二日目 夢追い人失格
店に入るとすぐに店員に案内され、半個室のテーブル席に俺たちは向かい合う形で座った。俺が入り口側を選び、森を上座へと座らせた。互いにビールを注文し、森が料理を適当に選んでいく。注文を確認し終えた店員がその場を去ると、フッと緩和したような沈黙が流れた。
「ぶんちゃんってさ、まだタバコ吸うの?」
彼のその言い方は、どこか彼自身タバコをやめた様な言い方に聞こえた。
「吸うよ。きみは?」
「うん。吸うよ」
そう言って彼はタバコを取り出し卓上へと置いた。俺はなぜか安心した気持ちになった。
「喫煙所は入り口のところらしいからさ。また後で吸いに行こう」
「うん」
俺は短く返事をする。すると店員がビールを運んできた。
「お疲れ様」
「お疲れ」
軽くジョッキを小突き合わせて、乾杯。本当に、何年振りだろうか。
「ぶんちゃん、今は何してんの?」
開口一番、彼はそう言った。たぶん、仕事の事を聞かれているのだろう。彼はサラリーマン。実にサラリーマンらしい質問に思えた。
そして、若干の不安を心に抱えながら、俺は出来るだけ“何気ない様子”を演じながら、なるべくシンプルに答えた。
「親の工場で働いている」
と、俺は答えた。
その時、俺がそう答えた時、俺は“無意識的”に彼のその反応を見逃さなかった――
彼は一瞬だけど、たしかにフッ――と嗤った。なんの“嗤い”なのかは分からなかったが、その理由はなんとなく容易に想像がついてしまった。
「まあでも……ストレスフリーな環境で働けているんならそれに越したことはないよ」
彼は真顔でそう切り返した。その声音と表情は、本心から俺を羨んでいるように見えた。そう、見えた。しかし、彼はさきほど、たしかに俺を、鼻で嗤った。
彼の頭の中が透けて見えてしまうことに、俺はやるせなさを感じた。俺もつい数年前まで、彼と“同じ側”の人間だった。ホワイトカラーのスーツを着て、パソコンを触っていた。だから彼がすぐに俺を羨む様にしてそう切り返してきた本当の意図を、俺はどうしても汲み取れてしまうのだ。
「今日はよく来てくれたね」
俺がそう言うと、森は『いやいや……』と言いながら手を振った。
それはそうとして、こちらからも聞きたいことがひとつある。俺はまずそれを聞かずにはいられなかった。
「俺、てっきり森に嫌われているもんだと思っていたからさ」
彼は呆れたように小さく噴き出した。
「別にぶんちゃんの事は嫌いじゃないよ。好きか嫌いかで言うと、好きだよ――」
――『ぎりぎりね』と、森は付け加えた。照れ隠しでそう言ったのだろうか? はたまた本当にギリギリ嫌われていないだけなのだろうか? ――少しだけ、不安になった。
だとしたら、ここ数年間、俺に塩対応をしていた理由は、やはり仕事の関係だったのだろうか?
「会社……楽しい?」
俺は身を乗り出し、心底心配そうにそう尋ねた。
「楽しいわけないじゃん」
ビールを煽り、ため息を吐く森。
俺はそんな彼の姿を、やっと真正面からちゃんと眺めた……
彼は、カッコ良くなった――悪い意味で。
学生臭が抜けていない純粋なバカ面だったあの頃の顔とは大違いだった。顔が変わったわけでは無い。彼の顔は、ほんのわずかに彫が深くなっており、しかしそのシワから何とも言えぬ心の“ダーク”が滲みだしているように見えた。彼はカッコ良くなった――悪い意味で。
そしてその後も、俺達は互いの近況報告をやりあった。――とは言っても、そのほとんどは俺が森の話を聞く形になっていたが(実際この時の俺は、出来る限り彼に話をさせるように努めていた)。
一言でいうと、俺と森の話は一切かみ合っていなかった。会話中、俺はつねに希望を語った。一方、彼はつねに愚痴を語った――
「この前会社で忘年会があったんだよ。会社の中でやったんだけどさ……」
「会社の中でやったのかい⁉ それは楽しそうだね!お泊り会みたいでさぞテンションも上がったろう!」
「んなわけねーじゃん。俺なんか一番下っ端だからさ、常に部長と課長の酒が空いてないか確かめて、『“あれ”が欲しい』なんて言われたらすぐ外まで行って買いに行かなきゃなんねーんだぞ?」
「でも、それだときみが楽しくないだろう?」
「だから楽しくないって言ってんじゃん!アイツ等だけ楽しむだけ楽しんで俺達下っ端は走り回らなきゃなんねーの!」
「そんなことないんじゃないか? だって、部長さんとか課長さんも……全員が楽しんでないと、きっと楽しくは無いだろう」
「そんな人格を持った人間がウチの役職者にいるわけないだろうが」
「……そんなもんなのか?」
