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※10◆ベイベリー邸にて

◆ベイベリー邸寝室での会話



「あの【換気扇】という魔道具だけど魔石を使うだろう?魔石電池というのはどの位の寿命にするんだい?」

 バージルは寝台の上でクッションを背に抱きかかえるアンナのプラチナピンクの髪を弄んでいる。

「そうね、毎日使ったとして一年かしら。不正使用できないように加護を付けるけど万が一の場合を考えて通し番号を付けるの。交換の際に分かるようにね。どこの誰が買ったのかも分かるわ」

「でも普及が進んだら難しくないか?」

 当然の疑問。

「ふふ、心配ご無用よ。オレガノ商会には優れた助っ人がいるから」

「助っ人?」

 何か怪し気にほくそ笑むアンナにバージルは戸惑ってしまう。


「国が特許を取り開発し製造しオレガノ商会が販売を手掛けるという流れで間違いない?」

「ええ、魔石の原石は国が保有している訳だし売り上げは国に入るべきでしょう。オレガノ商会は仲介料が入るしいいんじゃない?回収した魔石電池は年に一度、その量にも寄るけど私が工場へ出向いて新たな魔力注いでリサイクル・復活させればいい。

 あっ、電池自体の魔力は小さいから聖女マリーにも出来ると思うわよ」


「はぁ、そこまで考えているのか。凄いなアンナは」

 目元にキスをしてアンナを見つめる。

「わたしが凄い訳ではないわ。前世は魔法がない代わりに科学や技術はバージル達には想像もできないくらいに発達していたんだもん。こっちで云う平民の私達でも便利に使える道具が普通に普及していたし。

 もし、もしも私が転生したのがこの異世界ではなく地球の過去に遡ってだったら現在持っている知識は広めることが出来ないもの」


「何故?」


「だって、数十年後いえ、数百年後に研究者や技術者が苦労を重ね世に出る筈の物が突然目の前に出てきたら・・」

「そうなったら?」

「大げさに言ったらその技術が悪用されたり、最悪の場合歴史が変わり二ホン、ううん。人類が消滅するかも知れない。歴史が変わると云う事はもしかしたら私、前世の杏も生まれていないかも知れないということなのよ」


 バージルは背中に冷たいものを感じた。

 別世界の異世界に転生したからアンナの知識が使えるのだという事に初めて気が付いたのでした。


「だからね、私が発案し世に出す物はとても小さな便利グッズでも危険な要素を持っているの。なので国が管理するべきなの。分かった?」


「ああ、十分に理解した」

「なら良かった。じゃぁもう寝るわね」


 そう言ってアンナは上掛けを引っ張りバージルの胸に頭を付けたのでした。


 暫くしてアンナから規則正しい寝息が聞こえて来た。

 バージルは彼女の髪に指を絡めながら感慨深げに寝顔を見つめていた。


『前世で不慮の事故に遭い大聖女の魂を持って異世界に転生してきたアンナ。前世での記憶が無ければ問題無く成長した事だろう。

 しかし、二十歳だった彼女が七才のジュリアンナに転生したのだ。戸惑いも葛藤もあった筈だよな。それを支えたのが光の精霊ビオラなのだ。俺に対しては口の悪いビオラだが彼女がアンナを愛し子としてくれたことに感謝する。

 アンナのこれからの人生を好きなように生きて欲しい。

 俺はそれを応援しよう。

 愛するアンナ、ジュリアンナと生涯を共にする為に』



◆◆◆


 ベイベリー邸が完成してバージルと共に暮らすようになって。

 まったりと過ごしたいと思っていたアンナですが、第二王子妃という立場はなかなか忙しいらしいです。

 そのうえ自ら新しいことを始めてしまうのですから仕方ないですよね。




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