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青春分岐点が増えていく  作者: こむぎ


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決戦は2週間後!!

昼休み。


伊織はお弁当を持って、いつもの場所へ向かうため教室を出た。


すると、後ろから声をかけられる。


「ごめんなさーい!」


「ん?」


伊織が振り返る。


そこにいたのは、童顔で可愛らしい顔立ちをした美少女だった。


「かわいい……」


思わず伊織がそう思っていると、その少女がニコッと笑った。


「もしかして、天川伊織ちゃん?」


「え? う、うん。そうだけど……」


「やっぱり! 噂通りのかわいい子だね!」


「えっ……」


突然褒められて、伊織は驚く。


けれど、すぐに嬉しくなって、


「……えへへ」


と笑った。


「ねえ、いおりん」


「いおりん?」


「うん。そう呼んでもいい?」


「別にいいけど……」


少女は楽しそうに笑う。


「いおりんって、桐生晃星くんって知ってる?」


「……え?」


伊織の表情が一瞬止まる。


(あいつ、またこんなかわいい子に何を興味持たれてんの……)


少しムッとしながらも、平静を装う。


「同じクラスだけど?」


「どんな子かな?」


「どんな子って……」


伊織は少し考えてから答えた。


「バカですけべな奴だよ」


「ふ〜ん?」


少女は楽しそうに聞いている。


「あと……困った人を見過ごせないってくらいかな」


「ふ〜ん? ありがと」


少女は嬉しそうに笑うと、そのまま立ち去っていった。


「……なんだったんだろ?」


伊織は首を傾げながら、その場を後にする。


一方、伊織の姿が見えなくなると――。


少女は足を止めた。


そして髪をまとめると、手際よくツインテールに結んでいく。


「……ふふっ」


その顔には、楽しそうな笑みが浮かんでいた。


そして伊織は、いつもの場所へ向かった。


そこでは、晃星が待っていた。


「おー、伊織ちゃん!」


「あっきー、お待たせ!」


「遅かったじゃん」


「ちょっとね。なんか変な子に声かけられてさ」


「変な子?」


「うん。あっきーのこと知ってる?って」


「俺のこと?」


晃星が首を傾げる。


「そう。まあ、いいや。ほら、お弁当食べよ!」


「そうしよ!」


二人はいつものように並んで昼食を食べ始めた。


そして放課後。


学園よろずやの部室には、いつもの四人が集まっていた。


奈緒が机の上に資料を広げながら、三人を見る。


「誰か、何か案あるかな?」


すると伊織が、待ってましたと言わんばかりに自信満々に胸を張った。


「はい!」


「伊織ちゃん、何か思いついた?」


「危ないところをリフォームして、イベントの時に使うのはどう?」


「イベント?」


「うん。文化祭とか、いろんな場所を必要とする時とかに!」


伊織は自信満々に説明する。


「普段はそのままでも、イベントの時に使えるようにしておけばいいじゃん!」


「なるほどな」


晃星も頷いた。


「それなら危ないところもなくせるし、使い道もできるってことか」


「そうそう!」


しかし虎太は腕を組み、少し考え込む。


「でもなぁ……一年に数回しかないイベントのために、わざわざリフォームして使うってのも、生徒会の案と比べるとイマイチ弱いかなぁ」


「生徒会の案って?」


晃星が聞く。


「私も気になる」


奈緒も続けた。


「どんな案なの?」


虎太は資料を確認しながら説明する。


「旧校舎を取り壊し、有名大学に進学志望を増やすためのエリート用校舎の新築。それと、現状の運動部のフィジカルトレーニングルームの新設だな」


「……なるほど」


晃星が資料を見る。


「確かに、それはそれで……」


伊織も少し考え込む。


「うん……それだけ聞くと、結構ちゃんとしてるね」


奈緒も資料を見ながら考える。


そして、少し間を置いて口を開いた。


「私はね……何か理由があって、クラスに馴染めなかったりする子たちのために使えるような場所にできないかなって思ってたんだ」


「クラスに馴染めない子?」


伊織が奈緒を見る。


「うん。学校に来ても、教室にいるのがちょっと苦手だったり、休み時間に一人で過ごしてたり……そういう子たちが、少しでも安心して過ごせる場所があったらいいなって」


奈緒は穏やかに話す。


「それなら、イベントの時だけじゃなくて、普段から使える場所にするってことか」


晃星が言う。


「そう。誰かに相談したいけど、教室では話しづらいとか、生徒会に行くほどじゃないけど、ちょっと困ってるとか……そういう子たちが気軽に来られる場所」


「それ、よろずやっぽくていいと思う」


伊織も頷いた。


虎太も腕を組んだまま考える。


「確かにな……」


四人は顔を見合わせた。


「じゃあ、奈緒先輩の案を本筋に考えてみる?」


伊織が言う。


「うん。それがいいと思う」


晃星も頷く。


「イベントの時だけ使うより、普段から困ってる生徒が使える場所にした方が、よろずやとしても意味があるんじゃない?」


「よし。じゃあ、その方向で――」


「失礼する!!!」


「うおっ!?」


部室のドアが勢いよく開き、バカデカい声とともに一条龍成が入ってきた。


「……メガボイス」


晃星が思わず呟く。


一条は四人を見回す。


「旧校舎の件で、我々生徒会の案だけではなく、お前達よろずやの案も同時に聞くという、バカバカしい話になっている!」


「え?」


伊織が驚く。


「つまり……俺たちの案も?」


「そういうことだ!」


一条は腕を組む。


「そのための討論会が、二週間後の週末に行われる!」


「討論会……」


奈緒が呟く。


「そこで、生徒会とよろずや、それぞれの案を出して話し合うってことですか?」


「そうだな!!」


一条は淡々と答える。


「まあ、せいぜいがんばれ!」


そう言い残すと、一条は部室を出ていった。


「…………」


しばらく沈黙が流れる。


やがて虎太が資料を見ながら口を開いた。


「二週間か……」


そして顔を上げる。


「二週間でやるだけやるしかないな!」


「うん!」


伊織も力強く頷いた。


「やろう!」


奈緒も頷く。


晃星も資料を見つめながら、気合いを入れ直した。


「よし……やるか!」

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