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行方をくらませていた勇者の真実  作者: 安藤昌益


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世界の終わり級の 2

 魔法を注入したガラスを、表面に吹き付け、装甲板には魔法を帯びさえて、四周にはめ込んだ魔法石の作り出す結界で、影響を中和するという三段の守りと戦車そのものの装甲で守られていた。それでもって、中に突入する。突入すると、すぐに、戦車の姿は見えなくなった。

 中の二人は、突入すると、何かが軋むような感覚を感じた。とにかく、進んだ。何かを彼は感じた。

「そろそろ出るか。」

 わざと、気楽そうに言う彼に、

「ああ、い、何時でもよいぞ。」

 流石の魔王も、かなり緊張していた。二人は飛び出した。

「う!」

 身を強ばらした魔王を、彼は抱きしめた。そして叫んだ。

「古の勇者、あるいはそのように思っている存在か、どちらにしても、実態はそろそろ具現化為ているだろう。出てこいよ!」

 二人の目の前にそれは現れた。

 初めは存在自体がはっきりしなかったが、その内、鎧姿の若い女の姿が少しづつ、ぼんやりと現れた。それがしだいに、はっきりとした形をとるようになった。

「私は、勇者です、あなたが言われる通り。」

 彼女の目も、表情からも、今までやってきた破壊を行う狂気も怒りも感じ取れなかった。しかし、

「勇者様が如何してこのようなことをなさる?」

「如何して、というのですか?」

 その時になって、彼女の目に静かな怒りの炎が燃えさかっていた。

 はっきりとした、金髪の若い、美しい、平均的な体格の、容姿端麗な女が目の前にいた。

「私は、この世界に召喚され、勇者として魔王を倒しました。それなのに、今度は私の力を恐れた人間達から、騙し討ちのように、さらに凌辱されて殺されたのです。だから、私はこの世界を憎む、ただそれだけどのこと。」

 彼女は淡々と言った。

「あなたを召喚した国の名は?」

 彼女は、魔王が聞いたこともない国の名を口にした。

「それは、はるか古の昔に、世界が滅びかけた最悪があった時の国の名ですよ。多分、その時の勇者様は、復讐し、世界を崩壊寸前まで陥れ、そして元の世界に帰還したはずです。」

「?」

「?」

 しばらくして、凄まじい圧力がきた。それを勇者が受け止め、魔王は彼の背中に隠れた。事前にそのように決めていたからだ。

 彼女は攻撃に専念した、そう命じられていたからだ。それで、実際にやっているのを見ながら、効果があがっているようには見えなかった。

 元勇者様の攻撃の半ば、受けながし、残りは中和して無効化することで、勇者は力の消耗をできるだけ少なくしようとした。受け流した攻撃はある程度は威力を減少させてはいるが、そのままなら向きを変えて、どこかに被害をおよぼすが、それは結界の外で待機している彼のチームの面々が大きな被害をもたらさない程度に抑えて受け流すことになっていた。普通ではなかなかできない、かれらだからできると彼は信じていた、頼れる仲間だからと。

 相手の力は無限ではないはず、というあやふやな前提にかけた作戦である。相手の力の源泉、総量なりをみつけた上でたてるべき作戦なのだが、それができなかったのだ。

 “こちらの、魔王の、攻撃は効いていない?効果のある場所を…それが分からないんだよな…。このまま続けさせるか?このまま、漫然てさせていても…ん?…続けさせよう。”

「このままでいいのか?」

 焦る女魔王の声が耳元で囁かれた。

「効いている。このままだ。」

“かな?”何かが聞こえ、感じた気がしていた。

「わ、分かった。」

「愛しているよ。」

「馬鹿…こんな時に…われもじゃ!」

 二人は、抱きしめ合った。それが、何故か力が僅かばかりだが、流れ込み、自分達に向けられている力が弱く、これも僅かだが、なっていくように感じた。そのうち

、うめき声のようなものが聞こえ始めた。

「私は消えたくない…。」

 弱々しい哀願が耳に入ってきた。

「方法はあるぞ。」

「え?」

「それは…。」

 彼は、元魔王に耳打ちした。

「なに?」

 彼女は、耳まで真っ赤になった。それでも、すぐに妖しい笑顔を浮かべた。

「よいのか?我は…それしかないのであればよいぞ。」

「理解が早くて助かるよ。」

「なんじゃ、我が好色女のように…。」

「何も言ってないぞ?」

 彼女が反論してくる前に、彼は自分の唇を彼女の唇に押しつけた。

 対面で抱きかかえられながら、激しく動き、喘いでいた彼女が、ぶるぶると震えて動かなくなった。

「来て…。」

「ああ。」

 彼の動きが大きくなって止まった。彼女が小さく喘いだ。そして、

「何か来るようだ。」

 “周囲の状況も変わってきたな。”憎しみも、力も感じられなくなってきた。彼にも、何かが

周囲に集まってくる、凝縮されてくるのを感じた。

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