Ꮚ・ω・Ꮚメメメー(46:やべー女ですよ)
「このペースだと、今日中に一段落しそうですね」
建築スキルで再生した巨大な石壁を見上げた群馬ダークはメンタル回復用の黄色いマカロンを口に運んで呟いた。
建築家を意味するアーキテクトのクラスを持つ群馬ダークの建築スキルは、素材アイテムを小さなブロック群に変換して建築用アイテムボックスに収容、思考によって制御、整形して様々な建築物を構築するものである。
単純な石壁程度ならば簡単に生成、修復することができるが、運用時にメンタルを消耗する。
一戸建て程度の建物ならば一日一軒程度が限度、三竜の石迷宮の場合は全部修復するとなると本来十日はかかる規模なのだが。
「うあぁ、アホみたいに脳味噌に染む。絶対あかんやつやってこれ……」
マカロンをひと噛みするごとに絶妙な酸味と甘味が染み渡り、疲労感が溶け、精神が冴え渡っていく。
「メンタルぎゅりぎゅり回復しよる。また頭から宇宙ネコ出とる、にゃー」
消耗したメンタルが回復して行くのか、身体的な感覚としてはっきりと認識できる。
ステータスウィンドウが自動的に開いて、
食事効果『アキュラシー(大)』が付与されました。
と表示された。
作業精度や命中率などを向上させる効果だ。
普段なら消耗して続きは明日、となるところから即時全回復以上の状態に持って行かれてしまう。
「疲労がポンと飛ぶってこういうやつのことなんスかねぇ……おー、ほんとヤバい、覚醒モード入る」
群馬ダークと同じくマカロンをザクザクモチモチと咀嚼した皆頃シエルも、何かの悟りでも開いたような表情で、遠い目をして呟いた。
初対面の頃はもう少しきちんと話していたが、『ス』がつくほうが基本の話し方らしい。
「やべー女ですよ本当に」
そんな軽口で応じた群馬ダークは作業補助のマンドラゴラたちがマカロンを食べ終えるのを待って、作業を再開する。
群馬ダークが建築スキルで修復した石壁に、
ゴゲゲゲゲゲゲゲ……。
と、音波を当ててチェックし、気になるところがあれば再調整、と言う形で修復を進めていく。
「めっちゃ高性能じゃないスか? このマンドラゴラ」
「ソルちゃんの作ったもの食べさせるようになってから調子いいんですよね」
「やっぱりそうスか……うーん」
皆頃シエルは難しい顔をする。
「なにか?」
「カフェテリアのほう、いまさら心配になってきました。不特定多数のモンスターに食べさせても、まぁ、大問題にはならないと思うっスけど……なんか起こりそうな」
「そう言われると……」
確かになにか起きそうな気がする……と、思った端から、
ウオォォォォォォーーーッ!
グオォォォォォォーーーッ!
グガオォォォォォォーーーンッ!
カフェテリアの方から次々と光の柱が天に向かって伸び、モンスターたちの咆哮が轟いた。




