表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
宿場町の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/75

第六十四話 大切な存在

生命(いのち)の輝きよ、清き水に満ちよ……」


ライラがアロエの液体に活性化の祈りを捧げ、その液体を布に浸していく。


――ペチョン


「ヒョ!」


寝台に横たわるブランドルのしわがれた背に、アロエの湿布が巻き付けられた。


「はい、弱った心臓に当てて活力の軟液(エナジー・ローション)を貼りました。どうですか?」


「おぉ……なんとなく楽になりましたのじゃ」


「ゆっくり浸透しますので、朝と夜に貼り直します。ただ……心臓自体が良くなるわけではありません。無理はしないようにしてください」


ライラが優しくブランドルの背中をさすりながら言う。


「……承知しました」


「まったく……あまり心配させるな。メイドがすぐ気づかなければどうなっていたことか……」


「ピィ」


「わしもそろそろお迎えが近いのでしょう……ゲホッゲホッ……」


「お、おい、爺?」


「若……貯金と……お子を……何卒っ!」


「わ、わかった……子どもはともかく貯金はするから……」


「約束しましたぞ?」


ブランドルはひょいっと起き上がった。


「む……騙したなタヌキ爺」


「ホッホ、タヌキとはなんのことやら」


「なんにせよ……爺はしばらく休養だ。錬金術はアイナに引き継いでおいてくれ」


「ええ、火の薬の扱いは仕込んでおります。弟子達にも文は送っておきますので、ご心配召されるな」


「本当に心配なければいいのだがな……」


――


ブランドル不在の影響はすぐに出始めた。


「待て! 逃げるな!」


「ギィーー!」


「くそ……石運びと聞いて逃げやがって……かくれんぼを鍛えた悪影響か」


ゴブリン自体は決して勤勉ではない。ヴィクトルの目が届かないゴブリンが、サボり始めていた。


「完全に監督と教育が足りん……どうするか」


息をつくヴィクトルの肩に大きな手がかかる。


「ガァー」


「ガードか……そうだな、オレも少しバロンを見習うか」


「ガァ?」


「ゴブリンの中から隊長を決めよう。先ずはエリートからだ」


「ガガァ!!」


ヴィクトルはゴブリンの中から隊長格を定め、各班の監督役に据えることにした。


「偵察隊。お前たちは監督と監視だ」


「「ギギィ」」


スカウトを隊長とした偵察隊が一斉に呼応する。


「重装隊。お前達は実質的なボスだ」


「「ガァァ!」」


体の大きなホブゴブリンの重装隊。野生に近いほど、彼らに従うだろう。


「穴掘り指導、ディガー隊。銃撃指導、スナイプ隊」


「ディディ!」


元気よく返事をするディガーと、静かに頷くスナイプ。


「そして……教育指導、ジョーカー隊」


「ジィ……ギィヒヒヒ!」


硬く伸びた爪を舌舐めずりするジョーカーとその部下。前々から思ってたが……こいつらゴブリンじゃない気がする。まぁいいけど。


「ガードが命令、スカウトが監視。他が指導だ。言う事聞かない奴はしっかり分からせてやれ」


「「ギギィ!!」」


――


指導を厳しくするため、軍事訓練を増やす。


「構え! 狙え!」


――ぽふん


「ギィ?」


「……また不発か……暴発よりはマシだが」


アイナの作った薬莢は精度がいまいちだった。


「アイナ、弾薬の火薬が湿気てるぞ」


「すいません……乾燥工程で水が混じっちゃうみたいで……」


「属性の問題か……水使いに火薬製造は向いてないな」


「ひえん……そんなダメな子を見るような視線向けるのやめてくださいよぅ」


「まぁ火使いが来たら引継ぎだな。アイナは治癒院と果樹園に配置換えだ」


「はぁい……」


「豚と馬の水も頼むぞ」


「えーん、やっぱり私なんて……移動する井戸扱いなんだぁ!」


泣き言をいいつつ泣き真似をするアイナ。


「井戸が不足してるんだからしょうがないだろ……冬になれば大仕事が待ってるぞ」


「大仕事?」


