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追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
宿場町の章

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第七十一話 塩の使い道

「今年はずいぶん冷えるな……」


「アルゴス・シュタットにも雪が積もっちゃいましたね」


ヴィクトルの外套に包まれ、ぬくぬくと過ごすライラから白い息が漏れる。


人々は雪降ろしや除雪に明け暮れ、火魔導部隊は日夜凍りついた給水管を温める作業に奔走していた。


「これではホッホラント便も動かない、ゴブリンらを連れて除雪に行ってくる」


「あっ、あっ……私も行きます!」


歩き出すヴィクトルにライラが追いすがり、しがみつくように外套の中に入り込んだ。


……どうやら部屋で過ごすより、ヴィクトルの側のほうが暖かいらしい。


そんなライラの肩を抱き、ヴィクトルはゴブリンらを連れて除雪へと向かった。


――


「ディディー!」


ディガー隊指導の下、幼いゴブリン達が遊びながら道の雪をかき分けていく。


「よし、雪を分けたらこの岩塩を砕いて道に撒くんだ」


カルデロから降ろしてもらった未精製岩塩。雪の降るアルゴス山脈ではこれを主な融雪剤にしている。


――ガンッガンッ


「くそ、硬いな……」


素の岩塩では砕くのも一苦労だ。箱詰めの岩塩をハンマーでガンガン砕きながら道に撒いていく。


「フキィー!」


「こらこら、舐めるな。その塩は食べる用じゃない」


撒いた塩を拾っては雪にかけ、食べだすゴブリンの子ども達。……ただの塩水だと思うんだが。


「子ゴブリンもずいぶん増えたな……」


「最近は毎月10匹は産まれてますからね」


「そ、そんなに増えてるのか?」


「はい。今もフェブリンの3分の1……約60匹が妊娠していて、半年で産まれるので……」


「この1年安定していたからベビーブームが起きたか……それでフェブリンの食費が増えていたんだな」


「今の子たちももうすぐ2歳ですから、新しい子どもと入れ替えで巣立ちですね」


山ゴブリン含め今は巣立ちゴブリンが400匹。今やほとんどのメスが1匹か2匹の子持ちなので、実質600匹以上いるってことになる。冷静に考えるとヤバいな。


「これからは続々と新入りも増えるわけか……いよいよゴブリンラントになりそうだ」


「……この冬は難民の方や、少数ですがハルプも増えてきましたよ」


「来年は開墾に力を入れよう。とにかく芋と麦を増やして、食料自給率を上げないと」


「土地は北の草原ですか?」


「あぁ。今アルゴス・シュタットに面している草原の開墾の許諾は得ている。それ以上は南に向かねばなるまい」


フーガの貧民街を考慮に入れても、アルゴス・シュタットの総人口キャパシティはおよそ千人。ゴブリンがあふれ出した時どうするか……課題は山積みだな。


「ヴィクトル様、少しお話が」


ホッホラントからの帰り道、門衛のフェルディナから声をかけられた。


「どうした?」


「街の治安が悪くなっています。警ら隊が必要かと」


「ふむ……巴組では難しいか」


「そうですね……注意喚起や罰則まで至らないと、治安維持は中々」


「わかった、冒険者ギルドを通じて求人をかけよう……新型銃のアイディアも出たしな」


「新型銃ですか?」


「あぁ……親方に頼んで威力を弱めた散弾銃を作っているんだが……鉄ではまだ強すぎてな」


なんなら至近距離だと通常弾より強かった。貫通力は無いが破壊力がヤバい。


「内臓まで達してなくても、小さな散弾は取り除くのも大変ですよ……?」


不安げなライラの目に、頷きで応える。


「その為の新型だ。弾をコレに変えてみようと思う」


ヴィクトルが二人の前に取り出したのは、岩塩の塊だった。


「岩塩?」


「熱に強く、加工が簡単で硬い。その上カルデロでは大量に手に入る。鉄よりよっぽど安全で経済的だ」


「まぁ塩なら水で流せますし……残っても致命的ではないですが……」


「あの……それって、傷口に塩の塊がえぐり込まれるってことじゃあ……」


口をヒクヒクと歪めながら、フェルディナが言う。


「なぁに、痛いだけで死にはしないさ。まずはフェルディナに配備してやろう」


クックッと笑いながら、ヴィクトルは岩塩の箱を鍛冶屋ギルドへと持ち込み、中折れ式散弾銃に適応した、岩塩弾の開発を開始した。


この岩塩弾は射程が従来の半分以下。至近距離を除き、毛皮や厚手の服を貫通しない程度の威力だった。


ただし、その衝撃と痛みは想像を絶するもので、治安維持の向上とともに狩猟……特に鳥撃ちに適していた。


ゴブリン兵団は日夜訓練代わりに鳥撃ちに出向き、冒険者ギルドを通じて猟果が市場へと卸されるようなった。


その鳥肉が乾物屋や屋台で売られ、アルゴス・シュタットで食べる鳥肉は時々ゴリッと塩の塊が出て来ると噂になったと言う。


――


子ゴブリンの巣立ち開始→月10匹増加

人件費増加→警ら隊月60ソル追加

罰金→教会 罰則→労苦

猟果≒弾薬費とほぼ相殺


――ライラの帳簿(現金) 二の月(四年目)


【現金収入】

乗合馬車(25往復×12席)

カルデロ便 乗車率5割 =600ソル

ジュナイブ便 乗車率3割 =360ソル

ホッホラント便 乗車率3割 =360ソル

◆小計 1320ソル


宿 約300人 =300ソル

入湯料 約200人 =200ソル

人頭税 280人 =280ソル


◆計 2100ソル ≒210ダリヴル


【現金出費】

街ゴブリン小遣い(200匹)

 263ソル≒26ダリヴル

教会税(二割)≒42ダリヴル


◆計 68ダリヴル


◆収支 210-68 =142ダリヴル黒字

◆累積現金残高 192+142 =334ダリヴル


――フーガの帳簿(預金) 二の月(四年目)


【収入】

ジュナイブ商隊

往復通行料(4隊×4輌) 320ソル

傭兵料(1ダラス18銀×8日) 144ソル

◆小計 464ソル


フーガ商隊

往復通行料(2隊×4輌) 160ソル

傭兵料(半ダラス12銀×4日) 48ソル

◆小計 208ソル


家賃

複合住宅 55戸 =550ソル

職人街   6戸 =180ソル

冒険者ギルド  =100ソル

◆小計 830ソル


◆合計 1502ソル ≒150ダリヴル


【出費】

食費(ゴブリン410、難民50)

 ※備蓄より充当 0ソル

 ※備蓄90日→60日分に減少


人件費

アクアライナ 90ソル

ヴォルフ   60ソル

フェルディナ 60ソル

ゴッズ    30ソル

ブランドル  60ソル

鍛冶師ギルド 100ソル

警ら隊    60ソル

◆人件費合計 460ソル


建築費

複合住宅 石材加工費 240ソル

     建築費 360ソル

◆建築費 600ソル


教会税(収入の二割) ≒300ソル


◆合計 1360ソル ≒136ダリヴル


◆収支 150-136 =14ダリヴル黒字

◆預金残高 101+14 =115ダリヴル


トータル収支

142+14=+156ダリヴル黒字


残高

現金334ダリヴル

預金115ダリヴル

合計残高449ダリヴル


★備蓄(90日→60日)

★警ら隊追加

★街ゴブリン毎月10増加

★複合住宅Ⅱ 2/3


冬なのに黒字がすごい!

備蓄のおかげで食費ゼロって最強だね。

来月は複合住宅完成!

春になったら石橋完成で交易も増えるはず!

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