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青春分岐点が増えていく  作者: こむぎ


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飽きると邪魔したくなるんです

「じゃあ、俺と雅人と結衣ちゃんで買ってくるわ」


あっきーが立ち上がる。


「お願いね。餃子の材料、結構いるからいっぱい買ってきて!」


「了解!」


雅人と結衣も立ち上がる。


「じゃあ行ってくるね」


「いってらっしゃーい!」


三人が玄関へ向かうと、ユタカも立ち上がった。


「じゃあ俺、彼女迎えに行ってくるわ」


「おう。気をつけてな」


「任せろ!」


ユタカも家を出て、美都を迎えに向かった。


一方、あっきーたちはスーパーへ向かう。


「結構買うことになりそうだな」


「餃子パーティーだからな。いっぱい買っとこうぜ」


「これくらいあれば足りるかな?」


「まだいけるだろ」


三人で相談しながら、野菜やひき肉、餃子の皮などを次々とカゴに入れていく。


そしてレジへ向かう途中、あっきーがあるものに気づいた。


「……あ、これ買ってくか?」


雅人もそれを見る。


「いいね。じゃあこれは俺とあっきー二人で金出すか」


「おう!」


そのまま会計を済ませ、三人は買ったものを抱えて家へ戻った。


「ただいまー!」


玄関からあっきーの声が響く。


「おかえりー!」


ママの声が返ってくる。


「あー、ただいま。買ってきたぞー!」


あっきー、雅人、結衣の三人が買い物袋を持ってリビングへ入る。


「おー、この匂いもう美味そう」


あっきーが餃子の匂いに気づいて笑う。


「ありがとう。これで材料も揃ったね」


月姫が買い物袋を覗き込む。


「うん。結構買ってきたぞ」


「じゃあ、まだまだ作れるね」


月姫はそう言って、再び餃子作りに取りかかる。


ママは月姫の隣で作り方を教えながら、二人で餃子の準備を進めていく。


「こうだよね?」


「そうそう。月姫ちゃん、もう完璧だよ」


月姫は教えてもらった通りに手際よく作業を進めていく。


そして、しばらくすると月姫がママを見る。


「ママ、私もう覚えたから」


「ん?」


「もう大丈夫だから、ママは休んでて」


「でも、まだ私も手伝ったほうが――」


「大丈夫だよ。もうちゃんと分かったから」


月姫は優しく笑いながら、ママをソファのほうへ促す。


「ほら、あっちで休んでて」


「ふふっ……じゃあ、お言葉に甘えようかな」


ママがソファへ向かう。


そこでは伊織が気持ちよさそうに眠っていた。


「伊織ちゃんの隣、空いてるから」


月姫が笑う。


ママは伊織の隣に腰を下ろす。


「ありがとう、月姫ちゃん」


「うん。ゆっくり休んでてね」


月姫はそう言ってキッチンへ戻る。


そして、何事もなかったように餃子作りを再開した。


その頃――。


「ただいま〜!」


玄関からユタカの元気な声が響いた。


「あ、ユタカ帰ってきた」


あっきーが玄関へ向かう。


その後ろから、美都が少し緊張した様子で入ってくる。


「……お、お邪魔します」


「あ、美都ちゃん、いらっしゃい!」


あっきーが笑顔で声をかける。


美都はその笑顔を見て、少し表情を和らげた。


「あ……あっきーくん」


「久しぶり!」


「う、うん……久しぶり」


「元気だった?」


「う、うん……元気」


「ほら、美都。あっきーいるなら大丈夫だろ?」


「う、うん……」


美都が家の中へ入ろうとしたところで、ふと思い出したように紙袋から何かを取り出す。


「あ、あっきーくん……これ」


「ん?」


美都が手土産を差し出す。


「いやいやいや、餃子しか出ない家に手土産なんていらないって!」


「初めてお邪魔するから……」


ユタカが苦笑する。


「あの、ほら……美都って育ちいいから」


「あー……なるほど」


あっきーは笑いながら受け取る。


「じゃあ、わかった! ありがとう。でもこういうのは今度から大丈夫! とりあえず上がって」


「う、うん……」


美都がリビングへ入ると、そこではみんなが餃子作りを進めていた。


「……わぁ」


美都は少し緊張した様子で周りを見る。


「あ、美都ちゃん。あそこ見て!」


あっきーがソファを指差す。


「え?」


「あの子は誰でしょう」


美都がソファで気持ちよさそうに眠っている伊織を見る。


「……あっきーくんのお姉ちゃんか妹さん?」


「俺と同じ高校の女の子です!」


「え?」


「こんな感じで人ん家で普通に寝てるから。だから美都ちゃんもそんな緊張しなくていいよ」


みんなが笑う。


「え? 人のお家であんなにリラックスできるんだ……」


「伊織ちゃん、多分ここ自分の家みたいに思ってるから」


「そうなんだ……」


ユタカがみんなに紹介する。


「こっちが美都。俺の彼女な」


「こっちが雅人。で、隣が雅人の彼女の結衣ちゃん。それから、あっきーの同じ学校の月姫ちゃん」


「よろしくお願いします……」


