79.初期化
「石です!」
「石!?」
凄く綺麗な石だ!
虹色っぽい感じ!
だけど、これはなんだろう?
「これってなんですか?」
「ああ、東京のどっかのダンジョンで落ちてた石だ! 見たことない石で綺麗だろ?」
確かに、見たことない。
でも、これがB賞かぁ……まぁ綺麗だからいっか!
☆
その後も、私達はダンジョン内屋台を堪能した。
ココロちゃんも新しい刀を手に入れたみたいで、ご機嫌だ。
前の刀とは性能が結構違うみたいだけど、かなり高性能みたい!
「いやああああああああああああああああああああああああああ!!」
!?
ココロちゃん達と話していると、男の人の声が、ダンジョン内に響いた。
なんか、嫌な予感が……。
いやでも! それでも行くしかない!
私達は、声がした方へと走った。
☆
「ひっひいいいいいいいいいいいいいいい!!」
さっきの声の男の人だ。
一体なにが……って!!
目の前には、大きなモンスターがいた。
「あれはオークって奴!?」
二足歩行の豚に似ているモンスターだ。
私もダンジョン内でオークと遭遇したことはあったけど、あんなに大きくなかった。
対して、目の前のオークは5mくらいの大きさがあったし、通常より鋭い牙も生えていた。
豚というより、イノシシ。
そんな感じがした。
「逃げてください! ここは私達がなんとかします!」
私は皆に逃げるように叫んだ。
「ノスウウウウウウウウ!」
オークの目が黄色に光った。
なにが起きるんだろうって思ったけど。
「なにも起きない……?」
なにも起きなかった。
「た、大変だ! ダンジョンの出口が消えてる!」
な、なんだって!
話によると、ダンジョン外へのゲートが今さっき閉じたらしい。
オークの仕業かもしれない!
「オークにそんな能力あるんですか!? ……あのオーク、何かがおかしいです! もしや、特殊個体?」
特殊個体?
ソラちゃんが続ける。
「簡単に言うと、ゲームとかで言う亜種モンスター的な奴です! とにかく、非常に危険です!」
なるほど。
でもどっちみち、このオークを倒すしか無さそうだね!
「ノッス!」
今度はオークの目が赤くなった。
今度はなにするの!?
そして、オークの周囲の空間が揺れて、それはダンジョン内に広まった。
なにが起きたんだろう?
特に体に異常もない。
とりあえず、他になんか変なことされる前に変身だ!
「マジカルチェンジ!」
私は魔法少女の姿へと、変身した。
まずは【バチバチ☆スパーク】で動きを止める!
って、あれ!?
バチバチ☆スパークが使えない!?
「グオオオオオ!?」
おまけに、【テレパシー】が使えない!?
どういうこと!?
もしや、魔法を忘れさせられた!?
「ルカさん、ココロさん! 落ち着いて聞いてください! さっきの攻撃を分析してみたところ、私達のステータスが探索初期に戻されたみたいです!」
「グオオオ!?」
ダンジョンにゲームみたいなステータスは存在しない。
いや、してるかもしれないけど、現時点では確認できていない。
ソラちゃんが言っているのはつまり、今までの戦いで強くなった分がパーになったということだね。
って、マズくない!?
「へっ! けどな! 技の書によって覚えた【技】はそのままみたいだぜ! それに武器とか装備もな! 食らえ! 【スラッシュ】!」
ココロちゃんが新しい刀を振るうと、衝撃波がオークに飛んで行く。
ヒットはしたけど、全然効いてない。
「やっぱ初期状態の私じゃキツイか……!」
ココロちゃん、いっぱい特訓してたもんね……。
「ですが、いいこともあったみたいです! ライム!」
「グルルルァ!」
「ノスゥゥゥゥゥ!?」
ソラちゃんがメカキメラのライムを召喚すると、尻尾ソードでオークを攻撃した!
でも、ライムって戦闘できなくなったんじゃなかったっけ!?
「どうやらライムもテイムした状態に戻されたみたいです!」
なるほど、オークの攻撃によって回復したってことだね!
ライムは仲間にした時から結構強かった。
だから心強い!
って、待てよ!?
私は変身を解除する。
「ソラちゃん、合体だよ! 今だったらできるハズ!」
「確かにそうですね!」
私は再び変身!
「ワオーン!」
ライムが2mくらいの大きさになって、パワードスーツのようにまとわりつく。
合体完了!
力がみなぎる!
「ノッス!」
とその時、オークが唸る。
するとオークの姿が消えた。
一体どこに!?
「ノスウウウウウウウウウ!!」
「グオッ!?」
オークは背後に移動し、私のことをぶん殴ってきた。
私は吹き飛んで、壁にめり込んでしまう。
なに今の!?
動きが速すぎて見えなかった……というか、瞬間移動っぽい!?
「グオ……」
って、そんな場合じゃなかった!
合体が解除された!
マズい!!




