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  20  臨海学習 二

「にゃっふ~~~~~~~~~~!」

「いえええええ~~~~~~い!」


 島まで残り五分の一の地点

 ミーシャとダンテが先陣を切り、海上を疾走(・・)して行く。


「なかなか厳しいにゃ~~~! ――<氷結(フリージング)>」

「もうちょっと~~~!――<氷結(フリージング)>」


 二人は交互に海面を凍らせ道を作り、それを砕きながら進んでいたのだ。

 まずは足の速い二人が先行して、海棲魔獣の様子を確認するという作戦である。


 この作戦は、


「……学年主任(おじさん)は、あの島まで”泳いで”行けとは言ってなかった気がするの」 


 というロッピィの発言が元となった。


 それを見ていた他の生徒達も「あれだ」「その発想はなかった」などと叫び、似たような行動を始める。


「ついたにゃあああああああああ~~~~!」

「あー楽しかったー!」


 上陸した二人は、一旦心を落ち着かせた後、周囲の様子を確認するために歩き始めた。







「海棲魔獣も見当たらないのにゃ!」

「そうみたいだな。じゃあ皆を呼ぶよ?」

「まかせるにゃ」


 確認が終わった二人は、海中で待機している仲間を呼ぶことにした。


「みんなーーー! 今なら大丈夫そうだよーーーーー!」


 ダンテが浅瀬に立ち、大声でキーナ達を呼ぶ。


「わかったーーーーーーーー!」

「よっし、一気に進むわよ! アレお願い!」


 セレスティアが返事を返し、キーナが合図を出す。


「任せて! ――<氷壁(アイスウォール)>っ!」


――ザッバーッ


 ディアドラは、残りの九人が乗れるサイズの氷の壁を生み出し、氷壁は激しく水飛沫をあげて沈み、やがて海面に浮かび上がった。


「……よし、みんな急いで乗るんだな!」

「わかった……ってありゃ滑るぞ」

「これは厳しいんだな」


 ガルザの合図で、一斉に氷に乗り込もうとするがうまく行かなかった。


「だいじょうぶ。こんな感じで……――<炎熱刻印(ヒートスタンプ)>。……よし。これで登れるの」


 ロッピィは、氷壁の縁を少しだけ残し、表面に靴の裏のような凸凹を付けるように溶かしていった。

 これなら登り易くもなるし、足を踏ん張ることも出来という訳だ。


「やるじゃん!」

「これなら……よっと、乗れたんだな!」

「乗れ乗れー!」

「エミリオ、手を」

「助かるよメルティ」


 他のメンバーも次々と乗り込んでいった。 


「じゃあ行くよ! 落ちないように気をつけてね!」

「わかった!」

「いっけー!」


 全員の準備が整うのを確認したキーナは、後方の縁に膝をあてて伏せ、両腕を海面に触れさせる。


「ひゃっ、冷たっ! っと、これでよし」


 氷の冷たさに一瞬怯んだものの、体表にお湯を纏わせる事で対処した。


「衝撃に備えて! 発動まで三……二……一、――<噴流乃湯(ジェットバス)>!」

「うひょおおお!?」

「あははは! はやいはやい!」

「ちょ、ぶつかるって!」

「おまえらー! 避けろー!」


「うわぁぁぁ!?」

「こっちくんなぁぁ!」


 キーナの手からは、泡を含んだ熱湯が高圧噴射され、その反動で氷壁が加速していった。

 氷壁は後傾姿勢のまま海面を滑って行き、前を行く生徒達を混乱の渦に巻き込んでいた。







「おー? なんか来るぞ!?」



 氷壁が島の外輪に接近したその時、イオラが警告を放った。

 氷壁が放つ音に惹かれたのか、海棲魔獣が群れをなして接近している様子を確認したためだ。



「あれは多分……突進海豚(ラッシュドルフィン)かな?」

「そいつらは、何であんなに群がってくるのよ!?」


 デルトロが推測すると、メルティが首を傾げる。


「きっとこの氷壁の動きと、あの泡が出す音に誘われたんだと思うよ」

「ホントに~?」

「あー、それ魔獣辞典に書いてあった気がするんだな」

「よく覚えてられるね~、あたしは無理だわ」

「……これぐらいは覚えてないとだめなの」


「って、どんどん近づいてきてるよ!?」

「まずいんじゃないの!?


 判断に迷う彼らを見たキーナは、その時浮かんだイメージをもとに行動に出る。


「よし、みんな島の方へ跳ばすわよ!」

「え、それはどういう――」


 あと少しで浅瀬に入る地点まで来ていたキーナは、水流を出す向きを九〇度変えて氷壁を回転させ、最終的には突進海豚(ラッシュドルフィン)の来る方へと走らせた。


「――ことだって、んはー!?

「うわー!?」

「おおおおお!?」

「とんだー!」


 慣性の法則に従って、キーナ以外は島の方へと放り出され、声を上げた。



「……飛びすぎたけどよし! じゃあね氷壁さん!」


 キーナも遅れて氷壁を離れると、水流の勢いを使って浅瀬へと降り立った。


――キィキィ

――――キィィキィ


 氷壁は突進海豚(ラッシュドルフィン)の下まで辿り着き、しばらくおもちゃにされる事となった。



――バッシャーン!

――――ドブンボシャン!


 飛ばされた面々は、次々に盛大な音を立てて落水した。


「ごぼっ……けほっ……」

「寿命が縮んだんだな」

「こらー! なにすんだー!」

「あはははは! もう一回!」

「あーびっくりしたー!」

「……心臓に悪いの」

「これ面白いよ! またやってよ!」

「私は二度とごめんなのよ」


「なんか面白いことやってたのにゃ! ニャーにもやるのにゃ!」

「さっきのやつ、改良したら良い遊びになりそうだよね~」


 放り出された面々は各々感想を言いつつ島に上がり、先行していた二人は面白そうだと述べた。


「ごめんごめん、あんなに飛ぶとは思わなくて」


 イメージしたよりも十倍ほど放り出されたのであった。


「まぁ、海でよかったよ。傷が治るとは言っても痛いものは痛いからね」

「ごめんって。さぁ、職員さんの所に行きましょう?」

「行こう行こう~!」


 その後も、やいのやいの言いつつ、記録をつけに向かう一同であった。


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