↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春分岐点が増えていく  作者: こむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/117

いざ!旧校舎!

⸻


夕暮れが近づく頃。


晃星と奈緒は学校へとやって来ていた。


この日、晃星がこの学校を訪れるのは初めてだった。


普段は生徒たちで賑わっている校舎も、放課後を過ぎた今は少しずつ静かになっている。


「……」


奈緒は校門をくぐったあたりから、どこか落ち着かない様子だった。


旧校舎の方を見ては。


すぐに目を逸らす。


「ち、ちょっと先生から鍵借りてくるから」


奈緒はそう言って、部室の方を指差した。


「ぶ、部室で待ってて」


一度。


大きく息を吐く。


そして。


「……いや」


晃星が奈緒を見る。


「一緒に行きますよ」


「え?」


「鍵借りるだけなんですよね?」


「そ、そうだけど……」


奈緒は少し迷う。


けれど。


「……うん」


小さく頷いた。


二人は職員室の方へ向かう。


その途中。


「奈緒先輩」


「ん?」


「本当に大丈夫なんですか?」


「……何が?」


「旧校舎」


「……」


奈緒の足が一瞬止まる。


「だ、大丈夫だけど?」


「絶対嘘ですよね」


「怖くないし」


「手、震えてますよ」


「震えてない!」


奈緒は慌てて手を後ろに隠した。


晃星は思わず笑う。


「怖いなら奈緒先輩も待ってていいですよ」


「……」


奈緒は少しだけ俯く。


「でも」


「ん?」


「晃星くんだけだと、色々大変になっちゃうから」


「……」


「だから、一緒に行く」


本当は。


怖い。


ものすごく怖い。


でも。


――伊織ちゃんが行かないなら。


あきくんと二人になれるかもしれない。


そんな期待もあって。


奈緒は自分から一緒に行くと言ってしまった。


「……分かりました」


晃星は渋々頷いた。


「でも、本当に無理なら言ってくださいね」


「うん」


二人は先生から旧校舎の鍵を借りた。


奈緒は鍵を受け取る。


「……よし」


一度。


深く息を吐き、晃星を見る。


「行こう」


「お」


奈緒は意外にも、ズンズンと旧校舎へ向かって歩き始めた。


「急に元気になりましたね」


「べ、別に?」


旧校舎へ近づく。


日が沈みかけ。


校舎の中はすでに薄暗い。


さすがの晃星も。


「……」


少しだけ。


旧校舎を見上げた。


「雰囲気ありますねー」


楽しそうな晃星。


その横で。


奈緒は。


「……」


明らかに勢いを失っていた。


「……」


足が。


少しずつ。


後ろへ下がっていく。


晃星が気づく。


「……奈緒先輩?」


「じゃ、じゃあ行こっか」


「……」


さらに一歩。


後ろへ下がる。


「下がっとる!!」


「さ、下がってないよ!」


「めっちゃ下がっとる!!」


奈緒は顔を赤くする。


「……全然怖くないからね」


晃星は笑いながら鍵を受け取った。


「じゃあ、俺が開けますね」


「……うん」


晃星が鍵を鍵穴へ差し込む。


カチャ。


「……あれ?」


回らない。


もう一度。


カチャカチャ。


「……開かない」


「え?」


晃星が奈緒を見る。


「もしかして奈緒先輩……」


「……」


「鍵、間違えた?」


奈緒は黙る。


「……」


「……おいぃぃぃぃ!!」


晃星が思わず爆笑する。


「な、なんで笑うの!?」


「いや、だって!」


「だってじゃないよ!」


奈緒は顔を真っ赤にする。


晃星は笑いながら。


「はぁー、マジでこういうとこあるから奈緒先輩可愛いんだよなー」


「……っ!」


奈緒は一瞬。


言葉を失った。


そして。


さらに顔を赤くする。


「……わ、私の方が先輩なんだから、そ、そういうこと言わないでよ……」


晃星は笑いながら扉に手をかけた。


すると。


「……あれ?」


ギィィ……。


扉が。


ゆっくりと開いた。


「……え?」


「……」


「開いてるけど……?」


晃星が振り返る。


その瞬間。


「ひゃっ!?」


奈緒が晃星の腕にしがみついた。


「……奈緒先輩?」


「な、なんで開いてるの……?」


二人の目の前に………


誰もいないはずの暗い旧校舎が、口を開けるように静かに広がっていた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。