リセマラ6日目
盗賊団「サンドイーター」たちとの戦いから一夜。
村からの連絡を受けて国から派遣されてきた軍隊がゲザドルを含めた盗賊団員たちを連行していった。
村は彼らの略奪行為の傷跡が多少残っていたが幸いにも死者はおらず、フィリスのおかげもあって大きな被害はなかった。
その後村人たちは村長のトロスを中心に一致協力して復旧作業にあたっている。
村が日常を取り戻しつつあるなか、村の広場にティアとクワース、ガレット、ベポたちがいた。そこには今回活躍したフィリスの姿はない。
「おはよう!」
「おはようティア(の姉御)(ちゃん)」
「みんなケガが大したことなくてよかった。」
「しかし、あいつら相手に手も足も出なかった。」
「んだな。」「ふがいない。」
「そんなことないよ!あとからみんなの活躍きいたよ?みんなが頑張ったからこそ、フィリスも間に合ったわけだし。」
「あいつに助けられたのはシャクなんだな。」
「助けられといてそんなこと言うもんじゃない。」
「あぃすいません。」
クワースに諭されて首をすぼめるベポ。
「それで、フィリスはどうなんだ?」
クワースの問いかけに首をふるティア。
「今朝はまだ・・・。」
「いつになったら目覚めるんだか。」
フィリスは盗賊団たちとの戦いが終わったあと、突如として気を失って倒れ込んだ。ティアが回復スキルをかけるも効果はなく、20時間以上経ったいまも目覚める気配はまだないようだ。
「もしかしたら、最後に使ったスキルのせいかもしれない。」
「なぁティア。フィリスは一体何のスキルを使ったんだ?」
「それが・・・私にもわからないの。私とリセマラしてた時は結局いいスキルが出なくて、スキルを得てなかったから。私が攫われたあとに儀式をしたんだと思う。」
「そうか。目を覚ましたらどうやってウルトラレアスキルを複数手に入れたのか問い詰めてやらなきゃな。」
「あっ、もうこんな時間!私は家に戻るけど、みんなも来る?よかったらフィリスに声をかけてあげて。みんなの声を聞いたらいじめられると思って飛び起きるかもよ?」
ティアがいじわるそうな笑みを浮かべてクワースたちを誘う。目を覚まさないフィリスは、とりあえずティアの家へと運ばれ、寝かされている。
「別にいじめてたわけじゃねぇし。」
「んだな!フィリスを励まし・・・「おい余計なこと言うんじゃねぇ!」
「ふふっ、皆分かってるよ。両親がいなくなって気を落としていたフィリスを元気づけるためにだよね?みんなに何かいたずらされていた時はあまり考え込まずに済んでいたみたいだし。」
「そんなんじゃねぇし!」
「多少やりすぎているときもあったけどね。」
「だから違うって言ってるだろ!」
クワースは不機嫌そうに口を閉じてそっぽを向いてしまう。
「ふふ、でどうする?」
「せっかくティアちゃんが誘ってくれてるんだし行きましょうよ?」
「・・・そうだな、少し様子を見ていくか。」
クワースは渋々という雰囲気を演出しつつ、ティアについて家へと向かう。
「ただいまフィリス〜」
「おかえり〜」
「・・・えっ?」
ティアは家で一人寝たきりのフィリスに声をかけたつもりだったのだから、返事がかえって来るなぞ予想だにしていなかったため面食らってしまう。
ベッドに目を向けるとそこには少し体を起こしてこちらを見つめるフィリスの姿があった。
「フィリス!起きたのね!」
「ごめんね、心配かけたみたいだね。」
「ホントだよもう!皆も心配して来てくれたんだからね!」
「皆・・・?」
そこへドアからクワースたち3人が入ってきた。
「誰が心配なんかするかよ。」
「んだな。」「そうだそうだ。」
クワースたちは憎まれ口を叩くも、その表情にはどこかホッとしている様子が見てとれる。
「もうーまたそんなこと言って。」
「それよりお前、最後に使ったスキルはなんだ?一体どんな手を使って複数ウルトラレアスキルなんざ手に入れた!」
クワースは照れを隠しのためかフィリスに食ってかかる。
「僕もよく分かっていないんだけど・・・。」
フィリスはティアが攫われてから儀式を行い、そこで起こった不思議な光景を説明する。
「ハッ、10個以上のウルトラレアスキルを得たかもだ?そんな話信じられるかよ。」
「そう言われると確証はないんだけど。何しろスキル名さえ聞き取れなかったからね。」
鼻で笑うクワースにフィリスは自信なさそうに答える。
「他に何か覚えていることはないの?」
「んー、そういえば・・・ウルトラレアスキルの『ウ』だけがやけにハッキリ聞こえていたけど、その間に『ノーマル』とか『スーパー』とかも聞こえた気がする。」
「何だぁ?ウルトラレアスキルだけじゃなくてノーマルとかスーパーレアスキルもたくさん得たとでも言いたいのか?」
クワースはいよいよフィリスの与太話には付き合えないと言わんばかりだ。
「じゃあ試しに何か使ってみろよ?」
「えっと・・・」
フィリスはスキルブックに記録したスキルの中から部屋の中で使っても問題がなさそうなものを思い出してそらんじる。
「『スマイリー』」
フィリスはクワースに向けてスキルを詠唱する。すると確かにスキルは発動し、クワースの顔に笑顔を貼り付ける。
「テメェ。」
クワースは笑顔のままでフィリスにすごむ。
「わ、ごめん。」
「もう。私が解除してあげる。『リステ』」
ティアがスキルを使ってクワースの状態異常を回復する。
「使えたね。他にはどうだろう?」
「俺たちが持ってるレアスキルとかも使えたりしてな?」
「はは、まさか。おでの『ウォータードロップ』とか?」
「まさかね、『ウォータードロップ』」
フィリスが魔力を込めてスキルを使おうとすると、頭上に水の塊が現れた。そのままそれは落下して部屋の中を水浸しにした。
「フィ・リ・ス〜!!」
「ごめんまさか使えるとは思わなくて、あっそういえばこれが使えれば・・・『ドライ』!」
フィリスがノーマルスキル『ドライ』を発動させると、部屋の中の物や服はすぐに乾いた。
「おい、もしかして・・・。」
「・・・んだな。」
「こいつ、スキルを全部使えるんじゃないか?」
その後、場所を移してフィリスは皆が知る限りのスキルを唱えさせられた。そして皆がまさかと思ったとおりフィリスは、その全てを発動させることができたのである。
「ハハ、なんかとんでもないことになっちゃった?」
フィリスのスキルの謎はより深まったのであった。




