表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
宿場町の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/75

第六十二話 ゴブリンのゴブリン狩り

「まさか先代様に直接お話を聞いていただけるとは……」


「なにを遠慮する事がある。食料もそちらから買い付けているのだ、気兼ねなく相談してくれ」


既知のノラ村長から冒険者ギルドに依頼があったと聞き、ヴィクトルはすぐ『大鷲の宿り木』に赴いていた。


「そう仰っていただけると……うちの村はジュナイブも遠く、ほかの村ほど人も来ないので、先代様だけが頼りです」


「他の村はまだ安定しているのか?」


「そうですね……これもアルゴス・シュタットが出来たからでしょうが、南の村は港町ゼノヴィアから、東南の村はロレンツェから人が多く通るようになりました」


どちらもロマリアの都市……巡礼者が村を経由して来ているのか。


「東の村は旧アムズフェルト屋敷のあったミラナ近く、この辺では一番栄えてただろう?  代官はどうしてるんだ?」


「復興資金から滞納分の徴税だけして……それきりです」


「やれやれ……教会を通しても結局現地までは届かんか」


「はい……残った2金貨で、最近増えたゴブリンを退治して貰おうとご相談に来た次第です」


2金貨では新米冒険者パーティー4人で3日が精々……討伐は厳しいだろうな。


「種類と巣穴の方向はわかるか?」


「赤黒いゴブリンです。方向は以前と同じく、アルガス山脈の方向から」


「あぁ……それは、オレの勢力から逃げた奴の可能性が高いな」


「そうなのですか?」


「うむ。以前は森ゴブリンだった。空いた巣に、こっちから逃げた山ゴブリンが住み着いたのだろう」


「さ、さすがゴブリンに詳しいですね」


「正直、2金貨では傭兵団は出向けん。山ゴブリン討伐が得意な部下でも構わないか?」


「はい! もちろんです」


「うむ。では山ゴブリンの兵を送る」


「……え?」


「赤鷲の旗を持ってれば味方だ。混同しないようにな」


「ど、同種同士で争わせるんですか?」


「そうだ。むしろ同種だからこそ穏便に済む可能性がある。人間だってそうだろう?」


「は……はぁ……」


ノラ村長はすごく微妙な顔をしながら、まぁゴブリンがいなくなるならそれでいいかと、村へと帰って行った。


――


「グァーー!」


「ギーハー!」


赤鷲の旗を掲げ、南アルゴス山脈を闊歩する山ゴブリンの群。


王からの勅命、出陣の高揚。そして王から下賜された神器……スコップを持ち、彼らは犬が探し当てた敵の巣へと乗り込んだ。


飢えた山ゴブリンのオスが、血色の良い山ゴブリンに鉄の塊で叩きのめされる。


体力、数、武装、そして何より集団としての統率力。力の差は圧倒的だった。


やがて巣穴から群を守るため、一際大きなホブゴブリンが姿を現した。


相対するは歴戦のゴブリンバロン。しかし、バロンは戦わない。彼の強さは戦士としての強さではない。


火を使い、犬に守らせ、バロンの指示で山ゴブリンらが投石を仕掛ける。ホブゴブリンはなす術もなく囲い込まれ、石に打たれ続ける。


やがてホブゴブリンは耐えきれず、メスを差し出して服従を示した。


山ゴブリンらがそのメスに夢中になっていると――突如、服従したはずのホブゴブリンが棍棒を手にバロンに襲いかかった。


「ギィーー!」


「グルルルァーー!!」


バロンの咆哮が上がる。大鉈の如きスコップで棍棒を弾き、返す刀でホブゴブリンの喉を捉える。


ホブゴブリンの首から鮮血が吹き出し、バロンはその血を全身で浴びた。


「グルァアアアア!!」


「ギハ……」


巣穴に響き渡るバロンの絶叫。服従を示した者の裏切りに対する怒り、その行為に対する見せしめの踏みつけ。バロンの剛力でスコップはひしゃげ、ホブゴブリンは肉塊へと変わっていく。


