43.禁止技
「「「はっ!?」」」
思い出した。
他の2人も、反応からしてそんな感じだ。
そう、このダンジョンは私が破壊したんだった。
衝撃的過ぎて、記憶が飛んでいたみたい。
◇
これは私が漆黒破壊光線を発動した時のことだ。
『必殺! 【漆黒破壊光線】!!』
私は技を発動させた。
すると、私の口に、今まで感じたことのないエネルギーが集まるのが分かった。
「地面が揺れてやがる!」
「ほ、本当です!!」
確かに地面が揺れていた。
もしかして、力を制御できていなかったのかもしれない。
でも、技をキャンセルすることはできなかった。
私の口から、漆黒の極太光線が発射。
私だけでなく、3人共その衝撃で吹き飛ぶ。
私の口から発射された光線は、ダンジョンの壁という壁を貫通し、一直線にダンジョンを破壊。
それだけでなく、ダンジョン全体にダメージがいったみたいで、ダンジョンが崩壊を始めた。
それで、気が付いたらダンジョンの外にあおむけになっていたんだった。
◇
そう、私がダンジョンをぶっ壊したのだ!
「ったく、とんだ破壊力だな」
「そうですね……。まさか、技の威力に耐えられずにダンジョンが消えてしまうとは……」
私も予想外だったよ!
「ルカさん、その技はあまり使わない方がいいかもしれません」
「確かにそうだね……」
これは本当に……ないとは思うけど、誰かの命を救う時とかに使おう。
それだと、事実上の封印になっちゃいそうだけどね。
ダンジョンが崩壊した場合はダンジョン外へと追い出される。
そして、ダンジョン内で死んでしまった場合、2度とダンジョンに入れなくなるだけで、ダンジョン外の体に異常はない。
ただ、痛みは感じるから、精神的なダメージはあるみたいだけど。
ちなみに私の場合は、魔法少女形態に限り、一定以上の痛覚はなぜか無効になっている。
最近は痛覚を消すアイテムとかも出て来ているみたいだし、私が誰かの命を救う時なんてのは、多分来ないだろう。
ダンジョンにダメージを与えず、更には制御できるようになれば、ダンジョン攻略での実用性もあるんだけどね。
練習しようにも、ダンジョンを壊しちゃうからね……。
そう考えると、やっぱり封印するしかないみたいだね。
「それにしても、まさかこんな形でこのダンジョンとお別れすることになるとはな!」
ココロちゃんが笑いながらそう言った。
「そうですね。ここは私達が出会った思い出の場所ですからね」
それを破壊してしまったのは申し訳ないね……。
「うん……ごめん」
「いえ、むしろ貴重なデータをありがとうございます!」
ソラちゃんは私に頭を下げてきた。
「でも、これから撮影しにくくなるなぁ」
ここは不人気ダンジョンで、ほとんど人が来ないダンジョンだった。
けど、そのダンジョンは、さっき消えた。
撮影するにも、作戦会議するにもいい場所だったんだけどなぁ。
「そこに関しまして心配ありません」
ソラちゃんが人差し指を立てて、私達に言った。
「どういうことだ?」
「クランホーム機能って知っていますか?」
「クランホーム機能?」
なんだろう?
「最近裏情報で仕入れたんですけど、どうやら今後そういった物が作成できるアイテムが配布されるようですよ」
裏情報ってどうやって仕入れたんだろう?
ハッキング?
「まぁ、インターネットの掲示板で見ただけなんですけどね」
インターネットの掲示板はそんな情報まで載ってるのかぁ。
「簡単に言いますと、ダンジョン内に部屋を作るアイテムです」
「部屋を?」
「はい。部屋を作って、そこをクランメンバー専用の部屋として使えるようにするみたいです。各クランに1つずつ配られる予定があると書かれていました。鍵みたいなものも付けられますので、勝手に侵入されるということもありません」
なるほど、それなら今後はそこで撮影したりできるね!
「それっていつ配られるの?」
「7月って言ってましたね」
「あー結構先だね。でも、その前にテイマーズグランプリがあるから、丁度いいのかな?」
情報収集とか修行とか色々することはありそうだしね。
チャンピオンも強そうだし、私も油断できない!
「ライバル……ですね!」
「!!」
そうだった!
ソラちゃんも、ライムとテイマーズグランプリに出るんだった!
「優勝できるかは分かりませんが、いける所まで行って見せますよ!」
ソラちゃんは腕を組む。
そんなソラちゃんにココロちゃんが言う。
「こっちこそ望むところだぜ!」
燃えてきたね。
これで師匠以外、私達のクランは全員、テイマーズグランプリに参加することになったね。
「って言っても、仲良くやろうね! お互いの手の内はさらさない条件付きで!」
とは言っても私の戦術は今の所全部バレちゃっているんだけどね。
基本私、配信とかで特定に繋がる情報以外はオープンだから。
「じゃあよ、今日は遅いから明日の放課後、誰かん家集合してチャンピオンの動画見ないか? それで対策でも考えようぜ!」
「そうですね。私もしばらく見ていませんからね」
明日の放課後、私達はチャンピオンの戦いぶりを、動画で見ることにした。




