失恋したってとりあえず今は楽しもう!!
六人はそれぞれ更衣室へ向かい、水着に着替えた。
しばらくして、全員がプールサイドに集まる。
「おー……」
晃星が思わず声を漏らした。
隣にいたユタカも、三人の女子を見て目を奪われる。
「……かわいい」
普段とは違う水着姿に、二人とも思わず見惚れてしまった。
「……そんなに見ないでよ」
美咲が少し恥ずかしそうに言う。
紗耶と美優も照れたように顔を見合わせる。
すると晃星が
「あれ?俺たちはあまり視線を感じないけど、もしかして俺たちがブーメランじゃないからガッカリした?」
「俺たち、期待に応えられなかったかな?」
ユタカも楽しそうに乗っかる。
「なわけない!」
「誰が期待するの!」
「普通の水着でいいから!」
三人から一斉に言われ、晃星とユタカはケラケラ笑った。
「はいはい、分かりました!」
「残念だなぁ、あっきー」
「お前もだろ!」
そんなやり取りをしながら、まずは荷物を置くための休憩場所を確保することにした。
場所を取ったところで、たかちゃんがプールを指差す。
「じゃあ、とりあえず二人乗りのウォータースライダー行こうぜ!」
「いいね!」
ユタカがすぐに賛成する。
「せっかくだし、男女ペアになろうぜ」
たかちゃんがそう言うと、それぞれペアを決める。
「俺は美優!」
たかちゃんは彼女の美優と組む。
「じゃあ俺、紗耶ちゃんで!」
ユタカは紗耶とペアになった。
「ってことは……俺は朝倉か」
晃星が美咲を見る。
「よろしくね、きりゅちゃん」
「ね!よろしく」
こうして晃星と美咲もペアになり、四人はスライダーの列へ並んだ。
順番を待ちながら、晃星は隣にいる美咲へ話しかける。
「なんかさ」
「ん?」
「学校以外で朝倉とこうやって一緒にいるのって、新鮮だね」
「確かに。私もなんか不思議な感じする」
美咲が笑う。
「いつも学校で会ってるから、こういうところで会うとちょっと違って見えるよね」
「分かる」
晃星も笑った。
そしてふと、美咲の姿に目を向ける。
学校でいつも見ている美咲とは違う、水着姿。
「……」
一瞬、晃星の思考が止まる。
「……あ」
自分が見惚れていたことに気づき、晃星は慌てて視線を逸らした。
「……そりゃ、違う」
小さく呟いて、気を取り直す。
「どうしたの?」
「いや、何でもない!」
美咲は不思議そうに首を傾げながらも、順番が近づいてきたスライダーの入口へと視線を向けた。
「うわっ、思ったより速い!」
晃星と美咲は、勢いよくウォータースライダーを滑っていく。
「きゃーっ!」
普段は体育会系らしく運動神経のいい美咲も、予想以上のスピードに思わず声を上げながら、楽しそうに笑っていた。
「これ、結構面白いじゃん!」
「思ったより楽しいな!」
二人は水しぶきを上げながらゴールすると、顔を見合わせて笑った。
「もう一回乗ってもいいかも」
「朝倉、意外とノリノリじゃん」
「だって楽しいんだもん!」
その後、みんなと合流して再び並んでいると、美咲がふと思い出したように晃星へ尋ねた。
「そういえば、きりゅちゃん」
「ん?」
「今日は伊織ちゃんに許可取ったの?」
「……え?」
晃星がきょとんとする。
「なんの許可?」
「え、いや……」
美咲は少し言葉を濁してから聞いた。
「伊織ちゃんと、そういう仲じゃないの?」
「え!?」
晃星が驚いたように声を上げる。
「違いますけど!!!」
今まで以上に強く否定する。
「そんなに強く否定する?」
美咲が思わず笑う。
「いや、だって違うから!」
「ふーん……」
美咲は晃星の横顔を見る。
――いや、どう見てもそういう仲にしか見えないけど。
美咲はそう思いながら、晃星にはそれ以上言わずに笑った。
次の順番が来ると、今度は晃星と紗耶が二人でウォータースライダーに乗ることになった。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
二人は並んでスタート地点へ向かう。
「それにしても……今日、来てよかったな」
紗耶がぽつりと呟く。
「ん?」
「最近、フラれたことばっかり考えちゃってたからさ。でも、こうやってみんなで遊んで、思いっきり楽しんでると……なんか、少し前を向けそうな気がする」
紗耶はそう言って、晃星に笑いかける。
「そっか」
晃星は少し考えてから、笑顔で答えた。
「うん、俺はそういうのよく分かんないけどさ。ゆっくりでいいんじゃない?」
「……うん」
「一日一日、なんか少しでも楽しいことがあれば、また違う恋も見つかるって!」
晃星が笑う。
「……ふふっ」
紗耶もつられるように笑った。
「桐生くんって、やっぱり優しいね」
「そうか?」
「うん」
「まあ、とりあえず楽しもう!!」
「うん!」
二人は笑い合いながら、ウォータースライダーを滑っていった。
その後も六人は、ウォータースライダーや流れるプールなどを楽しみながら、思いっきり遊んだ。
気づけば時間を忘れるほど、六人は思いっきり楽しんでいた。




