リセマラ六日目②
リセマラにもっと時間をかける予定でしたが、それはまた後日談でも書きます。
「んー。」
ティアが難しい顔をしてスキルブックとにらめっこをしている。
「いまのでスキルブックに書き留めていたスキルは全部よ。クワースたちのものも含めてそれらが全て使えたということは・・・。」
「この世の全てのスキルが使えるかもしれねぇってことか?」
ティアの言葉をクワースが継いで話すと、彼女はうなずく。
「そんなことがありえるか!?」
「正直目の前でスキルを見せられてなければありえないって言いたいけどね。」
驚くガレットに何とも言えない表情でティアは言葉を返し、フィリスに向き合う。
「フィリス、あなたのような存在は前代未聞よ。」
「たはは。」
頭をかきながら困り顔を浮かべるフィリス。
ティアは何やら考え込むような仕草を見せると、フィリスに1つの提案をする。
「ねぇフィリス、私と一緒に協会の本部に行ってくれない?」
「え、なんで??」
戸惑った様子のフィリスは提案の意図が理解できず、ティアに理由を訊ねる。
「理由は3つあるの。まず、先日の襲撃でほこらが崩れてしまい、本部から貸し与えられていた大事な水晶球が壊れてしまったことを報告するため。2つ目は、フィリスのおかげで書き留められたスキルブックを提出するため。3つ目はフィリス、あなたよ。あなたのスキルは未知そのものよ。もしかしたら、睡眠以外にも何か副作用があるかもしれない。協会本部なら何か情報があるかもと思って。」
「確かにこいつのスキルは危ういものかもな。」
ティアの説明にクワースが言葉を重ねる。
「そうかなー使っていてそんな嫌な感じはしなかったよ。」
フィリスは彼らの言葉に心配し過ぎだとでも言うようにかぶりを振る。
「でも、協会本部には一緒について行くよ。もともと僕は自分の目的を果たすために村を出るつもりだったし。」
「村を出て何をするんだな?」
事情を知らないベポがフィリスに問いかける。
そう、フィリスはもともと自分とティアの父親を探すために冒険者になりたかったのだ。
様々なスキルが使えるようになったいま、ティアからの提案を聞くまでもなく冒険者になるために街を出る決意を固めていたのだ。
「うん、実は冒険者になって各地を巡るつもりなんだ。」
「そうかお前、親父さんのことを・・・」
クワースはフィリスの目的を察したのか、神妙な面持ちでフィリスを見つめる。
「フン。軍の人たちも村に常駐する人を寄越してくれるらしいし、村のことは心配せず行くんだな。それに俺たちも特訓して盗賊なぞ素手でも倒せるようになってみせるさ。」「んだな!」「あぁ!」
「うん、ありがとう。」
フィリスが感謝な言葉を述べると、クワースは恥ずかしそうにしてそっぽをむいてしまった。
「素直じゃないんだから。」
そんなやりとりをそばでみていたティアにフィリスは向き直る
「そういうわけだから・・・少し寄り道しながらになっちゃうかもしれないけどいいかな?」
「仕方ないわね、どうせ言っても聞かないだろうし。」
フィリスの言葉にティアはため息交じりの返事をする。
「ありがとう。じゃあ今日はしっかりと準備して、明日の出発でどうかな?」
「そうね。それでいいわ。」
「いつでも帰ってこいよー!」「気をつけてなー!」
翌朝、フィリスとティアは大勢の人たちに見送られて村を出発した。
村を出発まで読んでくださりありがとうございます。次話からは村の外での冒険が始まります。最後までお付き合いいただければと思います。




