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※16◇「外からの人」

※今頃にになって1話抜けていることが発覚いたしました(汗)

 この1話を割り込む投稿させて頂きます。

 城に戻り早々にデオドールの執務室に乗り込む。


「なんだ?いきなり二人して、バージルは今日休みだろう?」

「ええ、まぁ」

「突然スイマセン、お義兄様、ユリア様のお話を・・・」


「ああ、その話ね」


 デオドールは部屋にいた者をすべて下がらせ応接用のソファーの方へやって来た。


「座れば」


 促されてバージルと二人でオドールの対面に腰を下ろす。


「ユリア王女は本当に変わっていて面白いんだ」

 ユリアの事を思い浮かべたのかデオドールの口元が緩んだように見えた。

「はい、わたしもバージルから聞いて」

「うん、この間あちらを訪問した時に君の発案の「換気扇」の事を話したんだ。彼女めちゃくちゃ驚いていたよ。それとオレガノ商会で特許を取っている万年筆もプレゼントしたんだけどね」


「あわわわ・・・」

 

 それはそうだろう、「換気扇」などという語は今までこの世界に無い言葉だ。万年筆も同じだ。それを同時に出されたら考えるよね、異世界転移してきた人なら。


「まずは先にガルーダ国について話して置くよ」


 デオドールはガルーダ国と転移者について話し始めた。


 ガルーダ国は海に囲まれた島国でアデライトと同じく聖女信仰の国でもある。遠い昔ユリアのようにある日突然ガルーダに落ちて来た者がいた。落ちてきた男はかなりの年配だったが、神から使わされた聖女ではないかと言われた。だが彼には何の力もなく聖女の認められなかった。王城で保護されていた彼は「外から来た者」と呼ばれしばらくの間王城で暮らしていた。しかし自分はこの生活に馴染めないので田舎で畑仕事をして暮らしたいと言い、王は王城にいても何の役にも立たないのなら構わぬと「外から来た者」の願いを聞き田舎に土地を与えた。

 男は持っていた袋に入っていた種を蒔き米と酒、醤油と味噌を作り、それは徐々にガルーダ内に広まって行く。島国で漁業が主で土から採れるのもは葉モノと芋しか無かったこの国に米と大豆という新しい食文化を築いた。と伝えられている。

 「外から来た者」は後にガルーダに貢献したとして聖女と共に大切に扱われたという。


「なるほど、以前にもガルーダには転移者が来ていたという事は事実なんですね」

「そういうことだね、あの国が国交を開いたのは今の王になってからだから他の国はそのことを知らない。我がアデライトが初めての相手なんだ。それでね、ユリア王女なんだけど、彼女は今から十年前の十五才の時に突然城の噴水池に現れたそうだ」

「へっ、噴水!?」


 転移ってとんでもないところに飛ばされちゃうんだ・・・

 びしょ濡れでびっくりしただろうな。せめてもう少しまともな場所なら良かったのに。


「『外から来た者』の話はずっと昔の事だからみんな忘れていて最初は間者ではないかと疑われて捉えられ色々調べたけれど、それらしい証拠は何も見つからなった。言葉は通じるが会話の内容はかみ合わない。どこから来たのか尋ねれば聞いた事もない国の名前しか彼女の口からは出て来なかった。そこで言い伝えにあった「外から来る者」ではないかという事になり、城で保護する事になったそうだ。

 最初は自分の置かれた状況にパニックを起こし「帰りたい」と泣きじゃくっていたといたらしい」


 当然よね、女子高生が突然異世界へ飛ばされて来ちゃったんだから。


 ユリアは自分が帰る方法が無いと聞かされると諦めがついたのか、少しずつ前向きに考えるようになりこの国文化やしきたりを学び始めた。ガルーダには聖女がいるが「外から来た者」のユリアにはいやはり聖女の力は無かったが、その代わりに摩訶不思議な事を言い出して二輪の乗り物を作らせ城内を乗り回していたという。


 なにそれ、私もやりたい!

 自分がアデライト城内を自転車で走り回る姿を想像して思わず笑ってしまった。隣のバージルは自転車を知らないので「?」と不思議そうに笑っているアンナを見ている。


 そんな突拍子もないこと考えるユリアを王妃が特に気に入り可愛がった。その養女に迎えガルーダの第三王女となった訳だ。


「でさ、彼女にその換気扇と万年筆の事を聞かれアンナの事を話したら君に会わせて欲しいとお願いされたよ」


 そうでしょうね、そうなりますよ。私だって同じことを思っているんですから。


「勿論私もお逢いしたいです」


「だから、その前にアンナちゃん?君の事も聞かせてもらおうかな?」


 デオドールが探るような目をしてニヤリと笑った。

 アンナは横にいるバージルの顔を伺うと「うん」と無言で頷き微笑まれてしまう。

 

 アンナは自分が事故死し、この世界に転生してしてきたことを話す。もちろん大聖女の魂を持っているとは言わない。ただ転生する際に神様の加護で光の精霊ビオラと聖獣フォルガァに守って貰えていると伝えた。ついでに神様から膨大な魔力も貰ったと付け足した。


「やっぱりね、ドルチェ国へ行った時・・・変だと思っていたんだよ。魔力大会であんな凄いのを見せられちゃったし、召喚獣まで呼んじゃっただろう?」


「あれは・・・召喚獣では無くて精霊のドロップが化けていたんです」

「えっ、猫のドロップ?も精霊なの?」

「はい、水の精霊ですね」

「うわっ、なにそれ!アンナちゃんは二人の精霊と契約してるって事?」

「あ、いえ。ドロップは契約していません。ビオラの精霊仲間だしなんか気に入られちゃって勝手に傍に居るだけです」

「っ・・・それも凄いな」

 デオドールはキツネに包まれたかのように呆然としていた。


「バージルは知ってたの?」

「ええ、途中から。でも私だって驚きましたよ。精霊に聖獣持ちなんて知らないで好きになりましたからね」


「だよねー」


「すいません」

 思わず誤ってしまった。


「まぁ、アンナちゃんの事情は分かった。ユリア王女がその「外から来た者」で転移者だという事は知られているからいずれ私が彼女を妃に迎えこちらに来たら、同じ考えを持つアンナちゃんも異世界人ではないかと疑われるよね?」

「そうですね、その可能性は大ですね」

「勿論、ユリア王女には話すけど、こっちは両陛下どまりにしておいた方が良さそうだな」

「できればそうお願いしたいです。オレガノの両親はジュリアンナが昏睡している間に私の魂が入ったなんて知らないのですから。純粋に自分の娘が目覚めて喜び育てくれてくれましたので」

「だよね、外見は自分の娘で中身は別人と分かったら卒倒しちゃう」

「兄上、くれぐれもアンナの秘密は・・・」

「うん、分かった両陛下にもその事は伝える。ユリア王女にも他言しないようにと言って置くよ」

「ありがとうございます」


「デオドールお義兄様、それでユリア王女ですが多分元いた世界は私と同じ世界で同じ国だと思います」

「それホント?」

「はい」

「だったら余計に喜ぶと思うよ。何とか早く会えるように調整しよう!」

「はい、お願いします」

「良かったなアンナ」


 バージルがアンナの肩を抱き寄せこめかみに口づけた。



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