「おいおい、ユタカと全然違って控えめないい子じゃん」


雅人が笑う。


「つか、めっちゃかわいいな!」


「美都、ちなみに俺らの一個上だから」


「えっ!?」


みんなが驚く。


「よ、よろしくお願いします……」


「美都先輩も、餃子作ります?」


月姫が笑顔で声をかける。


「せ、先輩とかじゃなくていいです……」


結衣も笑う。


「じゃあ美都ちゃんって呼ぶから、美都ちゃんも敬語無しで!」


「……うん」


美都も少し嬉しそうに頷いた。


その後、餃子作りが進んでいく。


あっきーも月姫に教えてもらいながら餃子を包んでみる。


「こうやって皮の端を合わせて、ここを押さえて……それで、こうやってひだを作るの」


「おお……なるほど!」


「あ、できた!」


美都も初めて餃子を包み終える。


「うん! 初めて作ったけど……楽しいね!」


「でしょ?」


月姫が笑う。


しばらく餃子を包んでいたあっきーだったが、ふと手を止めた。


「……あー、飽きた」


「は!?」


雅人が顔を上げる。


「なんでもうやめてんだよ!!」


「そうだぞ、あっきー! まだ全然終わってねえじゃん!」


ユタカも呆れる。


「いや、俺食う専だったの思い出した」


あっきーは気にする様子もなく立ち上がり、手を洗いに行く。


戻ってくると、そのまま床にゴロンと寝転がった。


「……ふぅ」


そして、ゴロゴロし始める。


「おい、あっきー! 餃子作れよ!」


「ちょっと疲れちゃって、後から本気出す」


「そういうやつ、絶対あとでやらねえ!!」


そんなやり取りを見ながら、月姫は小さく笑った。


「ふふっ……」


そして月姫も立ち上がる。


「私もちょっと手洗ってくるね」


「うん」


月姫がキッチンへ向かう。


その間にも、あっきーはすっかり遊び始めていた。


「おいおい、あっきー!」


「ははは! やめろって!」


雅人の足をこちょこちょ。


「ちょっと、何してんの!」


今度は結衣。


「おらおら!」


「やめてって!」


「ユタくんも〜」


「おい!!マジでなんだって!?」


「やめろ!」


「ははは! あっきー、お前いい加減にしろ!」


さらに美都のところへ行く。


「……あ、美都ちゃんも」


「え?」


「ひゃっ!」


「ふふっ、俺は誰でもやるぜぇ!」


「あっきーくん!」


美都も思わず笑ってしまう。


「お前、マジで集中切れたやつだろ!?」


ユタカが呆れたように言う。


「だってみんな真剣すぎるんだろうがよ!!!」


「理由になってねえよ!」


「……ほんと、子どもみたい」


美都が笑う。


「精神年齢低いのは自覚ある」


そこへ、手を洗い終えた月姫が戻ってくる。


みんなが笑っているのを見て、月姫も状況を察した。


「……あっくん」


「んー?」


月姫は自分の膝をポンポンと叩く。


「こっちおいで」


あっきーは何も言わず、そのまま月姫のほうへゴロゴロと転がっていく。


月姫は転がってきたあっきーの頭をそっと抱えて、自分の膝に乗せた。


「ここで大人しくしてて」


あっきーはそのまま月姫の膝に頭を預ける。


「前に、奈緒先輩にも伊織にもしてもらってたし、これ好きでしょ。あっくん?」


「こちょこちょ〜」


「ひゃっ! あはははっ!」


あっきーが月姫の脇腹をくすぐる。


「あっくん、私は許してあげるけどみんなの邪魔しないよ!?」


月姫は笑いながらあっきーの手を止めると、そのまま優しく髪を撫でる。


「ふふっ……」


その様子を見ていた雅人と結衣が、顔を見合わせる。


「……なんかもう付き合ってる距離感にしか見えないよな」


「ほんとだよね……」


すると、美都がその様子を見ながら、くすっと笑った。


「あっきーくん、月姫ちゃんの言う事は聞くんだね」


「……確かに」


雅人も改めてあっきーを見る。


「月姫ちゃんにだけは素直なんだな、あいつ」


結衣も笑う。


「ふふっ。なんか可愛いね」


月姫は少し照れながらも、あっきーの髪を優しく撫で続けていた。


「もうちょっとだから待っててね?」


黙っているが、至近距離の月姫相手に目はハートになっている。


「……本当なんだよあいつ」


雅人が思わず呟く。


「さっきまで俺らの足くすぐって遊んでた問題児が、一瞬で止まったぞ」


ユタカも感心したように笑う。


「月姫ちゃんすげえな。あっきーをピタッと止めるじゃん」


結衣も笑いながら頷く。


「ほんとだね。月姫ちゃん、すごい」


美都もあっきーを見ながら、くすっと笑う。


「月姫ちゃん、すごいね……」


みんなに褒められた月姫は、少し照れながらあっきーの髪を撫で続けた。


「ふふっ……」


雅人は結衣に一つ疑問を投げかける。


「おい、なんで膝枕されてる奴よりしてる奴の方が幸せそうな顔してんだ?」


「ふふっ!本当にね!見てるこっちまで嬉しくなってくる」


膝枕をしてあっくんを落ち着かせる月姫は今日1番の笑顔だった

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