浚われたお嬢様を浚いました
結局、ヤミさんに王都まで、再び連れていってもらい、そこで再びのお披露目(男爵家付近をうろうろ)
いい感じに隣国のスパイさんの残党が食いついたので自身の隠密スキルを発揮。
やーいやーいお尻ペンペンと挑発しておいて、軽くかくれんぼをした後、貴族街で彼らをまく。
これだけ王都で存在感を醸せば騙されてくれるかも?という感触を得たのでこれにて作戦終了という事にする。
しかし、しめしめと浮かれた気分でいたのが悪かったのか、誘拐現場に出くわしてしまいましたよ。
しかも、マーカーは敵を現す点滅だから、私の敵!ならば敵の敵は味方!
麻袋みたいなのに突っ込まれて足だけ出している被害者を横からかっさらってやりましたとも!
うん。レオは出来る子。
「…なんでウチに持って来たんだ」
ジュニアの抗議も何のその。レオが男爵家まで俵担ぎをして運び、男爵家の広い居間でゴロリと麻袋の中を出してみれば、あれぇ?この黒髪見覚えが???
「どこかで見覚えがあるようなないような?」
何か薬的なもので眠らせられているのは、妙齢の美女。
浚われそうになっていた場所といい、着ているドレスの質といい、多分貴族の人。
「この方がどなたかご存じありませんか?」
ジュニアには期待できそうもないので、執事のセバスさんに聞いてみる。
「ミレニア侯爵家のダフネ様ではないだろうか」
何故かジュニアが答えを言う。意外と出来るな…。
「ミレニアってミレニアって将軍様の御実家…」
私の中の記憶が凄まじい勢いで流れ出す。
「ミレニアって、この人、イザーク・ミレニアのアキレス腱じゃん!!」
この人が敵方に拉致監禁されて、銀髪騎士であるイザーク・ミレニアは勇者達を裏切る、というシナリオがゲームにはあったよ
私ったらその原因になるトラウマの現場に居合わせちゃったよ!!
ダフネ・ミレニア
ミレニア侯爵=将軍閣下の唯一の娘。
幼い頃から活発で、剣の筋もいい子どもで、父親の将軍閣下にも大層可愛がられ、憧れの父のようになりたくて女騎士を目指すも、年頃になってきたら急に貴族女性らしくなることを周囲から強要された為、ぐれて家出。
まぁ仕方ないよね。この時代、この国の女性の地位なんて酷いものだもの。
貴族女性に生まれたならば、当然政略結婚とか求められるよねぇ。
貴族家の結婚で女性側に騎士成分てあまり必要なさそうだよね。
なかなか思ったようには生きられないんだよ。
将軍閣下は親戚から、一人の子どもを養子に迎える事にする。ダフネ以外に子どもが出来なかったんだよね。
それがイザーク・ミレニア。
そんなこんなで、銀髪騎士のイザークは、彼女に負い目を感じて成長するのよね。
自分が彼女の居場所をとったんじゃないかって。
だから、彼女を人質に取られて、敵の言う事を聞いちゃうんだよね。
家出して浚われたのか、浚われていなくなったのを家出と言う事にしたのか。
かわいそうな娘ではあるんだよね。いいじゃん女騎士。なったっていいじゃん女騎士。
ならしてあげようよ女騎士。
とはいえ、このまま王都あたりにこの娘を放置しておくと、再び誘拐とか家出とか面倒な事になりそう。
「いっそこっち側で拉致るかなぁ」
私の呟きをひろってジュニアがぎょっとする。
「ダフネ様は社交界の黒薔薇と呼ばれる方だぞ。王子殿下方が競って求婚されているそうだ。そんな方をどうするつもりだ」
「うーん、でもこうして誘拐未遂にあってるでしょう?侯爵家にあっても安心ではないと言う事だと思うの。それに、もしこの事が公になったりしたら周囲に変な目で見られたりしないかなぁ。ほら貴族社会って足の引っ張り合いをするって話だし」
「何気に失礼だな。お前」
ジュニアはため息をつくとダフネ様を介抱しようと床にひざまずいた。が力が足りないようだ。
そういえば侯爵家のお嬢さまを床に転がしたままだ。
「レオ」
名前を呼べば、察してお嬢様を抱き上げるレオ。
そして首を傾ける。
かわぃぃい~~。
「どちらへ運べば?」
ジュニアはなぜか面白くなさそうだ。こっちは可愛くない。
まだ14歳だし君には無理だよ。背ばっか伸びてるみたいだけどね!




