19 臨海学習 一
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臨海学習初日の朝がやって来た。
臨海学習のスケジュールは、現場へ移動、キャンプを設営して就寝、一日使っての特別授業、起床後にキャンプ解体、学園へ移動という流れである。
「まだかな~まだかな~?」
「はやく出発するにゃー! おさかなさんがまってるにゃよー」
「……気が早いの」
「外に出るのも久しぶりだし、わくわくが止まらないぜー!」
学園の南門前には生徒達が整列しており、自分たちの順番はまだなのかと出発を心待ちにしていた。
◇
「よし! 五年生諸君! 一組から順に前進開始! 我に続け!」
学年主任の号令で、隊列が移動を始めた。
「よっし! シルバ行くよ!
「ワフッ」
「乗っていければ楽なのにね~?」
「……ワフゥ」
目的地までの往復路では、生徒自身の足で歩かなければならないのだ。
従魔の同行については、往復中とキャンプ内のみ許可されていて、特別授業中は待機所でお留守番となる。
「お散歩が楽しいのよ♪」
「外の景色は新鮮でいいよねー」
「ボクはずーっと学園で暮らしてたいけどねー」
「それもありにゃね」
卒業してしまえば、この快適な環境とはお別れであるのだ。
もし、学園都市に残りたいのであれば、学園の職員になるか、警備隊に入隊する、もしくは飲食や宿泊関係の仕事に付くしか無い。
とはいえ、それも難しいのであるが。
◇
一行は長い列となり、淡々と歩き続けていた。
今回の目的地は王都の南に馬車で半日の距離にある。
昼食の支給弁当を食べ終え【中級身体操作】【疲労度軽減(小)】等の技能を習得している生徒達は、平気な顔で歩き続けていた。
「景色が変わって来たんだな!」
「森が見えなくなってきたからね」
「……あの丘を超えたら海が見えるはずなの」
「一年ぶりの海か、楽しみだね!」
一同は心を踊らせながら海を目指すのであった。
◇
そして、夕方一回目の音が鳴るであろう頃、広大な海を一望できる高台へと辿り着いた。
「海だああああああああああああ!」
「にゃっはーーーーーーーーーーー!」
デルトロが海に向かって叫ぶと、ミーシャもそれに習った。
「潮の香りなんだな! ……魚の塩焼きが食べたくなってきたんだな!」
「いやー、歩いた歩いた~。弁当はとっくに消化しちゃったもんね!」
「……おなかすいたの」
ガルザ、ダンテ、ロッピィの三人は空腹を訴えだす。
歩くのは平気でも、空腹には勝てないようだ。
「みんな、テント張りに行くわよ」
「とっとと組んじゃおうぜー!」
「ぼくに任せとけっ!」
キーナ、ディアドラ、イオラの三人は設営場所へと走っていく。
「ぼく達も行こっか」
「そうするのよ。そっちも早くするのよ」
エミリオとメルティは他のメンバーを急がせると、キーナ達をゆっくりと追いかけていった。
◇
――ワイワイガヤガヤ
慣れた手つきでテントを組み上げた生徒達は、配給の食材や、開いた時間に獲った魚介類を使い、自らの手で夕食を作り、互いの味を楽しんでいた。
「メルティの作った煮物うめぇ~!」
「同感なんだな」
「うま……うま……」
「おかわりもあるのよ」
「イオラの香草焼きもイケるね」
「だろぉー! というかコレぐらいしか誰かに作るって無いんどな!」
「イオラはここのとこずっと”味市場”頼りだからねぇ」
「ははっ! ミーシャには負けるけどな!」
「はぐはぐ……それは仕方の無いことにゃよ。にゃ~、このお魚うまいにゃ~♪」
「ホントにねー、コレ生じゃないんでしょ?」
「外側だけ焼いたんだっけ?」
「デルトロの言うとおりよ。周りだけ焼いて、氷水で冷やしてあるの」
「この野菜のソースがよく合うよね~♪」
「このお魚を見たらなんとなく作りたくてね。美味しく出来てよかった♪」
キーナが作ったのは”たたき”を施した魚料理であった。
「……ワフ!」
「はいはい、たーんとお食べ♪」
シルバもまた、おかわりを要求するほど”たたき”の味に満足したようである。
◇
そして翌朝、特別授業が始まろうとしていた。
全員水着姿での整列だ。
キーナは、先日に新調した小豆色のビキニを着用していた。
「結局コッチにしたんだ~」
「ほほう、大胆な方を選びましたか」
「折角だし、ねぇ?」
「くっ」
「ミーシャはこっち側に来るといいのよ」
「……おいでなの」
女子はそのスタイルについて語り、
「いい眺めだねぇ」
「……なんだな」
「うおっ! 隣のクラスの子あんなの着て大丈夫なのか!?」
「もー。まじめにやんないとだよ?」
「堅い事言うなって~エミリオ~」
「男の子って」
「悲しい生き物なのにゃ」
「……そういうものなの」
男子達は女子の水着姿に目を輝かせていた。
◇
「おはよう諸君!」
生徒達は「おはようございます!」と返す。
「元気で宜しい! さて、今年の特別授業の内容を発表する――」
「わくわく」
「どきどき」
「口に出して言わなくてもいいのよ」
「――今回はあの島までの往復とする! 職員が島で記録をとるから忘れないように!」
「お、簡単そうだ」
「それなら楽勝にゃよ」
「……そうでも無さそうなの」
学年主任が指差したのは小さな島であった。
学園都市の幅四つ分はあろうかという距離である。
「ただし、あの島の付近には好戦的な海棲魔獣も生息している! 各人知恵を絞って行動するように! 海上では属性魔法の使用を許可する! では行動開始!」
号令が出されると、生徒達は仲間同士であつまり相談を始めた。
「楽しそうじゃない!」
「で、どうする?」
「どこか突撃するチームについて行くのは?」
「ずっこいんだな」
「皆同じことしそうなのよ」
「出たとこ勝負でいいんじゃねー?」
「……イオラはちゃんと考えたほうがいいの」
「ははは、ぼくも同意だね」
「ボクなら魔法でゴリ押ししちゃうけど」
「……巻き込んで大変なことになりそうな気がするわね」
その後もなんやかやと話し合い、
「とにかく行ってみましょう、まあ、いざとなったら私が何とかするから」
「それにゃ」
「それだな」
「……結局こうなるの」
「だな」
「でもできるだけ頑張るのよ
「ほーい!」
どうやら、いつものパターンになりそうだと、一同は頷くのであった。
※誰得の水着回