「ググァー!」


「ギー……」


その巣穴に残った山ゴブリンは、残らずバロンに恭順し、王の元へと連れて行かれた。


――


「あー! もうスコップ壊したのか!」


「グ……」


ヴィクトルは持ち手が折れて、ひしゃげたスコップを手にバロンを叱りつけた。


「斧や鉈じゃないんだから、壊れるほど力込めるなよ!」


「グァン……」


「まぁいいや……巣穴は破壊したか?」


「グ! グァグァ」


「部下も増えたか……そんなに数は多くないな。飯はやるが、新入りは躾が済むまで人のいる所に近づけるなよ?」


「グァ」


「よし、なにはともあれよくやった。ヤクー酒を樽で買ってきてやろう。大事に飲むんだぞ」


「グァーン!」


バロンの嬉しそうな鳴き声が草原に響き渡った。


――


念の為、バロンが破壊した巣を確認する。


「スカウト、ディガー、残党の足跡はあるか?」


「ギィギィ」


「ディディ」


「よし、ちゃんと殲滅できてるな」


ジュナイブ周辺でゴブリンを狩り始めてもう六年以上……それでも、この辺りに野生のゴブリンは居なくならない。


「逆に、帝都では存在すら忘れ去られている……」


イセリア様はゴブリンを知らなかった。あの人自身の無知もあるのだろうが、それだけ帝都はゴブリンと無縁なのだろう。


「……フランツ、帝都、そしてロマリア……ここは各地から追い立てられたゴブリンの、最後の砦なのかもしれんな」


「ディ?」


「なんでもない。ノラ村長に報告して、家に帰るとしよう」


「ギィー!」


――


人類に生存圏を奪われ、討伐対象として狩られ続ける魔物(ゴブリン)


それでも生き延びようとする彼らの最後の知恵が、庇護者たる王の導きに従うことなのかもしれない。


――ライラの帳簿(現金) 八の月


【現金収入】

乗合馬車(7往復×24席)

カルデロ便 乗車率7割 =236ソル

ジュナイブ便 乗車率6割 =202ソル

◆小計 438ソル


宿 約300人 =300ソル

入湯料 約200人 =200ソル

人頭税 220人 =220ソル


臨時収入

柘榴石 20個×5銀貨 =100ソル


◆計 1238ソル ≒124ダリヴル


【現金出費】

ゴブリン小遣い(200匹)

 250ソル≒25ダリヴル


教会税(二割) 25ダリヴル


◆計 50ダリヴル


◆収支 124-50 =74ダリヴル黒字

◆累積現金残高 265+74 =339ダリヴル


――フーガの帳簿(預金) 八の月


【収入】

ジュナイブ商隊

通行料(4隊×4輌×2往復) 320ソル

傭兵料(1ダラス×8日)  144ソル

◆小計 464ソル


フーガ商隊

通行料(2隊×4輌×2往復) 160ソル

傭兵料(半ダラス×4日)  48ソル

◆小計 208ソル


家賃

集合住宅 35戸 =350ソル

職人街   6戸 =180ソル

冒険者ギルド  =100ソル

◆小計 630ソル


◆合計 1302ソル ≒130ダリヴル


【出費】

食費

※卸値六割

日常食費(430人×0.75ソル) 323ソル

備蓄積み立て(15日分)   161ソル

◆食費合計 484ソル


人件費

アクアライナ 60ソル

ヴォルフ   60ソル

フェルディナ 60ソル

ゴッズ    30ソル

ブランドル  60ソル

鍛冶師ギルド 100ソル

◆人件費合計 370ソル


建築費

集合住宅 石材加工費 240ソル

     建築費 フーガ負担

◆建築費 240ソル


教会税(二割) 260ソル≒26ダリヴル


◆合計 1370ソル ≒137ダリヴル

◆収支 130-137 =▲7ダリヴル

◆預金残高 94-7 =87ダリヴル


トータル収支

74-7=+67ダリヴル黒字


★集合住宅二軒 建設中(1/3)

★食料備蓄(75日)


冒険者ギルドの家賃で黒字が増えてきたよ!

ギルド報酬は一金貨だけだったからヴィクトル様のお小遣いに。


……っていうか、報酬の半分もギルドが取るの!? 冒険者って大変だぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