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追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
宿場町の章

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第四十三話 アルゴ砦開発計画と収支改善

フーガ商館の招致が決まり、ブランドルとヴィクトルはフーガ商館のための区画整備を行った。


「主砦区と果樹園のある東区域、鍛冶と温泉のある西区域、中央の道沿いに商館と市場を置く形になりますな」


「ゴブリンの居住区と練兵場を北に、南は今後住民の居住区とするか」


「……居住区まで設定すると、狭いですな」


「元々ベイリーは都市ほど広くない。足りなくなれば城壁を増やさねばなるまい」


ヴィクトルは地図の上を指でなぞり、砦の輪郭を確かめるように区画を区切っていく。


「まだ北の城壁もできておりませんが……」


「今の堀型塹壕をゴブリン区域の分け目としよう。城壁予定部を北に広げる」


「それでも居住区に住めるのは、いいとこ20戸といった所ですな」


家族にして100人。都市機能としてはあまりに少ない。


「……ベイリーに市場と言うのが贅沢なのだ。アルゴ砦の居住区は、店を一階に置いた三階建て建築としよう」


「それこそ贅沢では?」


「石はこの地の唯一の特産品だ。城壁に使うより建築に使っていこう。屋台も置けるよう道は広くする」


「では市場含めて最大40軒の複合建築(アパルトメント)……一体いくらかかりますやら」


ブランドルは目を伏せ、それから深く嘆息した。


「そこはスポンサーに甘えるとしよう」


ヴィクトルは楽しそうに地図上に駒を配置していった。


――


自身に与えられた大規模な区画を見たフーガは、その要望に驚愕していた。


「居住区を全て頂ける代わりに、統一した石造り三階建て建築……ですか」


「そうだ。見目麗しく、土地を効率的に活用したい」


「うむむ……一軒一軒が商館と似た造りですな。一階に店、二階三階に部屋が六戸と」


「なにか問題か?」


「いえ……ジュナイブでもこうした建築は増えております。ただ、商館は予定より大きく……五階建てにさせていただきます!」


「ふっ……好きにするがいい」


ヴィクトルはその見栄を笑いながらも、矜持への共感を抱いていた。


最初の建築は五階建ての商館と三階建てアパルトメント二軒。土地代は無料、建材はアムズフェルト負担、建築費はフーガ家。


店舗はフーガが権利を有し、住居は一戸あたり月1ダリヴルの家賃をアムズフェルトの権利とした。


雑多ではあるものの、ゴブリン200匹による石材運搬作業は驚くほど早く、石材置き場はすぐに満載となっていった。


――


「フーガさん、よかったら帳簿を見てもらえませんか? 最近収支の計算が難しくって……」


「ふむ……拝見しましょう」


フーガは帳簿をゆっくりと開き、頁を繰りながら眉を動かした。


「……初期はほぼメモ書き、次第に家計簿、最近は収支表の形にはなってますな」


「ど、どうでしょう?」


「独学でここまでできているなら大したものです。ただ、大いに問題があります」


「はい……」


「まず、勘定合わせがない。これでは正確な資産は計れません」


「そうなんです……食料の管理で手一杯で、お金まではちょっと」


「家臣に任せればよいのでは?」


当然の提案だったが、ライラは首を横に振った。


「私がやると決めたので、ちゃんとやりたいんです」


「ふむ……志は立派ですが、事業費と家計簿が一緒くたなのもよくないですな」


「ふぁい」


「それに一番出費の多い食料品の買付が高い。農村が近いのですからジュナイブ頼りは最小限にされるがよろしいでしょう」


「えっと……一割引って高いんですか?」


「市場価格の一割引でしょう? 農村の卸値価格なら六割、粉挽き前なら四割でいけます」


「そ、そんなに違うんですか!?」


「違いますとも。粉挽きはこの地なら風車で十分でしょう」


「はぁ~、さすが腕利きの商人さんですね」


「特技はゼニ勘定ですが、これぐらいは当然でございますとも」


えっへんと気を良くする恰幅の良いフーガ。


「じゃあ仕入れとかもお願いしてもいいですか……?」


祈るように期待のまなざしを向けるライラ。


「お任せください! 間をとって五割でご用意して差し上げましょう。それと食料品の管理が大変なら備蓄として豚を飼うとよろしい」


「豚さんですか?」


「冬は食料が値上がり、最悪手に入りません。そこで食料を予め五割増しで買い、保存します。すると八ヶ月で四ヶ月分の備蓄となる。そして持たない食料や残飯を豚に与えます。するとその豚が冬の食料となるのです」


「はぁ〜、フーガさんすごいです!」


「帳簿の宿代が抜けておりますな。それと単価が銀中心ですから計算をソルで統一致しましょう。最終的な決算をダリヴルとすればよろしい」


フーガの万年筆がテキパキと帳簿を修正していく。


「え……すごい、計算してるだけでお金が増えてる……」


「乗合馬車は本来売上から乗車率を出すのが良いのですが、今は売上が分かりませんから暫定と言うことで。ここはテコ入れした方が良さそうですなぁ」


「すごい……これなら毎月の帳簿も楽になります!」


「ホッホッホッ。ここまできたらちょいと勘定して差し上げましょう」


フーガは懐から算盤を取り出し、小気味よい音を立てて弾き始めた。


――フーガ式帳簿 七の月


定期収支


収入

ジュナイブ商隊

通行料10ソル

2往復(4隊✕4輌)

 =320ソル

傭兵料 1ダラス18ソル

8日=144ソル

小計464ソル


フーガ商隊

通行料10ソル

2往復(2隊✕4輌)

 =160ソル

傭兵料 半ダラス12ソル

4日=48ソル 

小計208ソル


乗合馬車 2ソル

全7往復(12席✕2回)=168席

砦―カルデロ往復

乗車率4割=67席

 =134ソル

砦―ジュナイブ往復

乗車率2割=33 席

 =66ソル

小計200ソル


宿1ソル

100人=100ソル


計464+208+200+100

 =972ソル

合計約97ダリヴル


――


出費

食費360人 一日15ソル(180ドニ(360ゼニ))※市場価格

15ソル✕30日

 =450ソル

 ※卸値5割225ソル

 ※備蓄15日225ソル(保存食の為、値引き無し)


その他2ソル×30日

 =60ソル

人件費3ソル×30日

 =90ソル

弾薬費3ソル✕12日

 =36ソル

小計186ソル


計450+186ソル

 =636ソル

約64ダリヴル


山ゴブリン貯金

魔石と貴重品少々


建築費

 風車20金貨=24ダリヴル


収支

先月残金152

97-64-24=9ダリヴルの黒字

152+9

 =161ダリヴル


――


風車を建てて食料備蓄が五割増し!?

商人ってすごい……。

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