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パンと弾丸とダンジョンと  Ꮚ・ω・Ꮚメー(パンは銃より強くておいしい)  作者:
ダンジョンエクストリーム

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47/81

Ꮚ・ω・Ꮚメー(47:思えば充分に起こりえる事態だった)

 メェ  (なるほど)

 メメェ (こういうことになるか)

 メエェ (思えば充分に起こりえる事態だった)


「……なにが起こっているんでしょう?」


 バロメッツたちは訳知り顔ですが、事態を把握できません。

 十一時四十一分。

 三竜の石迷宮の仮設カフェテリアの開場からおよそ十分後。

 最初のお客様は『ダンジョンエクストリーム』のダンジョン設営や撮影などに従事する、オークやゴブリン、リザードマンなどの人型モンスターでした。

 やられ役として随時生成されるテンポラリーモンスターではなく、専門的な技術を備え、ダンジョンの構築、整備、番組制作などに従事するパーマネントモンスターで、いきなり襲ってきたりすることはありませんし、衣服やスタッフジャンパーなども身に纏っています。

 人型モンスター相手に自分が作る物が通用するのか不安に感じるところもありましたが、どの料理も凄い勢いで食べてもらうことができました。

 量のほうが心配になってきて、追加の料理を作りはじめたところで、あちこちのモンスター達が叫び声をあげ、目や口などからサーチライトのような光を放ち始めました。

 そのまま全身から発光し、天に向かって光の柱を立ち上らせたオークやゴブリンたちは、次々とその姿を変えて行きます。   


 メェ (ランクアップだ)

 メメェ(一部のモンスターは経験ときっかけによって上位個体に変化することがある)

 メエェ(あまりの食事体験に覚醒したか)


 光に包まれたモンスター達は、作業つなぎや『ダンジョンエクストリーム』のスタッフTシャツ、ジャンパーといった服装から、次々と装いを変えて行きます。


「なんだこの恰好!」


「ロ、ロードになってるぞ!」


「オ、オレ、勇者になっちまった!?」


 体型などは変わっていませんが、オークロード、ゴブリンブレイブ、ニンジャリザードマンと言った専門性の高い上位個体に変化をし、それに合わせた衣装や武器などを持っているようです。


「……どうすればいいんでしょう」


 やらかしてしまったようですが、どう対応すればよいのかわからずにいると、列の整理にあたっていた皆頃シオンが顔を見せました。


「シオンさん」


「凄いことになってしまいましたね」


 慌てた様子を見せずに言った皆頃シオンは「ご心配なく」と言って微笑みました。

 アラクネの皆頃シオンの上半身は大蜘蛛の上に乗っていますので、普通に立っていると身長差がかなりあります。

 ざわめくモンスター達に再度目をやった皆頃シオンは、ぴしりとした声で「静粛に願います」と呼びかけました。

 一気に上位個体になったモンスター達ですが、言うことを聞かなくなったりはしていないようです。

皆頃シオンの一声だけですっと静かになりました。


「食事が済んだ方は順次席を空けていってください。更衣室に着替えがありますので、服装が替わってしまった方は仕事に戻る前に着替えを。進化によって適性に変化が出ていると思いますが、さっきまでできていたことができなくなることはありませんので、今回の仕事はこのまま進めていってください。配置換えなどについては追って相談していく形とさせていただきます。よろしくお願いします」


 皆頃シオンがそう指示をすると、進化したモンスター達は粛粛とした動きでカフェテリアを退出して行きました。

 入れ替わりのタイミングで、群馬ダークと皆頃シエルが行列待ちのモンスター達と一緒に顔を見せました。


「なんやえらいことになっとるけど大丈夫?」


「私は大丈夫なんですが……大丈夫なんでしょうか? このまま続けてしまって」


 このまま仕事をしていると、また大量進化を引き起こしてしまいそうです。


「食中毒を出したわけじゃないスからね」


 皆頃シエルは明るい調子でそう言って、


「能力の高いスタッフはいくらいても困りませんし」


 皆頃シオンがそう続けました。

 特におとがめは無いようです。

 群馬ダークと皆頃シスターズ、マンドラゴラ達にも昼食を取ってもらい、二グループ目、三グループ目のモンスター達の食事と進化を見届けたところでカフェテリアは本日の営業は終了となりました。

 後片付けと明日の準備を終えると、石迷宮前に設置されたテントで皆頃シスターズが動画配信の準備をはじめていました。

 前回の配信事故の経緯と被害状況、今後のスケジュール変更などを伝える為の特別配信だそうです。

 実施予定だったファイナルステージの延期を伝える真面目な配信なので、二人ともきっちりしたスーツ姿です。

 さっきまでとはまた違ったフォーマルな雰囲気で、なんというか『助かる』感じがします。


「『スーツ助かる』とコメントしましょうか」


 メェ (ダメなリテラシーが上がってきたな)

 メメェ(誰の影響だ)

 メエェ(真面目な場面では自重しておいたほうがいい)


 そんな話をしながら遠目に眺めていると、皆頃シスターズに手招きされて、カメラの側に座らされました。

 特等席のようです。

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