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追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
宿場町の章

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第六十一話 ホッホラントの開拓

「さぁ、今年も草を刈るぞ!」


「はい、ヤクーたくさん連れてきました」


モンフェラン高原……ホッホラントの草毟りに、今年もヤクール族の協力を頼んだ。羊も大量放牧中だ。


ホッホラントの区画は十字四つに分ける。アルゴス・シュタット側の東区域と石橋のある西区域、そして道を挟んで北斜面と南斜面。


南は基本的に自然のまま残す。牧羊地、宿屋、ランディの小屋のみ。


そして北斜面の東側からひたすら草を毟り、難民や労働奉仕人を連れて伐採・抜根・削岩を行う。いわゆる開拓だ。


「バロン達は土掘りと山作りな。なだらかな山を作るんだぞ」


「グ!」


鍛冶屋からスコップと言う神アイテムを貰った山ゴブリン達がザックザックと土を掘っていく。


掘る方向はアルゴス・シュタット側から北西……つまり、石橋の上流。採掘地点への経路。ここは後にロープウェイが走る。


そして掘った土を盛って小山を作る。歩いて登れる小さな斜面(ゲレンデ)だ。


「この盛土を第一ゲレンデ、中央からのコースを第二ゲレンデ……真の目的は第三ゲレンデ、露天掘り地帯だ」


「では、2箇所に魔導蒸気ロープウェイを通すわけですか」


今後の採掘計画のため、カルデロ採掘ギルドの測量士が確認する。


「そうだ。いけそうか?」


「ロープウェイが長くコストがかかる以外は……なぜ直接採掘地点に渡さないので?」


「表向きはスキー場のためだが、一番の目的は雪崩の警戒だ」


「あぁ……露天掘りで山肌を削るからですか」


「そうだ。直下に道を作れば雪崩で全て崩れるだろう。だから木々を残して、斜めに道を渡す。その進路をスキー場にするわけだ」


「はは、お金持ちの発想ですね。普通はササッと掘って、廃鉱にして終わりですよ」


その結果、現地がどうなろうと知ったことではない。カルデロならそう考えるだろうな。


「では採掘は来年以降ですね。人夫の泊まりは宿屋を使っていいので?」


「ああ、夏季にあそこを使うのは巡礼者ぐらいだ。好きに使ってくれ」


「わかりました。柱の本数と必要なロープの測量が完了したら見積りを出します」


「……ざっといくらぐらいだ?」


「魔導蒸気機関が二つ……ゲレンデ二つに柱十本ずつで計二十本……往復リフト二つ……500金貨ぐらいですね」


ザクザクと地面に概算を書き出す測量士。


「ぐ……そんなにするのか?」


「そりゃまぁ……全部金属製ですから。同盟じゃなきゃこの二倍はしますよ?」


「わかった、来年までには用意しよう。柘榴石の露天掘りで得られる収益はわかるか?」


測量士が腕組み考え始める。


「宝石はあんまり金額出せないんですよね……採りすぎると価値が下がるので。安定させるなら一月でせいぜい原石十箱……ざっと月50金貨ってとこでしょう。そこから諸々の経費を引く形になるかと」


