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  12  授業開始

活動報告に学園都市と学園寮の略図をのせておきました

参考にして下さい。


 面談が終わり、本格的な授業が開始された。

 授業を受けるための基礎学力に問題のある数人の生徒には、担当職員が補助することで対応された。生徒の”わからない”を無くしたいのだ。


 時間割は午前と午後に分かれており、午前は座学系、午後は実践系の授業が行われる。




 初日の午前は地理と歴史。

 世界にある土地と国の大まかな分布、国々の成り立ちについて学んでいった。


 一年生が学ぶのは、ほぼ王国内の事柄についてだ。

 とはいえ、壁に貼られた大きな地図を教諭が指差しながら説明した後、「ぼくたちの家はこのへん」「わたしはこっち!」などと生徒達が話し合う遊びみたいな授業だ。

 遊んでいるうちにどんどん覚えていくのである。



 初日の午後は体育。

 暫くは運動能力向上を目的とした走り込みや、身体の使い方について学ぶ。

 まずは【中級身体操作】の習得を目指すことになる。


「にゃっは~~~~~~~~~~~~!」

「まけないのよ~~~~~!」


 長距離走をする中、獣人族ペアは元気よく走り回り、


「はっはっ……もうだめ……」

「ボク、は、はしるの、すきじゃないのに」


 人族ペアはダウン気味であった。


「シルバに乗ってばっかりだったからなんだな」


 ガルザはのんびり走りながら突っ込むのであった。







 授業二日目は、丸一日魔法の基礎を学ぶ。

 座学の後、実践である。


「では、魔法の授業を始めます。まず皆さんはどのような魔法を見たことが有りますか? はい手を上げてー!」

「はーい!」「はいはい!」「……」


 教諭の質問に、一同が元気よく手を挙げる。


「では……イオラくん」

「はい! 火の玉を飛ばしたり、物を切る魔法を見ました」

「はいありがとう。他はどうかな?」


「じゃあ……メルティさん」

「池の水を持ち上げたり、凍らせたりするのを見たのよ」

「はいありがとうね」


「みんなもいろいろな魔法を見たことが有ると思います。魔法というのは――」


 授業の内容を纏めると、


”体内に持つ魔素(マナ)を基に、世界の様々な要素に働きかけることで生まれる現象である”

”魔法はすべての生命が使うことが出来るが、使いこなせるかどうかは別問題である”

”魔力属性は親和性に関わり、使用する魔法と近いほうがより効果を発揮できる”


 というようなことが、わかり易い絵と言葉で伝えられた。


「今はまだ良くわからないと思うけれど、知識として覚えておいてもらえたらいいわよ」

「はーい!」


 生徒たちは徐々に理解していくのである。




 そして午後、実際に魔法を発動させる授業が始まった。

 五~六人に一人の教官が付き、グループ単位で距離をとっている。


 グラストル女子六人でグループを組み、教官の指導に耳を傾けていた。


「まず、体内の魔素(マナ)を操作するところから始めます。ここは問題ないはずですよね」


 教官は自らの右手人差し指を上向きに立て、一同に同じ姿勢を取らせる。


「では、【初級魔力操作】の技能(スキル)を意識して、体内の魔素(マナ)をその指先に集めてみましょう」


 六人は、スムーズに魔素(マナ)を集めることに成功する。


「ここからがポイントです。この集めた魔素(マナ)で何をしたいか、をできるだけ具体的に想像して下さい。今回は”飴玉ぐらいの水の塊が出てきてそのまま浮いている”でやってみましょう」


「ふみゅ、飴玉飴玉……じゅるり」

「飴玉じゃなくて水玉なのよ」

「う、わかってるにゃよ」

「……まじめに集中するの」

「あたしは何時でも行けるわよ?」


「想像出来ましたか? では、その想像した空間に先ほどの魔素(マナ)を流し込んで見ましょう。このようにね」


 教官の指先に、ふよふよと揺れる水の塊が現れる。


「えい……あれ? でろー? でた!」

「…………できたの」

「……やった! ボクにも出来た!」

「にゃー! にゃ? できたにゃー!」

「これぐらい簡単なのよ」

「ぬぬぬぬ……。 むう、あたしが最後か~」



 キーナ達も何度か試すうちに成功した。


「無事に出来たようですね、今回は水でしたが、次は小さな炎でやってみましょう」


 これも無事成功し、次は地面を指差してつむじ風、土玉、小さな光の順で体験していった。


「このように、魔法はほぼ全ての人が使えます。このぐらいの小さな魔法はタグに記録されることは有りません。でないとステータス画面が技能(スキル)でいっぱいになってしまうでしょうからね」


「それは大変だよな」

「ええ。これらを一般的には”生活魔法”と呼んで区別しています」


「ふむふむ」


「それとは逆に、タグに記録されるレベルの魔法は”属性魔法”と呼ばれ、技能(スキル)神によって魔法名が定められ、管理されているのです」


「すごい歴史なのよ」


「ちなみに、名簿に有る属性魔法を経験すると”天使様”の声で魔法名が知らされてタグに記録されます。その後は魔法名を使うことで無駄なく魔法を使うことができるようになります。聞いた時にびっくりして慌てないようにしてくださいね。この声は聞けばすぐに分かりますよ」


「しつもーん!」

「はい、セレスティアさん」


 シュタっと手を挙げて尋ねる。


「かっこいい魔法を思いつい場合、自分で魔法名をつけたりは出来るんですか?」

「……とてもいい質問ですね。文献によると、魔法が使われ始めた頃は、属性魔法に特定の魔法名はついていなかったらしいのです」

「はい」

「その後、多人数で行動している場面で各人が好き勝手に魔法を使い、バラバラの魔法名を使っていました。するとどうなると思う?」


「たぶん、魔法名の意味を知ってないと何が起こるかわからなくて困るのよ」

「その通り。そんな状況に困った当時の人々は、その役割ごとに魔法名を共通化、決まり事を作っていったの」


「そんなことがあったのにゃー」

「その後、星神様が創った技能(スキル)神が、それらの魔法名を基にして管理するようになったと言われているわ」


「……すごいはなしなの」

「ふふ。それで質問の答だけど、もし完全なオリジナルの魔法ができたら、自分で付けた魔法名が使われる可能性も有るんじゃないかって言われてるわね」


「そっかー、わかりました!」

「いえいえ。さて、残りの時間はさっきより少し魔素(マナ)を増やしてやってみましょう。 ときどきステータスを確認して魔力が枯渇しないように気をつけながらね?」


「はーい! 次はリンゴぐらいのつくろーっと」

「お、いいね! あたしもやろっと」

「……おなかすいたの」


 一同は時間が来るまで魔法と戯れるのであった。

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