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  19  臨海学習 一

ブクマ評価有難うございますm(__)m

 臨海学習初日の朝がやって来た。


 臨海学習のスケジュールは、現場へ移動、キャンプを設営して就寝、一日使っての特別授業、起床後にキャンプ解体、学園へ移動という流れである。



「まだかな~まだかな~?」

「はやく出発するにゃー! おさかなさんがまってるにゃよー」

「……気が早いの」

「外に出るのも久しぶりだし、わくわくが止まらないぜー!」


 学園の南門前には生徒達が整列しており、自分たちの順番はまだなのかと出発を心待ちにしていた。






「よし! 五年生諸君! 一組から順に前進開始! 我に続け!」


 学年主任の号令で、隊列が移動を始めた。


「よっし! シルバ行くよ!

「ワフッ」

「乗っていければ楽なのにね~?」

「……ワフゥ」


 目的地までの往復路では、生徒自身の足で歩かなければならないのだ。

 従魔の同行については、往復中とキャンプ内のみ許可されていて、特別授業中は待機所でお留守番となる。


「お散歩が楽しいのよ♪」

「外の景色は新鮮でいいよねー」

「ボクはずーっと学園で暮らしてたいけどねー」

「それもありにゃね」


 卒業してしまえば、この快適な環境とはお別れであるのだ。

 もし、学園都市に残りたいのであれば、学園の職員になるか、警備隊に入隊する、もしくは飲食や宿泊関係の仕事に付くしか無い。

 とはいえ、それも難しいのであるが。





 一行は長い列となり、淡々と歩き続けていた。

 今回の目的地は王都の南に馬車で半日の距離にある。


 昼食の支給弁当を食べ終え【中級身体操作】【疲労度軽減(小)】等の技能(スキル)を習得している生徒達は、平気な顔で歩き続けていた。


「景色が変わって来たんだな!」

「森が見えなくなってきたからね」

「……あの丘を超えたら海が見えるはずなの」

「一年ぶりの海か、楽しみだね!」


 一同は心を踊らせながら海を目指すのであった。





 そして、夕方一回目の音が鳴るであろう頃、広大な海を一望できる高台へと辿り着いた。



「海だああああああああああああ!」

「にゃっはーーーーーーーーーーー!」


 デルトロが海に向かって叫ぶと、ミーシャもそれに習った。


「潮の香りなんだな! ……魚の塩焼きが食べたくなってきたんだな!」

「いやー、歩いた歩いた~。弁当はとっくに消化しちゃったもんね!」

「……おなかすいたの」


 ガルザ、ダンテ、ロッピィの三人は空腹を訴えだす。

 歩くのは平気でも、空腹には勝てないようだ。


「みんな、テント張りに行くわよ」

「とっとと組んじゃおうぜー!」

「ぼくに任せとけっ!」


 キーナ、ディアドラ、イオラの三人は設営場所へと走っていく。


「ぼく達も行こっか」

「そうするのよ。そっちも早くするのよ」


 エミリオとメルティは他のメンバーを急がせると、キーナ達をゆっくりと追いかけていった。







――ワイワイガヤガヤ


 慣れた手つきでテントを組み上げた生徒達は、配給の食材や、開いた時間に獲った魚介類を使い、自らの手で夕食を作り、互いの味を楽しんでいた。


「メルティの作った煮物うめぇ~!」

「同感なんだな」

「うま……うま……」

「おかわりもあるのよ」


「イオラの香草焼きもイケるね」

「だろぉー! というかコレぐらいしか誰かに作るって無いんどな!」

「イオラはここのとこずっと”味市場(フードコート)”頼りだからねぇ」

「ははっ! ミーシャには負けるけどな!」


「はぐはぐ……それは仕方の無いことにゃよ。にゃ~、このお魚うまいにゃ~♪」

「ホントにねー、コレ生じゃないんでしょ?」

「外側だけ焼いたんだっけ?」

「デルトロの言うとおりよ。周りだけ焼いて、氷水で冷やしてあるの」

「この野菜のソースがよく合うよね~♪」

「このお魚を見たらなんとなく作りたくてね。美味しく出来てよかった♪」


 キーナが作ったのは”たたき”を施した魚料理であった。


「……ワフ!」

「はいはい、たーんとお食べ♪」


 シルバもまた、おかわりを要求するほど”たたき”の味に満足したようである。







 そして翌朝、特別授業が始まろうとしていた。

 全員水着姿での整列だ。

 キーナは、先日に新調した小豆色のビキニを着用していた。


「結局コッチにしたんだ~」

「ほほう、大胆な方を選びましたか」

「折角だし、ねぇ?」


「くっ」

「ミーシャはこっち側に来るといいのよ」

「……おいでなの」


 女子はそのスタイルについて語り、


「いい眺めだねぇ」

「……なんだな」

「うおっ! 隣のクラスの子あんなの着て大丈夫なのか!?」

「もー。まじめにやんないとだよ?」

「堅い事言うなって~エミリオ~」


「男の子って」

「悲しい生き物なのにゃ」

「……そういうものなの」


 男子達は女子の水着姿に目を輝かせていた。






「おはよう諸君!」


 生徒達は「おはようございます!」と返す。


「元気で宜しい! さて、今年の特別授業の内容を発表する――」


「わくわく」

「どきどき」

「口に出して言わなくてもいいのよ」


「――今回はあの島までの往復とする! 職員が島で記録をとるから忘れないように!」


「お、簡単そうだ」

「それなら楽勝にゃよ」

「……そうでも無さそうなの」


 学年主任が指差したのは小さな島であった。

 学園都市の幅四つ分はあろうかという距離である。


「ただし、あの島の付近には好戦的な海棲魔獣も生息している! 各人知恵を絞って行動するように! 海上では属性魔法の使用を許可する! では行動開始!」


 号令が出されると、生徒達は仲間同士であつまり相談を始めた。


「楽しそうじゃない!」

「で、どうする?」

「どこか突撃するチームについて行くのは?」

「ずっこいんだな」

「皆同じことしそうなのよ」

「出たとこ勝負でいいんじゃねー?」

「……イオラはちゃんと考えたほうがいいの」

「ははは、ぼくも同意だね」

「ボクなら魔法でゴリ押ししちゃうけど」

「……巻き込んで大変なことになりそうな気がするわね」


 その後もなんやかやと話し合い、


「とにかく行ってみましょう、まあ、いざとなったら私が何とかするから」

「それにゃ」

「それだな」

「……結局こうなるの」

「だな」

「でもできるだけ頑張るのよ

「ほーい!」


 どうやら、いつものパターンになりそうだと、一同は頷くのであった。


※誰得の水着回

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