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パンと弾丸とダンジョンと  Ꮚ・ω・Ꮚメー(パンは銃より強くておいしい)  作者:
ダンジョンエクストリーム

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48/81

Ꮚ・ω・Ꮚメメメー(48:『ダンジョンエクストリーム』特別配信)

「こんにちは、『ダンジョンエクストリーム』の司会・プロデュース担当。迷宮ライバーズ七期生、皆頃シエルです」


「同じく『ダンジョンエクストリーム』司会・プロデュース担当。迷宮ライバーズ七期生、皆頃シオンです」


「今回の配信では、前回配信中に発生したファイナルステージ『三竜の石迷宮』に対する大型モンスター襲撃事件の経緯と被害状況、予定されていた『ダンジョンエクストリーム』最終戦の配信スケジュールの変更についてご報告させていただきます。まずは前回の配信を視聴者の皆様にご心配をおかけする形で打ち切ってしまいましたことをお詫びいたします」


 三竜の石迷宮前。テントに設けた仮設スタジオで、謝罪配信用のスーツを身に付けた皆頃シエルは相方の皆頃シオンと並んで頭を下げた。

 記者会見風の構図だが、正面にはオークロードのカメラマンが立っている他、見学に来たところを捕まえたソル・ハドソンを座らせているだけである。


「では早速、事件の概要についてご説明させていただきます。事件当日の十六時頃、多摩丘陵エリア内の研究施設の警護任務に当たっていたレイド級モンスター、グレーターグリフォンが冒険者の攻撃を受けて、いわゆるバーサーク状態に陥りました。興奮したグレーターグリフォンは冒険者に反撃、追跡を行い、現出直後の三竜の石迷宮付近に接近しました」


手元のウィンドウを操作して配信画面に三竜の石迷宮付近の地図を表示、そこにグレーターグリフォンを示すアイコンを設置する。


「ここで三竜の石迷宮のボスモンスターとして用意していたレッドドラゴンがグレーターグリフォンの気配を察知、外敵と認識をし攻撃を仕掛けました」


 三竜の石迷宮内にレッドドラゴンのアイコンを置き、グレーターグリフォンのアイコンに向けて滑らせる。


「この戦闘に敗北し、逃走したレッドドラゴンを追い、グレーターグリフォンが三竜の石迷宮に突入しました」


 レッドドラゴンとグレーターグリフォンのアイコンをまとめて三竜の石迷宮へと戻し、更にブルードラゴン、イエロードラゴンのアイコンを表示する。


「石迷宮内のブルードラゴン、イエロードラゴンを加えた四体の大型モンスターの乱闘により、施設の約五十%が崩壊状態となりました。その後、グレーターグリフォンは研究施設側の依頼を受けた冒険者によって沈静化、本来の役目である施設警備の任務に戻っています」


 グレーターグリフォンのアイコンを外へと戻す。


「この戦闘の映像は撮影しておりますが、後日別枠での公開とさせていただく予定です」


映像としては悪くないのだが、ファイナルステージのボスとして用意したドラゴンが乱入モンスターに一方的に蹂躙されているため、下手に流すと『ダンジョンエクストリーム』というコンテンツの盛り上がりを損なう危険性が大きい。ソル・ハドソンの姿が入らないよう編集する必要もあるので、当面は封印映像にしておくことにした。


 コメント:

 ・研究施設ってなに?

 ・バカ冒険者(バカッシャー)案件やん

 ・その冒険者パーティーの身元はわかってるんですか?

 ・つまり、どこの責任なんだってばよ?


 手元に浮かべたウィンドウで視聴者コメントを確認した皆頃シスターズは、そこからいくつかを選んで回答することにした。


「研究施設の詳細については伏せさせていただきますが、東京大迷宮との協定に基づいて学術研究を行っている施設となります。重要施設としてレイド級モンスターのグレーターグリフォンが警備にあたっていました。グレーターグリフォンへの攻撃を行った冒険者の素性については現在調査中ですが、先述の研究施設と連絡を取り合った上で対応を検討していく予定です」


 コメント:

 ・バカッシャー特定はよ

 ・配信妨害とか万死に値するわ

 ・東京大迷宮から追放すべき

 ・直接けしかけたわけじゃないなら責任追及とかは無理じゃね?