「造雪さ。ホッホラントが寒くても、雪だって毎日降るわけじゃないからな」


「私、氷までは使えませんよ?」


「使える必要はない。氷点下なら水なんて勝手に凍る」


寒気を感じたアイナが両手で自分の体を抱く。


「もしかして……寒風の中で霧吹きしろって言ってます?」


「ハハハ、暖かい服は用意しておけよ」


「やだぁーーー!!」


アイナが逃げないように年間契約し直そうかな。


――


街へ降り、市場を巡ると柘榴石の装飾品が売られていた。


「ほぉ、いい仕事だな」


原石の時とは比べ物にならない輝き、細工師によって楕円に磨かれたガーネットが美しいブローチになっていた。


「ありがとうございます。ただ……この街じゃなかなか売れませんね」


「まぁ……そうだろうな」


周囲をみれば屋台とフェブリン、建設現場と職人、巡礼者と難民……宝石など見向きもされない。


「ギルドを通してジュナイブに卸す方が良いだろうな。こういう品は店構えが無いと偽物だと思われる。そのブローチはオレが買おう」


「ありがとうございます!」


一金貨を差し出し、親指サイズのブローチを購入する。ライラへの土産にちょうど良いだろう。


「ピィー! ピィー!」


「うん? あれはオカミか」


宿屋の方向、外のかまど場でオカミが小柄な巡礼者にしがみつかれていた。


「ギュー! ギュー!」


「ピィーー!」


「おい、何をしている!? この街ではフェブリンは庇護対象だ。手を出すのは許さんぞ!」


「ギュル?」


オカミの背にしがみつく小さな巡礼者。そのフードから垂れ下がる黒く長い髪、隙間から覗く薄緑の肌……。


「ハーフゴブリン……混ざり者(ハルプ)の巡礼者か」


小柄なハルプの巡礼者は、まるでやっと再会した母でも見つけたかのように、涙を流してオカミに頬ずりしていた。


――ライラの帳簿(現金) 九の月


【現金収入】

乗合馬車(7往復×24席)

カルデロ便 乗車率7割 =236ソル

ジュナイブ便 乗車率6割 =202ソル

◆小計 438ソル


宿 約300人 =300ソル

入湯料 約200人 =200ソル

人頭税 220人 =220ソル


臨時収入

柘榴石 20個×5銀貨 =100ソル


◆計 1238ソル ≒124ダリヴル


【現金出費】

ゴブリン小遣い(200匹)

 250ソル≒25ダリヴル


教会税(二割) 25ダリヴル


◆計 50ダリヴル


◆収支 124-50 =74ダリヴル黒字

◆累積現金残高 339+74 =413ダリヴル


――フーガの帳簿(預金) 九の月


【収入】

ジュナイブ商隊

通行料(4隊×4輌×2往復) 320ソル

傭兵料(1ダラス×8日)  144ソル

◆小計 464ソル


フーガ商隊

通行料(2隊×4輌×2往復) 160ソル

傭兵料(半ダラス×4日)  48ソル

◆小計 208ソル


家賃

集合住宅 35戸 =350ソル

職人街   6戸 =180ソル

冒険者ギルド  =100ソル

◆小計 630ソル


◆合計 1302ソル ≒130ダリヴル


【出費】

食費

※卸値六割

日常食費(430人×0.75ソル) 323ソル

備蓄積み立て(15日分)   161ソル

◆食費合計 484ソル


人件費

アクアライナ 60ソル

ヴォルフ   60ソル

フェルディナ 60ソル

ゴッズ    30ソル

ブランドル  60ソル

鍛冶師ギルド 100ソル

◆人件費合計 370ソル


建築費

集合住宅 石材加工費 240ソル

     建築費 フーガ負担

◆建築費 240ソル


教会税(二割) 260ソル≒26ダリヴル


◆合計 1370ソル ≒137ダリヴル

◆収支 130-137 =▲7ダリヴル

◆預金残高 87-7 =80ダリヴル


トータル収支

74-7=+67ダリヴル黒字


★集合住宅二軒 建設中(2/3)

★食料備蓄(90日)


現金がだいぶ貯まってきたよ!

そろそろフーガさんに預けた方がいいかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