表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
看板娘、頑張る  作者: 相川イナホ
6/42

ゲームのオープニング

 

 最初に浮かんだのはデジャブだった。


 王子殿下の出発パレード。見送る人々、パレードの中に交じる一人の銀色の髪の少年から青年にさしかかろうという年齢の騎士。ああ、そうだ、彼は将軍閣下の養い子だという設定だった。


 次に見た彼は3年の年を得て更に精悍さを増し、その麗しい青の瞳には片方に眼帯があてられていた。

 大剣を肩にかつぎ、勇者パーティでは前衛の役を務めていた。



 彼が怪我をするのはこの王子殿下との魔物討伐での出来事のはず。

彼は本来は弓兵だったが、この遠征で魔物に片目をやられてしまうのだ。


 そう、この戦いは惨敗に終わり、銀髪騎士の養い親である将軍閣下はお亡くなりになる。

 そこで王都では禁じ手である勇者召喚を行い、ゲームのプレイヤーが召喚されるという運びだ。


 それからまぁいろいろあって魔王が出てきたりしてそれらを倒していく物語がはじまるのだが、

ラストシーンはこうだ。


 逆召喚で元の世界に帰される勇者。泪ぐみ、別れをおしむ姫。

 そして召喚の間の扉を破ってなだれ込んでくる隣国の兵。

 勇者が最後に目にしたのは、勇敢に敵にむかっていく姫の姿。レスティナ様だ。


 そう、どのみちこの国は魔物に攻め滅ぼされるか、隣国に蹂躙される運命だったのである。

 


 そんな事を思い出しつつ、私は何故ゲームと同じ世界に?とかこれは妄想なの?夢なの?といった検証より先にこう思ってしまった。



 ちょっと待って?カモメ亭は?カモメ亭は?どうなるの?


 そんなの一言も、1シーンも入ってなかったよ。

 

 私も家族もグレイブも、通行人役としても役もなく、ちらりとも出てこなかった。


 どうするの?


 どうしたらいい?私。


 あれぇ目がまわる。



 ----------------------------------------------


 私は再びひっくりかえって、教会に運ばれたようだった。



 最後のあのラストは、同じゲームにもう一度ログインさせるための仕掛けで、あのラストに「えええ???魔王討伐したのに???」


とユーザーをびっくりさせ、2週目、3周目と誘うゲーム会社の仕掛けなのだ。


 私は1週目とちょっとのところだったから全てを知っている訳じゃないけど、何かの条件をクリアしなければ、そのラストは変えられないとのことで、まだ攻略サイトにもその情報は乗っていなかった。


 2週目、3周目と進める事で、よりゲームの世界は詳しく明かされていき、登場人物たちの詳しい背後関係も明かされていく。


 勇者であるプレイヤーを成長させるために、仲間の裏切りや死などの試練もてんこもりで、仲間にするメンバーも選べたりする。隣国とのかけひきなど選択肢は多岐にある。

 裏切るメンバーを選択しなければいいという問題ではなく、そこを克服しなければ思うようなラストに進めない。


 いうなれば、やりこみゲーなのだ。

 

 その中で悲しい背景があって勇者を裏切りざるを得なく、それでも結局は自分を犠牲にして勇者を助けてしまうというキャラクターがあの銀髪騎士なのだ。


 それぞれのキャラクターを別々のデザイナーがデザインする手法を取っていたので、銀髪騎士は「この世界で銀髪の人物を書かせたら右に出る者がいないという人物の渾身の作で、大変美麗なキャラクターとして存在した。

 

 女子の多くのプレイヤーは、操作する勇者が彼に裏切られた日には、そろって最低!でも蔑ずみを浮かげた目がご褒美と親指をたて、彼のもつその悲しい背景に泪し、自分を犠牲にして勇者を守って死んだ時には落涙したものである。

 何とかして彼を死なせないようにラストそっちのけで周回を重ねたものも多いと聞く。


 うわぁぁ、へたくそな絵や拙い二次創作小説を投稿していたのまで思い出してしまった。


 黒歴史黒歴史!!



 教会の救護用ベッドで黒歴史に悶死しそうでごろごろとのたうち回る私をよほどの重症と思ったらしく、パレード中に、私を押した方の人がおろおろとしていた。


 大変申し訳ない。


 単に思い出した事によって自分の黒歴史が疼いているだけですので。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 結局、固辞したにも関わらず、お詫び賃という名の金貨をいただいてしまいました。


 まるでこれではならず者。


 王都にきてそうそうなのに疲れ切って、パレードが行ってしまって人もはけた道をトボトボと歩く。


 平凡な飯屋の看板娘Aにはこれから起こる悲劇を止める事もできないし魔物の討伐についていって魔物を蹴散らすといった無双が出来るわけもない。

勇者召喚を「それは誘拐です!」と言って止める手立てもなく。


 はぁ、男爵家に姉の荷物をとりにいきますか。


 すごくどうでもいいけど!!


 それが王都にきた目的だものね。


 頭にできたコブを撫でてため息をつく。何がどうしてこうなったんだろう。


 


 




 


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