チームは進む
「どこの畑も、牧場も一応、ちゃんとしているし、餓えて不満がという状態じゃないね。」
「治安も悪くないし、まあ、よく治められているという感じだな。まあ、理想郷と言うわけではないけれどな。」
「これだけの政治、統治ができる男が、どうしてもわかってくれないのだろうかと、残念に思うのだがね。」
タイスイは、大きなため息をつきながら、悲しそうな表情で言うと、すかさず、
「そういうものじゃ。あいつの発想の始まりは、あやつの主人のため、自分を認め、引き上げてくれた相手のため、ということだ。これだって、悪く言えば、そのためだけでしかないのだ。我が人間達に寛大であったことと同じことだ。それにな、我が夫殿の統治している領地の畑や牧場の方がずっと豊かだというのは一目りょう然だし、住民の暮らしぶりも同じじゃ。」
「嬉しいことを言ってくれるな。」
「本当のことを、我々2人の領地のことを言っているだけじゃ。」
タイスイ達は、そう言いながら山道を、畑や牧場が広がる、眼下の風景を見ながら歩いていた。そして、
「また、取り囲まれたようだな。」
何度目かの言葉だった。
今まで、鎧袖一触してきたが、今回は、逃げることとした。不可知魔法を自分達にかけ、相手側に錯乱の魔法をかけた。彼らが、自分達を見失い、そして、戻った先を攻撃することにしたのだ。
彼らは、見失った。当初は、取り囲んでいることで必ず見つけられる、不可知魔法を使っていてもと、しらみつぶしでの捜索を行ったが、並行してしばらく錯乱の魔法も使い、直前に転位魔法で彼らの後方にまわっていたから彼らに捕捉されることはなかった。
「整然としすぎているな。」
注意して、さらに捜索魔法を広げ、周囲に偵察をだすと、人数はさまざまだが、4隊がかくれるように展開されていた。
引き上げた1隊は、都市の郊外にある館だったが、単なる使用人の類いまで兵士だった。その館の周囲には、あの4隊の他2隊計6隊が伏兵と配されていた。
「どうする~?このあたりまとめて吹っ飛ばそうか?お父さん、お母さん?」
初めは、“おいおい。”と思ったものの、それもいいか、と思い直した。
「力をあまり消耗しない程度で出来るか?」
皆の、心配するのはそこかよ?、という視線を気がつかない風を装った。
「もう、体も整ったから、力を抑えて、この当たりをぶっ壊せるわ。」
「じゃあ、一気にやっちゃうね!」
その返事を待つことなく、周辺が灰じんと期してしまった。
「一寸、少しは時間をとって、説明してからにしなさいよ。巻き込まれたらどうするのよ?」
との声があがったが、
「別に大丈夫だったからいいでしょう?」
彼女は平然としていたが、その通り仲間は無事、危ないところはなかった。“ちゃんと、見て調整している、しかも正確に。”




