63.本当なの?
「無駄だ。エラードラゴンはその辺のモンスターと違う。止められずハズがない」
それはどうかな?
うおおおおおおおおおおお!
「グオオオオオオオオオオオ」
私は叫び、そして……。
「なんと! 止めたああああああああああああああああああ!」
審判でもある、運営の人がそう叫んだ。
そう、私はエラードラゴンの技を止めたのだ。
やったね!
「馬鹿な!! あり得ない!! どういうことだ!!」
デス抹茶さんは叫んだ。
今までのクールな雰囲気とは、違った印象を受ける。
「おかしい……エラードラゴンのあの技なら、今ので倒しきれていたハズだ! なのに……!」
計算外って感じなのかな?ってことは、前の私よりも強くなってるってことか!
特訓は無駄じゃなかったってことだね!
そしてその後、互いが攻撃をかわす、あるいはそれを防ぐ。
そしてまた攻撃を放つ。
そんな攻防が繰り広げられた。
エラードラゴンは動きが速かったけれど、その攻撃ですぐに倒されるということもなかった。
つまり、私と相手の能力は、互角だった。
互いのHPゲージは半分を切っていた。
どっちが勝っても、おかしくはない状況だ。
なんだか、ダンジョン探索で一番ピンチかもしれない!
命に関わる勝負だったら怖かったけど、試合だからむしろ燃えるね!
そんなことを考えながら戦っていると。
「な、なるほど……お互いストップしてください!」
えっ!? 運営の人がストップをかけた!?
どうして……?
反則負けになっても嫌なので、私は大人しくしていた。
エラードラゴンはデス抹茶さんの指示で、大人しくなる。
私を睨んでいるので、本当は戦いたいんだなってことが、なんとなくだけど分かる。
運営の人は私達の動きが止まったことを確認すると、続ける。
「申し訳ございません。今私へと、様々な情報が寄せられていまして……」
言いにくそうに、運営の人は続けた。
審判役の若いお姉さんなので、多分無線のようなもので上司的な人から送られてきた内容を話しているだけなのかもしれない。
なんか、悪い内容な気がする。
私のカンが鋭いとかじゃなくて、明らかにそんな雰囲気だ。
言いにくそうに、そのお姉さんが続ける。
「デス抹茶選手……申し訳ないのですが、ちょっとした検査を受けてもらいます」
「え?」
検査?
どういうこと?
「検査って、なんの検査ですか?」
デス抹茶さんも思わず訊く。
「はい。実はですね……」
そこそこ長い話だったので、あまり賢くない私の脳内で簡単にまとめてみた。
どうやらデス抹茶さんは以前から、特殊なアイテムを使って「不正な強化をしているのではないか?」と一部で噂されていたらしい。
ただ、その不正アイテムを使っての強化の成功例はなく、更には証拠も残らないみたい。
けど、アイテムの使用履歴みたいなものを見ることができるアイテムを、この日の為だけに開発した人達がいたみたい。
でも、本当に不正をしたのかな?
「ということです。検査を受けてもらいますよ」
そして、偉そうなおじさん達がやってきて言い放った。
どうやら、この人達も運営の人みたい。
多分あのお姉さんの上司的な人かな?
「証拠もないのに、そんなことをする権利はあるんですか?」
「あります。失礼ですがこのイベントには、多くの協力者がいて成り立っています。ということは、まぁ、タダじゃないということです。そして貴方はそれを無料で利用している立場な訳です」
デス抹茶さんは運営の人に意見を言ったけど、駄目だったみたいだ。
運営の人は虫眼鏡のような物を取り出し、エラードラゴンをレンズ越しに見た。
「使われてますね……“グレートシード”が。そしてそれによる強化も成功しているようです。まさか、成功していた方がいるとは……まことに信じられません」
そうなの!?
「その虫眼鏡。本当にちゃんと効果を発揮しているんですか?」
「はい。何度も検証させていただきました。おかげでここまで時間がかかってしまいましたがね」
「そうなんですか」
諦めちゃっていいの!?
不正してないんでしょ!?
私はテレパシーで、デス抹茶さんに言う。
『やってないなら、やってないって言った方がいいよ!』
だけど、私に対しての返事はなかった。




