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ヒロイン  作者: 十矢


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そらからのこえ

「あ! あの娘よ」

「わっか!」

「かわいいって三回言ってみると、機嫌よくなるから、どうしてものときには使ってね」

「わかった!」


 カウンターの前に来るなり、笑顔でわたしを呼ぶ。


「はい! なんでしょうか」

「うふふ。来てくれたんだぁ嬉しい」


 来なきゃいけない場所だから、とはいえない。


「いま認証して要請補助と、通行パスの有効化を確認したいんです。業務報告はあとかしら」

「竜契約のはすぐでるわよ」

「ほんと? ありがとうございます」

「要請補助は、あなただもの。すぐに通るわね。通行パスは少し時間かかるからゆっくりしてね」

「はい!」


 一瞬受付に入ると、すぐに竜契約の書類をみせてくれる。


「これね」

「そうです」


 戸惑っているライラリックュスをみて声をかける。


「あなたは? どの手続き」

「申請書類と認証カードとあとは」

「じゃ先に認証はできたのね」

「はい」


 また一瞬受付に入ると、すぐにライラリックュスの竜契約の書類もだしてくれる。


「竜契約の書類ね」

「あの特に頼んではなくて……」

「持って置いたほうがいいわよ。使うから。ね」


 わたしを見るため、頷く。


「わかりました」

「認証カードのは、なにに使うやつ?」

「以前の街で、足りないから作成してくれって言われてて……」

「ちょっと待っててくださいね」

「はい」


 受付の横に並ぶ棚を少し探すと、なにか出してくる。

 そのあと、受付の端末でなにか確認している。


「あぁ! それ特に必要ないわよ」

「えっ!?」

「前の街で、カードも必要って言われたのよね?」

「そうです」

「そこのは旧端末なのね。いまはカードなくても認証進化してるからね」

「でも、またほかので言われたりしませんか?」

「いまここの場所で、あなたの場所確保して認証するから、次からわたしの担当に連絡してね。認証端末が(ふる)かったら、ここの場所にログインするとそちらに転送されます」

「え!? そんなことできるんですか」

「任せて! 通行パスの有効化と一緒に作成します」

「こんなできる窓口のかたはじめて!」

「うふふ? もっとほめていいのよ。少しお待ちください」


 ライラリックュスが、いままさに惚れそうな勢いで目を輝かせている。


「わたしウラナイはじめてから窓口不運がおおくて、補助が通らなかったり、回されたり書類返ってきちゃったり、こんな担当のかたいるなんて……」


 感動しているらしい。

 わたしは、あとは要請補助と通行パスがくるまで、業務報告をしなくてはいけない。

 竜契約は、竜と血の契約を交わして、ある約束を通すことと仕事としての事務所のような場所に担当竜を通す契約がある。

 ここの窓口は仕事や業務担当で、特にこの街のはよく話し相手になってくれる。

 ライラリックュスは、あまりいい担当がいなかったのだろうか。


「よかったわ。今度から担当はあのかたね」

「ぜひ!!」


 ライラリックュスの喜びようがすごい。

 余程これまで当たりが悪かったらしい。

 それで、元気がないときがあったのかもしれない。

 サクサクと以前書いた続きの報告書を作成すると、それを端末で送信する。

 ライラリックュスも、すぐに取り掛かるも、なんだか複雑そうで大変だ。

 ようやく「できたわ」と、送信するころには窓口のスタッフが呼んでいた。


「ライラリックュスは、これとこれね」


 端末の認証が書かれている書類と、通行パスの有効化を示すものが出されている。

 ほかにもいくつかウラナイに必要な申請をだすと、次にわたしが呼ばれる。


「はい。あなたにはこれね」


 通行パスの有効化の書類と、要請補助の確認、それに業務報告の完了を説明してくれる。


「ありがとうございます」

「あ、あとこれも追加します」


 もうひとつは、カードくらいの紙だ。

 依頼と書かれている。


「えっ?」

「このあと、依頼されてくれない?」


「あ……はい」

「ははっ! 嫌ならいいのよ」

「いいえ平気です」

「そう? じゃ、休憩時間になったら合流していいかしら」

「はい」


 ライラリックュスもわたしも不思議に感じる。


「なんだろ」

「うん。でも少し待ってみるのがよさそうですね」


 竜職業紹介事務所をでると、事務の娘が合流するまで、少したずねてまわることにする。


「ライラリックュスは、買いものしてる」

「一緒にいきます」

「わかった」


 買いもののいきたい場所と、それに訪ねたい場所があるため、この街のお店を浮かべる。


「この街詳しいんですね」

「うん、よく降りるの。ライラリックュスはお馴染みのはないの」

「ウラナイって、けっこう放浪なんですよ。あまり小さい町だと、リピートはしてくれるけど、それ以上増えないし、広い都会だと今度は埋もれてしまって、新しいひとはくるけど、ライバルのひとたちもいるし」

