそこだ。



「さあ、出発よ! 王都まであと一踏ん張り!」



 ライラが元気よく声を上げた。



 俺たちは荷物をまとめ歩き出す。



 森を抜けた先に広がる景色は、きっと素晴らしいものだろう。

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