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※15◇もしかして同郷かしら?

※お久しぶりの等々となりました。

 翌日休みを貰ったバージルと遠乗りを楽しんだ。

 目的地は結婚する前にダニエル、ビオラそしてフォルガと言ったエメラルドグリーンの泉。


「あの時のままね」

「ここは何百年前から変わっていないと思うよ」

「ここで初めてドロップに会ったのよね」

「ああ、あの時は驚いたな」

「私もよ、だってお昼寝から目覚めたら女神のような人がいたんですもの」

「あはは、そうだったな。でも今は白猫だ」


 バージルが楽しそうに笑いアンナを見ると少し目を細めた。


「俺は違う意味で驚いたんだけどな」

「ン、何に?」

 不思議そうに首を傾げるアンナの額に口づけ


「君が寝ている間にビオラたちが話しているのを聞いて君が転生者だと知った。命を落とすとき二十歳の学生だったこともね」

「ああ、その事ね」

「昨日アンナは十九才になった。前世とほとんど同じ年だ」

「そうね。その頃のわたしは結婚なんて考えていなかったわ」

「君がいた世界では成人が二十歳と教えてくれたものな」

 泉の前でバージルは後ろからアンナの腰に手を回してきた。

「こんな素敵な王子様がわたしの旦那様になるなんて想像もできなかった」

 バージルは一つにまとめた髪から見えるアンナのうなじにチュッと音を立てて口づけを落とした。


「大聖女ジュリアーナ、杏、ジュリアンナ・・・君は神に選ばれし者」

「そんな大げさなものじゃないわ」

 アンナがクスリと笑う。

「光の精霊、水の精霊、聖獣フォルガ、君の周りには神に繋がる者たちで囲まれている」

「ふふふ、そうね」

「前世の記憶からこの世界に無いものまで作り出し民に優しい生活をもたらした」

「あれは、わたしが欲しいと思ったのばかりだし」

「そんな事は無いよ。空調設備のお陰で毎年風邪で命を落とす人の数も減った。調理器具や洗濯をする道具は市井で主婦の味方となり、余裕が出来た時間を子供たちに愛情を注ぐ時間にもなった」

「大げさだわ」


「アンナ、君はこれから何をしたい?」


 バージルはアンナの身体を反転させ向き合うと金色の瞳でしっかりと見つめて来た」


「う~ん、なんだろう?別に今すぐやりたい事は無いかも。このまままったり過ごせたらいいかな。あっ、勿論王族として与えられた仕事はきちんとこなすし、まったりしている中にも何か見つけられたらまた新しいことをすると思うの。それからバージルと一緒に色々な国も周りたいかも。んー、でもデオドールお兄様が妃を迎えてくれないとわたしの仕事も減らないか」


「ふふ、そうかまったりね。もう少ししたら今よりもっとまったり出来るぞ」

「どういう事?」


「兄上に縁談が来ている」

「えっ、まじ?デオドールお兄様結婚なさるの!」

 

 ずっと独り身を通してきた王太子のデオドールも来年には三十才になる。


「どこのお姫様?それとも貴族のご令嬢?」

 バージルの腕を揺らしながら食い入るように聞いて来る。


「ガルーダ国の王女だよ。年は二十五才」

「まぁ、王女様がその年まで一人だったなんて、まさか訳アリ?」

「あはは、全くアンナの言い回しは面白い。ユリア王女はガルーダの第三王女で行き遅れたのには訳がる」

「なによ、やっぱり訳ありじゃない」

 ぷいっと副面をするアンナは十五の頃から変わっていないなとバージルは思い自然と顔が綻ぶ。


「あっ、ガルーダと云えば私がお願いしてショーユとミソを輸入して貰ってる国でしょう?」

「ああ、そうだよ。外交で兄上が訪れて知り合って口説いたらしい」

「へぇ~、お兄様から口説くなんて初めでしょう?」

「だから父上も母上も驚いている」

「そりゃそうよね」

 うんうんと頷く。

「その王女が少し変わっていてそこが兄上のツボに嵌ったらしいよ」

 バージルは少し間を置いて何やら嬉しそうにアンナの顔を見ている。

「なに?それ!」


「ガルーダは何でアンナの欲しかったショーユやミソがあると思う?」

「ん-、考えたことが無かったけど島国だから独自のモノで」

「でも聞いた所によるとそれが出来たのは百年年前ぐらいらしいよ。しかも考案したのはたぶんアンナと同じ異世界から来た人」

「えっ、うそ。そうなの?」

「ああ、兄上の話ではガルーダには不思議なものが色々あるらしいんだ」

「例えば?」


「車輪が二つ付いた一人用の乗り物」

「・・・えっ?」

「他には大勢で入れる温泉施設でスパとか言ったかな」

「ば、バージルそれってまさか・・・」

「そう、そのまさかだよ」

「そしてそれを考えたのがユリア王女」


 アンナは両手で開いた口を塞ぎ声も出せず目を見開いていた。


「大丈夫?ほら深呼吸をして」


 大きく深呼吸をしたアンナを優しく抱きしめた。


「うそみたい、わたしと同じような人が百年前にもいたなんて。そしてまた同じ国にユリアさんがいる。ああ、信じられないわ」

「うん、俺も兄上の話を聞いて驚いた。でも一つ違う所はアンナは命を無くしてからこちらの世界に来たけど彼女は生きているそのまま来たというんだ」


「おお!異世界転移なのね!」


「えっ、転移? どういう事?」


「今バージルが言ったようにわたしみたいに死んでから異世界で新たな命を持つのが転生者でユリアさんのように普通に生活していて突然こちらの世界に飛んできてしまう事を異世界転移って言われてるの。後はこちらの世界から強制的に呼ばれてしまう事を召喚ともいうわ。私たちの世界では漫画やラノベ、小説の中のお話しだったけど・・・私も実際転生してる訳だから」


「なるほど、そう考えると今俺たちがいる世界にはアンナやユリア王女のような異世界から来た者がまだいるかもしれないな」


「そうなるわね・・・あっ、それはおいて置いて。百年ぐらい前に来た人ってしかしたら私と同じ国から来たかも知れないわ!だって、醤油と味噌だもの。それにユリアさんもそんな気がするの」


「俺もそう思ったんだ」


「会いたいわ」



 その夜、アンナはデオドールの私室に押しかけユリア王女の話を詳しく聞く事となる。





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