74.バーベキュー
「ウェイッ! カンパーイ!」
「ウェーイッ!!」
見知らぬ探索者がそう叫ぶと、皆がそれに続いてカンパイする。
私が地下プールのダンジョンを攻略した、翌日の夕方のことだ。
私は……いや、私達は今バーベキュー的なことをしている。
どこでかって?
それは……海のダンジョンでです!
旅館の近くに海がある。
そして、そこの浜辺にはダンジョンへの入り口がある。
海のダンジョンって言う、そのまんまの名前で呼ばれてるんだけど、そこでバーベキューをしようと、私がトゥイッターで呼びかけたのだ。
ちなみにそこのダンジョンの中身は浜辺そのものといった感じで、モンスターもほとんど生息していない。
まさに、バーベキューにピッタリだね。
そして、夏休みってこともあって、結構多くの人達が集まってくれた!
50人くらいかな?
勿論、ココロちゃん達も一緒だ。
「染みるぅぅぅぅぅぅ!!」
私はコップに入っているコーラを一気飲みして、つい叫んだ。
ちなみにコーラはダンジョン内でも売っている。
ただ、ダンジョン外にある有名なメーカーのものと味は少し違う。
具体的に言うと、ちょっと甘味より酸味が強い感じ?
そしてそして!
今回のメイン……レジェンドドラゴンの肉を焼いて、食べる!
ちなみに生でも問題ない。
ダンジョン内で食べたものって、胃に入った時点で実は消滅するっぽいからね。
満腹感だけは一定時間残る仕組みみたい。
だから、生肉を食べてもお腹は壊さないけど、私は焼いて食べる。
「うん! 鶏肉っぽい! 見た目は牛の肉っぽいけど、味とか食感は鶏肉だ!」
なんだか不思議な感じだ!
でも、凄く美味しい!
タレは色々ある。
今回はラッキーなことに、ダンジョンでシェフをやっている人も来てくれたからね。
野菜とか色々な食材も持ってきてくれた。
「うん! やっぱり王道のタレは美味しい!」
焼肉のタレをダンジョン内で再現したものも分けてくれたので、それにつけて食べるとおなじみの味が感じられた。
そして次に、ソラちゃんとシェフがたった今合同で作った、新作のこのタレを付けて食べる。
「美味しいいいいいいいいいいいい!!」
チョコレートソースをベースに作った焼肉のタレだ。
甘辛さの甘い部分がチョコレートになっていて、これもまた凄く美味しい!
「気に入ってくださってなによりです。他の方からは不評の声が多かった為、販売はしない予定ですので、差し上げます」
「ありがとうございます!」
シェフからレシピも合わせて貰っちゃった!
ラッキー!
そしてその見返りって訳でもないんだけど、レジェンドドラゴンの生肉が欲しいみたいだったから、プレゼントした。
これで料理の幅が広がるって、喜んでくれたから、私としても凄く嬉しい。
「旅館の人にも感謝されたし、なんだかいい気分だね!」
昨日私が探索したダンジョンは配信の時、どこにダンジョンができたかは言わなかった。
けどあの配信の後にすぐ旅館の人がSNSで発信したところ、予約が増えたらしい。
でも、勝手に配信したのは少し悪かったと後になって反省。
基本的にダンジョン内はどこも配信自由になってるけど、一応旅館にできたダンジョンだからね。
今度もし、施設内にダンジョンを第1に探索することがあったら、許可を取ろう。
☆
バーベキューも無事に終了した。
皆飲み物を片手にお喋りしている。
私達はなにをしているかと言うと……。
「ビーチサッカーやろうぜ!」
バーベキュー参加者の1人が言った。
ビーチサッカー!?
ビーチバレーじゃなくて!?
と思ってココロちゃんに訊いたところ、実際にあるらしい。
なるほど、12分間の試合をx3で勝敗を決めるんだね。
人数は5人……よしっ! 覚えた!
「けど、折角のダンジョンでのビーチサッカーだ。特殊ルールを追加しよう!」
ビーチサッカーを提案した人が、そう言った。
特殊ルールって!?




