初めての戦闘、初めてのお礼
「というわけで、この世界は、魔王が世界を闇で覆おうとしているの」
歩きながら、AIのユキがこのゲームのあらすじを教えてくれた。
「なんか、普通だね」
王道といえば王道だ。
「魔王を倒さなくても、ゲームを楽しめるけど」
「けど?」
「魔王を倒すと特典があるの」
僕はその特典を聞いた。
「それは、魔王を倒さないとね」
目標ができた、僕は魔王を倒す。
草原を歩いていると、道らしい道にでた。さて、左に行くべきか右に行くべきか。
馬車の音がして、右を向くとリンゴを積んだ馬車がゆっくりとこっちに向かってきている。
馬車に乗っている男が僕達を見て、馬車が止まった。
「お前らここでなにしてんだ?」
馬車に乗っている男が僕たちを見て尋ねてくる。
「えっと」
答えようとすると、草むらから音が聞こえた。
ゴブリンだ!しかも3匹!
こん棒と盾を持っているゴブリン。やりを持っているゴブリン。弓と矢を持っているゴブリン。
僕とユキは戦闘態勢に入って、ゴブリンたちを迎え撃つ。
こん棒を持ったゴブリンが飛びながら僕に向かってこん棒を振り下ろす。
後ろに下がってこん棒をよける。隙だらけのゴブリンに突きをお見舞いさせる。
矢が飛んできた。弓をもったゴブリンだ。
かすったが、死ぬほどのダメージじゃない。
「ファイア」
ユキが火の呪文を唱えて、ゴブリンにあてる。
ユキのジョブは魔法使い。魔法は使えるけど連発はまだできない。
つまり、僕が槍のゴブリンを倒さなければならない。
ゴブリンがやりで突いてくる。それを、先ほど倒したゴブリンの盾でふせぐ。
ばてたのか、攻撃がやんだので、安心して切る。
テテテテテン。レベルが上がった。各パラメータが少し上がる。
「助けてくれてありがとう」
いつのまにか、馬車の男が隣にたっている。
「いえ、あの、はい」
突然の感謝に上手く答えられない。
「お前たち、村までのってくか」
「いいんですか?」
僕とユキはリンゴが積んでいる馬車の隙間に座る。
「リンゴ食っていいぞ」
「いいんですか!」
リンゴを手に取って、口に含む。先ほど受けたダメージが回復していく。
僕たちに会わなければ、馬車の男はゴブリンに襲われなかったのでないか。
きっと、あれはチュートリアルだ。
あの道に出なければ、馬車の男も現れない。
数分で村に着くだろう。
村では何があるだろうか。
これから楽しみだ。




