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追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
宿場町の章

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第四十四話 アルゴス・シュタット

――フゴッフゴッ


「子豚さんかわいいですね〜」


「豚って、住居で飼うものなのか……?」


主砦の中、ゴブリンに混じり自由に動き回る子豚たちを見ながら首を傾げるヴィクトル。


「フーガさんが言うには、都市部では家庭で飼うらしいですよ?」


「匂いとか鳴き声とか……まぁゴブリンがいるから今更ではあるんだが」


メスゴブリンらが料理の傍ら、楽しそうに残飯を与えている。


「確かにジュナイブでもよく道端に豚が歩いていた。だがオレは道が糞尿でまみれるのが嫌いなんだ」


都市部ではよくあることだが、ヴィクトルは衛生面にはうるさかった。


「そうですよねぇ……子豚さんにもお家を作ってあげましょう」


「それと住民が増えると、垂れ流す連中が出てくる。都市内の治水も必要だ」


アルゴ砦の井戸は二つ。そして温泉。川や湧き水は近くにあるものの、距離があった。


「川の水を持ってくるんですか?」


「いや、山の川は増水が怖い。まず道は側溝を作り堀に流す。それとアパルトメントに貯水塔が欲しいな」


「溜める水は……」


「水使いを大家に雇用しよう。昔から人が住む地には不可欠だ。家賃無料ならアイナみたいなのが釣れるだろう」


「綺麗な水がお家で飲めるのは良いですね!」


「あとは……豚小屋と屠殺場か」


「子豚さん、食べちゃうんですか……?」


「そりゃそうだろ……まぁ、もうちょっと太らせてからだな。最低半年、最大二年ってとこか」


「あとはフーガさんが、家庭内や少額の決済は財布を分けなさいって」


「うむ。オレも蓄えはあるし、ライラも治癒院で労いをもらっているだろう。少額は無視してよかろう。ヤクール族の狼討伐もオレが支払っておこう」


「わぁ、助かります! あと、乗合馬車にテコ入れが必要ですって」


「それはオレも感じていた。今度来たときちょっと相談してみよう」


――


夏の日差しが強くなる頃、フーガとイセリアが避暑にやって来た。


「ふむ、乗合馬車の改善ですか」


「ええ、イセリア様は乗ったこともあるし、意見を聞かせてもらえませんか?」


「揺れが強くてお尻が痛かったです」


「馬車が古いですからな。車軸を工夫して揺れを抑える方法もありますぞ?」


「いや、それは無駄だろう。そもそも道が悪い。カルデロ方面なら尚更だ」


「それなら椅子とクッションを用意したらどうかしら?」


「うーん……そうすると乗員数が……」


「椅子までなくとも、ヤクーの毛織物や敷物を用意するとよろしいでしょう。異国情緒を醸し出し、これから行く先に思い馳せることができましょう」


「なるほど、良い考えだ。それなら冒険者ギルドのように案内版も貼るか」


「ほう?」


「温泉の絵、住人募集、巡礼路の導き……暇な道中、色々と眺め楽しめるだろう」


「……その案内版、私も一枚かませてもらえますかな?」


――

 

『アルゴ温泉 足湯無料! 入湯料1ソル』


『壁内新築アパルトメント! 住人募集中、水使いは家賃無料! 秋頃完成予定』


『モンフェラン巡礼路……エセルの辿った神山の旅路、聖グランベリー修道院を目指して』


『両替、交易、資金繰りのご相談はフーガ商会まで』


『アルゴ砦のゴブリンは友好的! 狩らないで!』


『オレ達! ゴブリン傭兵団!』


――


「……温泉あるんだぁ。知らなかった」


「水使い家賃無料ってマジ? 引っ越しちゃおうかな」


「ゴブリンだらけなんでしょ? 住むのはちょっとなぁ……」


「でも壁内住居なら安心だよな……農家暮らしから脱却するには、チャンスかも」


ヤクール族のふかふかな敷物に腰を下ろし、乗合馬車に貼られた絵付きの案内版を眺めながら乗客たちが話を弾ませる。


「安全は保証します。アルゴ砦のゴブリンは我々が指揮する兵士ですから」


御者のヴォルフが簡素に答える。


「ほんとに? 確かにお兄さんは強そうだけど……」


「アルゴ砦についたら練兵所を眺めると良いでしょう。よく訓練されたゴブリンの編隊をお見せします」


「ゴブリン傭兵団ねぇ……まぁ、話の種に見に行ってみるか」


――


アルゴ砦に到着した乗客たちは、その光景に驚愕した。


そびえる主砦の下、整列するゴブリンたち。


次々に石材が運ばれる三階建て集合住宅(アパルトメント)


中央にはジュナイブでもほとんど見ない、五階建てのロマネスク建築物。


カルデロからやって来る職人ら、続々とやって来る巡礼者たち。


それらの人々が汗を流し、足を休める温泉地。


そこには、新たな街が生まれようとしていた。


銀髪の御者はくるりと振り返り、洗練された騎士の礼を見せてこう言った。


「ようこそ、アルゴ砦の街(アルゴス・シュタット)へ」




――ライラの帳簿 八の月


定期収支


収入

ジュナイブ商隊

通行料10ソル

2往復(4隊✕4輌)

 =320ソル

傭兵料 1ダラス18ソル

8日=144ソル

小計464ソル


フーガ商隊

通行料10ソル

2往復(2隊✕4輌)

 =160ソル

傭兵料 半ダラス12ソル

4日=48ソル 

小計208ソル


乗合馬車 2ソル

全7往復(12席✕2回)=168席

砦―カルデロ往復

乗車率6割=100席

 =200ソル

砦―ジュナイブ往復

乗車率4割=67 席

 =134ソル

小計334ソル


宿1ソル

200人=200ソル


計464+208+334+200

 =1206ソル

合計約120ダリヴル


――


出費

食費360人 一日15ソル(180ドニ(360ゼニ))※市場価格

15ソル✕30日

 =450ソル

 ※卸値5割225ソル

 ※備蓄15日225ソル


その他2ソル×30日

 =60ソル

人件費3ソル×30日

 =90ソル

弾薬費3ソル✕12日

 =36ソル

小計186ソル


計450+186ソル

 =636ソル

約64ダリヴル


山ゴブリン貯金

魔石と貴重品少々


子豚さん50匹

 5ダリヴル

建築費

 豚小屋5金貨 6ダリヴル

 屠殺場20金貨24ダリヴル


収支

先月残金161

120-64-35=21ダリヴルの黒字

161+21

 =182ダリヴル


――


収入すっごい増えてきたー!

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