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青春分岐点が増えていく  作者: こむぎ


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男って嫌だよね

「とりあえずお風呂沸かしたから、二人で入ってきたら?」


ママが二人に声をかける。


「二人で入るのも楽しそうだね」


伊織が笑う。


月姫は少し恥ずかしそうにしているものの、嫌そうな様子はない。


「じゃあ、行こっか」


「うん」


二人は仲良くお風呂へ向かっていった。


「あー、先に入ればよかった」


二人を見送りながら、晃星が呟く。


「一番風呂はお客さんに入ってもらいたいじゃん!」


ママが笑う。


「まぁ、それはそうだけど……」


しばらくすると、二人がお風呂から出てきた。


「お待たせ〜」


いつもの制服や応援団の衣装とは違う、見慣れない部屋着姿。


晃星は思わず二人に見惚れてしまう。


「何〜?」


伊織がいつものように晃星を見る。


「あっきー、美女二人の部屋着姿みて照れてんじゃない?」


「やかましい!」


晃星は慌てて目を逸らす。


「俺も風呂入ろ」


「ふふっ」


伊織が楽しそうに笑う。


晃星はそのまま浴室へ向かった。


湯船に浸かると、今日一日の疲れが一気に押し寄せてくる。


「……はぁ〜」


体育祭。


応援合戦。


リレー。


いろいろありすぎた一日だった。


そして、ふと先ほどまで伊織と月姫がここで過ごしていたことを思い出す。


「……なんか恥ずかしいな」


妙に意識してしまい、晃星はいつもより早めに風呂を切り上げた。


「よし。上がろ」


風呂から上がると、リビングには揚げ物のいい匂いが漂っていた。


「……この匂い!」


晃星がキッチンを見る。


「今日は唐揚げ?」


「そだよ」


母が笑顔で答える。


「お父さんは今日は友達とご飯行くみたいだから、今日はみんなで食べちゃお!」


「やった!」


伊織が嬉しそうに声を上げる。


テーブルに唐揚げが並んでいく。


「ママの唐揚げ、お弁当であっきーにもらってから大好き!」


「ほんと? じゃあいっぱい食べてね」


母が嬉しそうに笑う。


「うん!」


伊織は満面の笑みで頷く。


晃星がふと伊織を見る。


「そういえば伊織ちゃん、いつも唐揚げ見てくるよね」


「だって美味しそうなんだもん!」


月姫も唐揚げを見ながら笑う。


「確かに美味しそう」


「でしょ?」


伊織と月姫が顔を見合わせる。


「じゃあ、早く食べよう!」


四人で食卓を囲む。


「美味しい〜!」


伊織が嬉しそうに声を上げる。


「ほんと美味しいね!」


月姫も唐揚げを頬張りながら笑う。


食事をしながら、自然と今日の体育祭の話になった。


「一番はやっぱり、最後のあっくんのリレーがビックリした!」


月姫が今日一番印象に残ったことを話す。


「最初からリレーやるって言えばよかったのに!」


伊織も笑う。


「いや、そんなに速いなんて思ってねえから」


晃星は何でもないことのように答える。


すると母が笑った。


「ユタカくんとか雅人くんなんか、この子より速いらしいから」


「へぇ〜」


月姫が驚く。


「でも、かっこよかったなぁ」


「……っ!」


晃星が唐揚げを喉に詰まらせる。


「ゴホッ! ゴホッ!」


「ちょっと、あっくん大丈夫!?」


月姫が慌てる。


晃星は水を飲んで、何とか落ち着く。


そして照れ隠しのように伊織を見る。


「ね、伊織!」


「え?」


伊織も少し照れたように晃星を見る。


「う、うん、まぁそりゃね……」


恥ずかしそうに笑う。


晃星は顔を逸らした。


「俺はやっぱり風間先輩がかっこよかったよ!」


晃星が話を続ける。


「ほんと運動はからっきしみたいで、最初ほんとふざけてんのかな? と思う走り方ですごい遅かったのに3着だよ? 凄いよ!!」


「付きっきりでトレーニング付き合ってた甲斐があったね!」


伊織が笑う。


「うん!」


晃星も嬉しそうに頷く。


「終わった後、楓先輩涙ぐんでたけど、俺も結構ヤバかったからね」


「え? あっくんも?」


月姫が聞く。


「うん。あれは結構グッときた」


晃星は笑った。


「あれで、あの元陸上部の岩田ってやつも、楓先輩に変にちょっかいかけなくなるといいんだけど」


「確かに楓先輩綺麗だからモテるよね」


伊織が言う。


「そうなんだ」


月姫も頷く。


そんな二人を見て、晃星が言う。


「いや、でも二人も月曜日からまたモテるんじゃない?」


「え?」


「応援団の姿見たら、みんなメロメロだったもん」


伊織と月姫が照れる。


「あ、あっきーもメロメロになっちゃったんじゃない?」


伊織が恥ずかしそうに聞く。


「へ? 何が?」


晃星は本気で分かっていない。


伊織は冷ややかな目を向ける。


――おい……。


――お前、発言と態度が全然違うのなんなんだよ。


「でも、なんであんなミニスカ先輩は人気あるんだろ?」


晃星が笑う。


「絶対性格悪いのに」


「まぁ、ああいうタイプは見た目だけでモテるのよ」


伊織が呆れたように言う。


「誰のこと?」


ママが不思議そうに尋ねる。


「えっとね、藤宮先輩っていう二年生の副会長がいて――」


伊織がママに梨愛のことを説明する。


「へ〜、そんな小悪魔みたいな子いるんだね」


ママが楽しそうに笑う。


「小悪魔どころか、たまに悪魔に見えるよ!」


伊織が即答する。


「うん、確かに」


月姫も苦笑しながら頷いた。


「でも、あっきーもミニスカ先輩にベタベタされてるよね」


伊織が晃星を見る。


「まぁ、そんなに嫌そうじゃない感じ出してるけど?」


月姫も晃星を見る。


二人から同時に睨まれ、晃星は慌てて手を振る。


「いやいや、違うって!」


「俺が二人と仲いいのわかってて、俺にちょっかい出してきてるんだよ」


「二人の反応見て面白がってそうだもん」


晃星がそう説明する。


伊織と月姫は顔を見合わせる。


「……あー」


伊織が納得したように呟く。


「確かに、やりそう」


「うん……藤宮先輩、そういうところありそう」


月姫も苦笑する。


「だろ?」


晃星はホッとしたように頷く。


「俺、完全に巻き込まれてるだけだからね?」


「……本当に?」


伊織がまだ少し疑うような目を向ける。


「本当だって!」


晃星は必死に弁解する。


「俺、全然あの先輩に興味ないから!」


晃星がきっぱり言う。


すると月姫が、少し笑いながら言った。


「ミニスカ先輩って呼ぶくらい、スカートの丈は気になってるのに?」


「いや、それは違う!」


晃星は慌てて否定する。


「男としては、あれだけ短いと逆に――」


「ママ〜!」


伊織が晃星の言葉を遮るように、母へ振り向く。


「ここにドスケベがいます〜!」


「ちょっと! まだ何も言ってないだろ!」


母は楽しそうに笑う。


「男ってやだよね〜」


「お母さん!?」


そして月姫まで、くすっと笑う。


「ほんと、あっくんえっちだもんね」


「月姫まで言うの!?」


晃星は完全に逃げ場を失った。


「いや、だから違うって!」


三人の笑い声が、食卓に響いた。

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