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行方をくらませていた勇者の真実  作者: 安藤昌益


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12/20

まず一つは解決 2

「卑怯?どこがだ?ただ、道具を使っておるだけじゃ。自分達が、それを持たぬからといって、戦いの最中に言い立てるのは、哀れ過ぎるぞ。」

「元魔王様も、たまにはいいことを言うね。」

 シンカとセマーナが、掛け合いのようなやりとりをした。彼女らの手元から、投げられたのは手榴弾、その名は教えられたのだが。相手側の直ぐそばで爆発する。その爆風と破片で、兵士達が倒れていく。シンカの手にある、大型の自動拳銃から放たれる銃弾に、次々に胸を貫かれていく。どちらも、魔力を込めたと思われるものが交じっていた。彼らの精鋭達も、それで数を減らしていった。

「あちらの大将は、我一人で食い止める。」

 倒すとは言わなかった。かけがえのない仲間と信じていた者達が次々に倒れて、激高して斬り込んできた元勇者にシンカは相対峙した。

「その他を始末したら、応援に行くから。無理するなよ。」

「できる限り早く頼むぞ。」

「早くだよ。」

と言った彼女らだが、慎重に戦う積もりはさらさらなかった。

 闇落ち勇者とその真の仲間達に向かって突進していった。

「お前のいう真の、信頼できる仲間達はな、魔界の単なる強盗団みたいなものだったのだ!」

「嘘を言うな!この悪魔女!」

「魔王としてはな、被害の訴えをほっとけなくてな、何度も何度も討伐した。親兄弟を惨殺、凌辱、財産を奪われた魔族、我が臣民達は多かったのだ。」

「う、うるさい!これ以上彼女達のことを悪く言うのはゆるさん!」

 シンカは、彼と激しく戦いながらも、やや押されていた。そのように見えたし、実際そうなっていただろう。だが、彼女は相手の力を受け流すことに重きを置いていた。本当の実力はさほど差がなかった故に、剣でも、魔法でも、体力でも、相手は彼女の意図に気づかなかった。彼女の巧みな、事実に基づく挑発のせいもあったが。

「元魔王様!こっちは終わりましたよ!」

の言葉に相手は、

「なに!」

 彼女を凝視した。

「何度も言っておったろうが。我は、あやつらを退治していた魔王様だ。だったというべきだな、正確には。」

「なぜ魔王が!」

「だから、あやつらは魔界の害虫だった、と何度も言ったはずだ!」

 ワナワナと口元が震える相手を、おかしそうに見つめた。そのたたずまいは、いかにも冷酷、残忍な魔王に見えた。

「お前の真の仲間達を見てみるがいい。」

 挑発するような元魔王に呼応するように、

「こいつら、醜いと思うけど。」

「全然そうだよ。」

「趣味の問題だろう。二人で飼っている兎の方が、吾も、多分夫殿も可愛いぞ。」

「え、あいつ、兎なんか飼ってたの?」

「気がつかなかったか?」

 女達の戯れ言を聞かされ、自分の大切な存在を愚弄された元勇者は、怒りで完全に冷静さを失った。怒りの衝動は、戦いの中で必ずしもマイナスではないが、最後の冷静さを失ったてしまったら、そのエネルギーは空回りしかしない。彼はまさに、そういう状態になっていた。

 渾身の魔法力を込めた一撃が受け流され、女の剣が、深々と彼の体を突き抜けるのを感じた。友、恋人に腕を伸ばした。そして、意識が消えた。

 その頃、魔王も、勇者が闇堕ちした魔王も、身を挺して守ろうとした獣人の女ごと剣で体が貫かれて、その命の火を消していた。

「こいつらだけの考えだと思うか?」

「え?」

 とりあえず、当面の懸案が一つ片づいたとホットしているところでのタイスイの疑問の言葉に誰も応えられなかった。とはいえ、そう言われてみると、二人とも単純な勇者だったように思われるし、彼らの周囲に智恵者も、軍師も、策士も見かけなかったように思える。首をひねる仲間達を眺めながら、

「あいつが、なにがしか見つけてくれると助かるが…。」

と彼は呟いた。

「は?」

「また~?」

 彼が誰に期待しているのか、彼らには分からなかった。そして、それが意外な連中だったので改めて驚いた。

「どうじゃ!主殿と我だから捕らえたのだ!」

「お前が、何をした?」

 長身の30近くの男と16歳くらいにしか見えないエルフの娘が争っている。それを、またか、という顔で30人以上の女達が周囲を囲んでいた。

「やはり、彼らを操っていた奴がいたよ。あいつらは、奴に操られたことも知らない、それどころか奴そのものの存在さえ知らなかったらしいな。」

「そんなことがあるとは、思えないんだけどな…。」

「だから、怖いんだよ。」

 彼の言葉に納得せざるを得なかったが、それでめ半信半疑だった、皆が。

 だが、まずは目の前に、解決しなければならないことがあることを皆が心配していた。

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