 近年ではバカ冒険者を略してバカッシャーなどと呼称される無謀、無法な冒険者への制裁を求めるコメントが流れて来る。


「三竜の石迷宮の破壊についてですが『ダンジョンエクストリーム』側のレッドドラゴンの攻撃が誘発した部分が大きいため『ダンジョンエクストリーム』側が一方的に責任を問うべき事項ではないと考えております。グレーターグリフォンへの攻撃そのものについても、細かな経緯はまだわかっていませんので、視聴者の皆様におかれましては、当該冒険者の身元の特定、個人情報の公開などは控えていただくようお願い申し上げます」

 

 グレーターグリフォンが三竜の石迷宮付近までやってきたのは冒険者の攻撃がきっかけだが、三竜の石迷宮への直接攻撃は『ダンジョンエクストリーム』側が用意したレッドドラゴンの攻撃が誘発したものだ。

 バカッシャー案件として処理しようとするのは筋が悪いと判断せざるをえない。


 コメント:

 ・特定したらいかんの?

 ・本気で言ってるなら特定とかやめとけ

 ・ダンジョンネットで特定班とか凸とかやる奴は本物のアホ

・日和らないやつはこの先生きのこれない

 ・ダンジョン追い出されて地上の路地裏でひっそりと幕を閉じる羽目になる

 ・暴露系とかいるじゃねぇかよ

 ・ああいうのはダンジョン外でやってるんだよ

 ・ダンジョンネットじゃなくてインターネット

 ・ダンジョンネットで特定班とかデマッシャーとかそもそもムリゲー


 コメントの動きが速くなってきたが、特段取り上げる必要のあるコメントは見当たらない。


「今後のスケジュール等については、皆頃シオンからお伝えさせていただきます。お願いします」


「それでは今後の『ダンジョンエクストリーム』の開催・配信スケジュールについてご案内します」


 皆頃シオンは配信画面にカレンダーを表示した。


「現在の『三竜の石迷宮』の修復状況ですが、内部の石壁などの基礎構造の修復はほぼ完了しています。配線、配管などの修復と点検整備、テストプレイなどを行う必要がありますが、来月一日までには全行程を終了、三日午後一時より『ダンジョンエクストリーム』ファイナルステージを生配信にて開催、延長などがなければ同日午後十九時より表彰式と記念パーティーを行います」


 コメント:

 ・一週間スライドか

 ・あんだけ壊れてて一週間で間に合うのか?

 ・二十七日の配信は中止?

 ・スーツ助かる


「本来のファイナルステージ開催予定日だった二十七日については、十九時より『三竜の石迷宮』の修復状況をお伝えする特別番組、ファイナルステージの一週間後の十日十九時からはシーズン10の全日程を振り返る総集編スペシャルを配信する予定です。二十七日の番組はいわゆる穴埋めではあるのですが、通常の『ダンジョンエクストリーム』ではクローズアップすることの少ない生産系冒険者の活躍をフィーチャーした回となっていますので、普段とは違った形でお楽しみいただけると思います」


 コメント:

 ・生産系冒険者?

 ・ウィッチさん再登場したら熱いな

 ・清楚系ウィッチはギャラ的に無理だろう

 ・最近ういさん消息聞かないけどな

 ・多摩丘陵なら群馬さんのほうがありそう

 ・多摩といえば群馬農場長

 ・土地勘おかしなるで


 早くも正解を出されてしまったが、皆頃シオンは素知らぬ顔を決め込んだ。

 むしろ正解コメントを見て『バレてるみたいです』と、少し焦った顔をしているソル・ハドソンへの表情管理の方が難題だった。

 スーツ姿で真面目に配信をしている場面なのだが、口角が上がりそうになる。

 皆頃シエルが配信の締めに入る。


「短くなりますが、今日の配信はここまでとさせていただきます。また土曜日の配信でお会いしましょう。皆頃シスターズの皆頃シエルでした」


「皆頃シオンでした」


 二人揃って一礼をして配信終了。

 皆頃シオンは前方のソル・ハドソンに微笑みかけた。

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