リセマラ五日目⑧
フィリスの所有スキルを作者都合で勝手に変えさせていただきました。申し訳ございません。
「『サンドイーター』!」
ゲザドルは渾身の魔力を込めてスキルを発動させる。
村の中心に小さな蟻地獄のようなものができると次第にその大きさを増していき、すぐに家一軒分ほどの広さとなった。その大きさはまだまだ広がろうとしている。おそらく走って逃げても、追いつかれて飲み込まれてしまうほどの速度だ。
「クソッ。あいつは自分が巻き込まれるのを恐れてないのか?」
「自分が助からないスキルを使うわけがないだろうが!『ホバーリング』」
ゲザドルは追加のスキルを唱えて地面から数センチではあるが浮かび上がる。
「これでワシだけは助かるってわけだ。」
ニヤリと笑みを浮かべるゲザドルをフィリスは苦々しげに睨む。
「『プラントマスター』!」
フィリスは植物を操り、蟻地獄の広がりを留めようとするも、その勢いに負けて植物も流されてしまう。
「あぁ、もうダメッ!」
ティアは目をきつく閉じて、フィリスに抱きつく。
「こうなったら、効果はよくわからないけど『あれ』にかけるしか・・・。」
その時、フィリスの脳裏には最後に手に入れたスキルが浮かんでいた。
「ゲハハ、好きなだけ足掻け!一度発動した『サンドイーター』は、俺でさえ止めることができないんだからな。」
ゲザドルは、フィリスたちの足掻く様を見て楽しむつもりで、余裕の表情で観戦を決め込んでいる。
「迷ってる暇はない。よく聞いてティア。いまから僕が使うスキルは何が起こるかわからない。だから決して離れないで。」
「フィリス・・・わかった。」
ティアは、フィリスによりしっかりと抱きつく。
「『ラクリマ』」
フィリスがスキルを発動すると、突如として彼の身体が光に包まれる。
「な、何だ!?」
あまりの輝きにゲザドルも驚きを隠せない。
「一体どうなってるんだ・・・?」
フィリス自身も何が起きているのかわからず、困惑していると、頭の中に直接機械的な声が響いた。
『創造主、万物は全てがあなたの思うがままです。命令してください。』
「命令しろって言われても・・・どういうことだ?」
混乱した頭がますます混乱し、整理がつかないでいるとティアが焦った声をあげる。
「何をブツブツ言ってるの!早くしないと村が!」
蟻地獄が、まさにいま一軒の家を飲み込まんとしていた。
「ええい!よくわからんけどどうにでもなれ!蟻地獄を止めろ!」
『承知しました。』
機械的な声がフィリスの命令に応えた次の瞬間、蟻地獄がピタリと動きを止めた。
「や、やった。」
「助かった!」
「とまったぞー!!!」
安堵の表情を浮かべる村人たちと植物に捉えられたままの盗賊団員たち。
「バ、バカな・・・こんなことがあるはずが・・・。」
一方、顔を蒼白にしたゲザドルは後ずさり、フィリスから離れようとする。
「お前の悪行もここまでだ。あいつを捕えろ。」
『承知しました。』
またもや声が響いたかと思うと、ゲザドルに盗賊団員たちを捕らえている植物が巻き付き、更には岩石や砂が吸い寄せられるように彼の身体へとくっつき彼を何重にも捕えた。
「終わった。」
盗賊団「サンドイーター」たちによる蛮行は、フィリスの手によってここで終わることになったのだった。




