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追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
旗揚げの章

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第二十七話 巣穴攻め

「では巣の捜索に行ってくる」


「はい、お気をつけて」


ヴィクトルはゴブリン二隊を連れて渓谷へ向かった。今度は巣を探すため山道を迂回して渓谷の崖上へ。


老齢のブランドルに山登りは厳しいため、今回は一人で二隊を指揮する。


「スカウト、ディガー、ジョーカー索敵を頼む」


「ギギィ!」


身軽な3匹が方々に散り、ゴブリンや犬の痕跡を探す。


前回罠にはめてから、敵は姿を現していない。だが冬に襲撃を起こしたということは食料が足りてないと言うことだ。必ずどこかでヤクーや商隊を狙っている。


「ディギ!」


「……見つけたか」


ディガーが犬の痕跡を見つけ、慎重にその足跡を追った。


山肌に空いた大きな洞窟。ダンジョンの匂い。


「空いたダンジョンに住み着いたか」


通常、スライムや毒蜘蛛の徘徊するダンジョンにゴブリンは近づかない。


だが、討伐後のダンジョンなら話は別。魔石の採掘が終われば、人も近づかなくなる。


「ダンジョンなんて何年ぶりだろうな……魔物が残ってなきゃいいが」


剣に火を灯し、慎重に中を照らす。上部から滴るスライム、万を超える白い蜘蛛。そのどちらも存在は感じない。


やがて、巣の奥からペタペタと足音が近づく。


「前列構え、狙え」


ジャキっと構える前列の五体。出てきたのは、やせ衰えたメスゴブリンだった。


「む……女ゴブリンか。なぜ出てきた?」


「キィ……」


子どもはいない、庇護を求めているように見える。


「そうか……前回討伐した群の巣だな。オスが全滅したか」


「キィー……」


「生きてるものは保護しよう。庇護を求めるなら中から出てこい」


「……キィ」


だがおかしい、ディガーは犬を追ってきたはずだ。犬はどこへ行った?


「おい、犬はどこだ?」


メスゴブリンは外を指差した。


「外のどこへ向かった?」


外に出て、メスの指す方向。その指先に、アルゴ砦が見えた。


「……まさか!」


ヴィクトルはそのメスに手持ちの食料を与え、すぐに砦へと引き返した。


砦からは、火の手が上がり始めていた。


――


「火事!? だれか火を使ったの!?」


モットーの寝室に煙が流れ込み、ライラは慌てて部屋を飛び出した。外の建築員やゴブリンも騒ぎ始めている。


廊下から走り込んでくるメイドゴブリン。


「メイド、火事はどこ?」


「キィー……」


「わからないのね。とにかく避難しないと、一緒に降りましょう」


二人は石造りの階段を駆け降り、騒然とするメスゴブリンたちと合流した。


煙はモットーの外から流れ込んで来ていた。火元は……外にある三軒のクルだった。


「三軒とも!? どうして!?」


クルはそれぞれ離れてる。同時に燃えるなんて……まさか、放火?


「水よ、水よ、水よ、溜まり溜まりて濁流となり、我が身から溢れいでよ!」


――ドポッ


坂の上から大量の水が流れ落ちる。見ればアイナが全力で水を生み出していた。


クルに向かって水が流れ落ち、周囲の地面が水浸しになる。内部まで水が浸透し、火の勢いは僅かに弱まった。


「はぁ……はぁ……あとは……なんとかしてください」


「わかったわ! みんな、桶を持ってクルに水をかけて!」


ふらふらになり倒れそうなアイナをライラが迎えに行き、メスたちは火を消そうとクルに水をかける。


それを待っていたかのように、犬の遠吠えが聞こえた。 


北の草原から、犬に乗ったゴブリンが走り込んでくる。砦のあちこちから、赤黒いゴブリンが姿を現した。武器や火を持っているものもいる。


「そんな……こんなに入ってきてるなんて……」


オロオロするメスゴブリンたち。薙刀も部屋に置いてきている。ブランドルもランディも

見当たらない。


「巴組! 薙刀を持ってきて!」


自分がこの場を守らないと。誰か、一番頼りになるランディさんを呼びに――


「ギーハー!」


ライラに向かって飛びかかる山ゴブリン、アイナが小さく悲鳴をあげた。


その時――


――ブォン


遠くから、弧を描いて槍が飛来してきた。 


槍は山ゴブリンを通り越し、ライラの足元に突き刺さった。 


「俺様がつくまで、それで耐えろ!」


「ランディさん!」


ライラはその槍を力いっぱい力を込めて抜き――


抜けなかった。


「抜けませぇん!」


「キィ!」


メイドが抜いた!


「キィ、キィ」


メイドは両手で掲げた槍をブンブン回し、山ゴブリンに向かってピタリと槍を突きだした。


「メイドすごい! かっこいい!」


――シュッ、シュッ


薙刀で鍛えた腕前。払いで足を狙い、眼前に槍を突く。山ゴブリンは近づけず、顔に向けられた槍を避けようとして、転がった。 


「キィー!」


ブスリ、こけた山ゴブリンの喉元を槍が貫く。


「やった! メイドすごい!」


見れば山ゴブリンをランディが蹴散らし、巴組も薙刀を持って応戦を始めた。あちこちでは待機組のゴブリンが応戦し、ブランドルさんは建築員と一緒に教会を守っていた。


「わ、私も何かしなきゃ……」


「槍も持てねえ奴が何言ってんだ! とっとと部屋に戻って鍵かけて寝てろ!」


「は、はいぃ」


ランディルの怒声があがり、メイドとアイナと一緒に避難に向かった。


「ブランドルさん、グノシス神父も中へ!」 


「そ、そうじゃの」


「ひえぇ」


砦に入り、メスゴブリンの大部屋へ。


外からはさらに多くの犬やゴブリンの叫声が聞こえる。


「みんな頑張って……エセリエル様……どうか我らに大天使のご加護を……」


ライラは強く祈りを捧げ、ヴィクトルの帰還を強く願った。

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