「ウラナイ師ってそんなにいるの?」

「数としては、ほかのに比べたら少ないかもだけど、都会はすごい集まりますよ。ま、わたしはある特殊なんですけど」

「そうなんだ」


 特殊というのは、わかった気がする。

 通常のなにかありますよ、とか不幸がたくさんというのではない。

 ライラリックュスのは、ひとつの才能で、たぶんだけど先の出来事を "視て" いるのだろうと思わせる。

 少し歩いた先で、目当てのお店があった。


「このお店ですか」

「お店なんだけど、雑貨かしら」


 看板のマークは、ロープにハチの字だ。

 店内に入ると、ガヤガヤとにぎやかだ。

 使い古した小道具や器具が、まず目に入る。


「わぁ! 中古品ですね」

「来ると毎回セールやってるのよね。今度はなにが安いかしら」


 そんなに広くはない店内ではあるものの、

 なにに使うのかよく分からないものから、武器や端末、なかには小さい部品まで並ぶ。


「ひとまわり」

「します!」


 ライラリックュスもこうしたお店は、好きらしい。

 あまり長居はしないように、と思いつつも商品棚や平置きにされている道具類、ケースに入っている端末をゆっくり観てしまう。

 道具を中心にみていたものの、ライラリックュスは小物やバック、ポーチなどを観ている。


「可愛いの好きなの?」

「可愛いのもメタルも、モコモコもです」

「幅広いのね」

「メタルも、モコモコも同類ですよ」


 当然のことのように、そう言われてしまった。


「そっか」


 可愛いの定義は、幅広いらしい。


 ライラリックュスと少し離れたあとも、いくつか実用品を発見する。

 いま利用しているロープは、まだ平気だろうけれど、ヒロスターニャに載せるときに引っ張ってもらう用の鎖は、だいぶ錆びていた。

 工具類はセットにしてあるもので、当分は使えるけれど、ときどき新発売があると目移りしてしまう。

 そのほか、ヒロスターニャのお手入れに使うものはどうかなとか端末は少し旧くなってきてるし、と思い返していると、だんだんと欲しいものがでてきてしまう。


「いけない。買い過ぎちゃうわ」


 なぜか中古品のセールワゴンを漁っていたときになって、ようやく思い出した。

 買うのだけ決めて、細かいものはまた今度必要になってからで、と改めていると、ライラリックュスを発見した。


「ねぇ……」


 声をかけようとすると、かなり真剣だ。

 悩んでいる場所をみると、バックの中古品で、意外にも実用的なものだ。


「これ……あぁ、こっち……」

「可愛いのじゃないんだ?」

「あ……バック、どちらが便利かなって」

「う〜ん、なかに入るもので、だいぶ差があるからね。いまのも可愛いのだよね」

「そうなんです! でも、ウラナイの小物入れるならこっちかな……でも……」

「悩むわね」


「うん。こっち!」


 わたしは、結局古くなってきた鎖の替えと、少しだけ使えるかもというポーチにした。

 お会計を通り外にでると、さきほどの受付カウンターの娘との待ちあわせにもう少しだ。


「先に待ちあわせして、そのあともう一か所ね」

「そうですね」


 待ちあわせは、たしか職業紹介所の近くのカフェだった。

 入ると少しレトロな感じの造りで、でも、なかのスタッフは、テキパキと最新の端末で操作している。


「何名さまですか」

「待ちあわせで、三名です」

「かしこまりました」


 案内されて席につくと、まだ来ていないようだ。


「食事にしては早いわね」

「でも、たぶんお昼休憩なんですよね」


 店内を少しみると、近くだからだろう従業員のような格好のヒトやあきらかになにかの会議をしている様子のヒトたちがいる。


「飲みものだけにするわ」

「わたしは……ケーキセット」

「じゃ、あと温かい紅茶と、コーヒーでお願い」

「かしこまりました」


 忙しく動きまわる店内の様子をみつつ、待つことにする。

 ライラリックュスは、さきほど買ったバックを袋からだして、大切そうに眺めている。


「もしかして、買いものってそれだった?」

「はい! いや、それ以外も欲しいものはあるんだけど」

「そうなんだ」

「でも、いいもの見つけた。ああいうところけっこういくんですか?」

「アンティーク小物とか、作業に必要なのとか、ときどきあるからね」

「へぇ、そっかぁ」


 けっこう気にいったらしいわ。

 アンティークなものとか、好きなのかもしれない。

 少し待つかもしれないと想っていたら、すぐにきた。


「お待たせしました」


 明るい声が聴こえてきて振り向く。

 休憩時間だからだろう。

 さきほどの制服に、上着をかけている。

 少しだけ印象が違う気もする。


「いま来たところよ」

「よかったです」


 どこに座ろうか迷っているのは、二人かけだからだろう。

 店員さんを呼ぶと、近くの席をひとつ使っていいらしい。


「それでなんですけどね」


 まだ飲みものも届かないうちから、話しはじめる。


「あ……はい。依頼ですよね」

「リナミィナといいます。相談からで、もしできればでいいんです」


 ライラリックュスが、ウラナイをしたそうにリナミィナのことをみている。

 あとで聞いてみる気だろう。


「なんでしょう」

「ミラクルミラージュ祭のこと、わかりますか」

「この地域のお祭りですよね。具体的には、あまりなのだけど」

「願いごとを宇宙に届けるというお祭りが、主なものなんですけど、今回は開催できないかもしれないんです」

「それは、なにかあったの?」

「揉めてる最中なんで、あまり大きなことは言えないんですけど……」


 コーヒーが、運ばれてきたからだろう。

 一度中断してしまう。


「ごゆっくりどうぞ」


 ニコッと返しておく。

 リナミィナが、コーヒーをゆっくり混ぜている。

 話し出さないのは、コーヒーのことが気になるわけではなくて、どこから話そうか、決めかねているのだろう。

 あきらめたのか、少し苦笑いしている。


「この地域に住む竜が聴こえないっていうんです」

「聴こえない?」


 ライラリックュスも不思議そうだ。


「はい……空から声がしないというんです」

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