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  22  臨海学習 終

「よう! しっかり食べてるか~?」

「まだまだ用意は有りますからね」


「あ、学年主任に先生まで」

「ばっちり食べてますよ~!」

「むぐ……すごく美味しいんだな!」

「まぐまぐ……ぐまいまも!」

「……ミーシャ、飲み込んでからしゃべろうなの」

「んぐ。まだまだ食べるにゃよ!」


 特別授業後の夕食は、すべて職員らの手によって用意された。

 バーベキューが主体で、煮込み料理などが脇を固めている。

 生徒達は水着か、水着に一枚羽織って料理を楽しんでいた。


「ふむ、この様子なら安心ですな」

「そうですね。では次に行きますか主任」

「ええ」


 学年主任達は、生徒の様子を確認しに回っていたのである。


「シルバはまだ食べる?」

「ワフッ!」

「じゃあ、おかわり取って来るわね」

「ワフ」


 キーナはシルバ用の受け皿を手に取ると、料理している場所へと向かった。







「うおおお!」

「この香りたまらんな~」

「麺が踊ってるみたいよね!」


――ワイワイガヤガヤ


 幾つもある焼き台の一つに、生徒達が集まり感嘆の声をあげていた。


「うん? 何かしら?」


 キーナもそちらに近づき、何事かと目を向けた。


「これは……”やきそば”?」

「お、そこのお嬢ちゃんは知ってるんかい?」

「見た目だけは……ですけど」

「ほう? まぁー、実物はこんなやでー、よっと!」


 職員服の上から前掛けを着けた鷹人族男性が作っていたのは、軽く二十人前はあるかという量の”やきそば”であった。

 華麗なコテ捌きにより、麺と具材がソースに絡まり宙を舞っていく。


「おおおお、うまそう!」

「おっちゃんまだー!?」

「辛抱たまらんか? もうちょいやで! そりゃー!」


 男は鉄板の上に広げたやきそばの上から、茶色っぽい粉をドバドバとふりかけていく。


「おっちゃんそれ何!?」

「これはな? 魔法の粉や!」

『な、なんだってー?』

「ええ反応やな、魔法の粉おまけにもういっちょー!」

「おおお……!」


 生徒達の口はもうゆるゆるである。


「よっしゃ、東方連邦はヤミノジフの名物”やきそば”の完成や! いま分けてやるから持って行き!」


 タァン! とコテを鳴らすと、鷹人族の男性は生徒の皿へと小分けしていく。


「よっ、待ってました!」

「ボクもうよだれが……」


 ”やきそば”は、あっと言う間に取り分けられていく。


「お嬢ちゃんも持って行くかい?」

「あ、はい! お願いします」

「あいよー!」


 ”やきそば”を受け取ったキーナは、まじまじと皿の上に有るソレを見つめる。


「これが”やきそば”なんですね」

「そうやで! お嬢ちゃんも東方連邦に行くことがあったら本場で味わってくれよな!」

「あ、はい! では戻りますね!」

「あいよ! 熱い内に食べてや~!」


 脳内のイメージと似たようなモノを目の前にして、ふと唸るのであった。


「あ、シルバのお肉持っていかないと」


 キーナは、肉を焼いている職員の前に立ち、シルバ用の入れ物を片手で伸ばす。


「すいませーん、この肉の山ください」

「えっ? はいどうぞ」


 職員は肉をドンドンと入れ物に移していった。


「有難うございます」


「は~~、よく食べる娘だねぇ」

 

 キーナが去ったあと、女性職員はそう呟いた。まあ、勘違いなのだが。



「はいシルバ、おかわり持ってきたよ」

「ワフッ!」


 シルバはガツガツと食べ始める。


「これがやきそば……うん、美味しい」


 初めて食べた”やきそば”は、何故かとても懐かしい感じがした。







 臨海学習最終日の朝。

 朝食を終えた生徒達はキャンプ場を片付け、帰るための列を形成していた。



「しばらくお肉は無くてもいいにゃ~」

「朝からたくさん食べたもんね」

「ま、学園まで歩いたらすぐに”おにく~”っていうに決まってるんだな」

「そんなこと言わないにゃよ!」

「あはは、まあまあ落ち着いてよ」

「疲れも取れたし、帰りも余裕なのよ」

「あれ最高だったな!」


 夕食の後は、水着姿の十一人と一匹で、星見露天風呂を楽しんだ。

 岩場に浴槽を組み、キーナが<美人湯(びじんのゆ)>で溜めて作ったものだ。


「あのオンセンっていうの? すごく良かったね!」

「女子達はしょっちゅう入ってるんだろ? ずっちーな~」

「……女の子は美しさが大事なの」

「男子はフツーのお湯で十分よ! 特にダンテとかダンテとか」

「何で俺ー!?」

「くくっ」

「はははっ!」


 セレスティアが、まだ根に持っている様子をみた一同は、にやにやクスクスと笑うのだった。







「全員無事到着しました!」

「うむ、ご苦労」


 往路と同じく、自らの足で歩いてきた生徒達は無事、学園都市へと帰り着いた。


「五年生の諸君! 有意義な三日間を過ごせたであろうか? 仲間たちとの友好は深まったであろうか? 技能(スキル)は向上したであろうか? 全ては君達自身で判断してくれたまえ! それでは本年の臨海学習を終了する! 解散!」


 学年主任の挨拶で、臨海学習の全日程が終了した。




「あ、技能(スキル)が生えてる!」

「む……、ほんとにゃね」

「まあアレだけ無茶に泳げば……」

「なるほどねぇ~」


「どれどれ?」


 キーナもタグを出して、ステータスを確認する。


(ステータス)

――――――――――――――――

名 前 キーナ

誕生年 E334/2/6

種 族 人間(ヒューマン) ♀

登 録 グラストル(エテラスル王国)

所 属 エテラスル王立総合学園

クラスなし

賞 罰 なし


状 態 好調


スキル

・【ステータス閲覧】

・【上級魔力操作】

・【中級身体操作】

・【中級計算能力】

・【上級騎乗】

・【中級温熱耐性】

・【中級寒冷耐性】new

・【魔力回復率上昇(中)】

・【疲労度軽減(中)】

・【平衡感覚上昇(中)】new

・【水中姿勢制御】new


・【湯属性魔法】

 [+]


称 号

・【湯神の加護】

・【魔獣の友】

――――――――――――――――


「あ、ほんとです」

「今年の目的はコレだったのかな?」

「たぶんそうじゃないかな」


「ま、それはそれとして帰るにゃよ」

「”味市場(フードコート)”で買い物して行こうよ」

「ん、それがいいんだな」

「……自炊する力は残ってないの」

「甘煮豆パンが残っていることを願うのよ」


「うーん。ニャーは煮豚の気分なのにゃ!」

「あっ!」

「ね? 言ったとおりでしょ?」

「ふふっ」

「ははっ!」

「な、なんにゃー!?」


 ミーシャが朝言った通りに発言た事に対し、一同は笑いながら寮へと帰るのであった。


やきそばで個性を出すのって大変ですよね。

料理人の腕の見せどころでしょう。

ちなみに、私は塩焼きそばが好きです( ´ω`)

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