「ふむ……利益は半分として半年稼働で150金……回収に3年はかかるな」


「まぁ……アルゴス・シュタットなら加工も販路もあるのでもう少し稼げるでしょう」


流石測量士だ。計算はお手の物と見える。


「……水晶なら?」


ヴィクトルが測量士を試すように、慎重に問いかける。


「……柘榴石の約3倍。どれだけ掘っても価値は下がりません。ただ……水晶窟でも無いと大きいのはとれませんよ?」


「もし、それが見つかれば?」


ヴィクトルの鋭い視線に、測量士から一筋の汗が滲む。


「……採掘ハンター、商人、軍が押し寄せるでしょうね。かつてカルデロで銀が見つかった時のように」


「……わかった。水晶の採取は最低限だ。目立てば大国の山が動き、カルデロも巻き込む雪崩となろう。人夫は徹底的に検査し、埋没量は秘匿せよ」


「……承知しました」


その後、商館でヴィクトルと採掘ギルドは正式に契約を交わし、互いに密約を結んだ。


――


ホッホラントの開拓を進める一方、アルゴス・シュタットでは7軒目と8軒目の複合住宅が完成していた。


「フーガ、今度の店だが、一軒は冒険者ギルドにしてくれ」


「それは良いですが、ギルドなら上階は宿屋とした方がよろしいですよ?」


「うむ。ギルドで宿もやってくれ。ただし家賃は高めに10ダリヴルとする」


「ホッホッホ、新築なら当然でしょう。それでは対面は金物屋と革細工屋にしておきます」


昔なら武器屋と防具屋だったろうに、ヴィクトルは元冒険者として少しだけ寂しさを感じた。


「冒険者ギルドへの依頼はオレも受ける。大型の依頼は気軽に通すよう伝えてくれ」


「……とは言え、閣下の威光で壁内治安は安定しております。少数護衛以外、この辺りだと村からの依頼ぐらいしか無さそうですが……」


「そうだろうが……村からオレに話がこんのだ。帝国領にオレから向かうわけにもいかんし」


「まぁ……農民からしたら他所の領主への直訴ですからな。ギルドの名前はいかがされますか?」


「そうだな……ゴブリンの巣穴とか」


「閣下、それは人が来ません。どう見てもゴブリン専用の店です」


「そ……そうか。じゃあ――」


赤鷲の旗、ゴブリン、正教会の威光……


「――大鷲の宿り木」


ゴブリン要素はいいや。


「良い名ですな。では冒険者ギルドに話を通しておきます」


――


後日、冒険者ギルド『大鷲の宿り木』亭に早速一件の討伐依頼が入った。


依頼内容は、繰り返し農作物を荒らすゴブリンの討伐。


依頼主は、南アルガス山脈最寄りの村……ノラ村長だった。


――ライラの帳簿(現金) 七の月


【現金収入】

乗合馬車(7往復×24席)

カルデロ便 乗車率7割 =236ソル

ジュナイブ便 乗車率6割 =202ソル

◆小計 438ソル


宿 約300人 =300ソル

入湯料 約200人 =200ソル

人頭税 220人 =220ソル


臨時収入

柘榴石 20個×5銀貨 =100ソル


◆計 1238ソル ≒124ダリヴル


【現金出費】

ゴブリン小遣い(200匹)

 250ソル≒25ダリヴル


教会税(現金収入の二割) 25ダリヴル


◆計 50ダリヴル


◆収支 124-50 =74ダリヴル黒字

◆累積現金残高 191+74 =265ダリヴル


――フーガの帳簿(預金) 七の月


【収入】

ジュナイブ商隊

通行料(4隊×4輌×2往復) 320ソル

傭兵料(1ダラス×8日)  144ソル

◆小計 464ソル


フーガ商隊

通行料(2隊×4輌×2往復) 160ソル

傭兵料(半ダラス×4日)  48ソル

◆小計 208ソル


家賃

集合住宅 40戸 =400ソル

職人街   6戸 =180ソル

◆小計 480ソル


◆合計 1252ソル ≒125ダリヴル


【出費】

食費

※卸値六割

日常食費(430人×0.75ソル) 323ソル

備蓄積み立て(15日分)   161ソル

◆食費合計 484ソル


人件費

アクアライナ 60ソル

ヴォルフ   60ソル

フェルディナ 60ソル

ゴッズ    30ソル

ブランドル  60ソル

鍛冶師ギルド 100ソル

◆人件費合計 370ソル


建築費

集合住宅 石材加工費 240ソル

     建築費 フーガ負担

◆建築費 240ソル


教会税(フーガ収入の二割) 250ソル≒25ダリヴル


◆合計 1344ソル ≒134ダリヴル

◆収支 125-134 =▲9ダリヴル

◆預金残高 103-9 =94ダリヴル


トータル収支

74-9=65ダリヴル


★集合住宅二軒 完成!

★食料備蓄(60日)


冒険者ギルドと金物屋さん、革細工屋さんができたよ!

ギルドは宿屋なので、住民は20人だけ増員。

ホッホラントの宿にもちょっとだけ泊まる人が来たよ。従業員は住み込みの難民さん。


ヴィクトル様……なんか毎日冒険者ギルドに顔を出してない?

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