言いながら、俺はふと自分自身が口にしている事に対してハッとなった。たぶんつい二年前までの、サラリーマンをやっていた時の俺であれば、俺は決してこんなことを口走ってはいなかっただろう。いつの間にか俺の心は、だいぶ綺麗に洗濯されていたらしい。
「でもさ、良い話もあるんだよ」
今度は彼の表情がパッと明るくなった。俺は期待を込めて続きを待った。
「今度さ、ウチの部署に女の子の後輩が異動してくんだって」
「ほう!」
「26歳らしい!一個下だよ!」
「いや、2個下だね、26歳は」
俺は素早く訂正した。しかし彼は引き下がらなかった。
「一個下だよ」
森に冷静に指摘されて、俺はやっと思い出した。
「あ、ああ!そうだった。きみはまだ27歳だったか。たまに忘れるよ」
「まあいいや。それでさ、この前社内メールでその子の顔写真を見たんだけど……結構可愛かったのよ!」
「ほう!ほうほう……」
「それで今度その子がウチに来たら、俺がその子を教育する事になってるからさ。もし分からない所とかがあったら、俺がカッコよく教えてあげるんだよ!」
森は心底楽しみなようで、無邪気に顔をくしゃくしゃにしている。
「ほうほう……」
俺は正直、心の底から、どうでもよかった。俺はふと無意識に、すっきりと冷たくなった頭で、いま目の前に座るこの人物を客観的視点で眺めだした。
まるで一人称の自分とは違う視点――たとえば俺の背後に設置されたカメラによって、この人物を観察する様に、俺はただ機械的に彼を見定めた。そうするとふいに、目の前のその男がただの“動くたんぱく質”のように思えてきた。
彼にとって、人生とはなんなのだろうか?
ふと、そんなことを考えてしまった。するとなぜか、俺はふと遠い過去の記憶を思いだしていた。
ーー中学三年生の時、俺と同い年のある女子が、地べたを這いずりまわる虫たちを見てこう言ったのを覚えている。
『虫って、生きてて楽しいんかな?』
嗤いながら、彼女はそう言っていた。その時、俺は幼稚な道徳心を心に燃やし、彼女に対して腹を立てたのを覚えている。可哀想じゃないかーーと。虫も一生懸命生きているんだぞーーと。あのときの俺は、本当に幼稚だった。だから大人になった今の俺の考えは、違う。可哀想なのは、俺たち人間も一緒だ。毎日同じ場所を行き来し、毎日同じことを繰り返し、何の冒険も無く、そして彼らの言う成長的喜びと言えば、『収入・地位』くらいなものか。
だから人は常に他人の仕事を気にしている。
他人と会えば、何の仕事をしているのかを聞き、収入・社会的地位が自分よりも上であれば羨み、下であれば安堵する。
虫って、生きてて楽しいものだろうか――
かつて“そちら側”だった俺は、いま目の前にいるこの男をそんな目で見ている。
そしてさらに言うなれば、たぶんそういう俺も、“虫”なんだろう。
井の中の蛙は大海を知らず――ゆえに窮屈さなんて感じない。たぶん、この目の前の虫から見れば、きっと俺の方こそ虫に見えているのだろう。
「俺はさ――」
俺は思い切って、“希望”を語ってみる事にした。
「小説を書いているんだ」
「……」
彼は何も言わずに、ただクスクスと笑った。呆れているのか、バカにしているのか、少なくとも感心しているようには見えなかった。
それもそのはず。俺はちゃんと覚えている、あのときの事を――
俺がまだ会社に居た頃、同期の誰かが退職するという話を森から聞いた。退職理由は、小説家になるため――とのことだった。ちなみに藤岡の事では無い。
その時の森は、ちょうどいま俺に向けている様なクスクスとした笑い声を上げながら、『やめといたほうが良いと思うけどな~』と呟いていた。当時の俺も、それに同感だった。
サラリーマンになると、全ての事を『足し算・引き算』で片付けたくなる。そりゃあそうだ。だって生涯で得られるお金は、全て足し算で算出できる。そして人生を転換するチャンスの回数も、全て引き算で計算できる。
したがって、28歳の俺が、今から小説家を目指すなんて事は、彼らの計算上では不可能な事なのだ。実際、俺もそう思っていた。
だが俺は知っている。この世には掛け算や割り算も存在する。偶然や、数奇なる運命も、この世にはたしかに存在するのだ。
「今はさ。それで月々、3,4万円ほど稼いでいるんだ」
「ホントに⁉」
彼の目の色が変わった。わざわざこんなことを伝えた理由は、彼に“希望”というものを与えてやりたかったのだ。人間、希望があれば生きられる。たとえどんなになっても、どんなに惨めで、どんなに絶望的な人生でも、希望さえあれば生きられるんだ。『ショーシャンクの空に』――俺はふとあの映画を思い出した。
だからいま俺がこの話をしたのも、決して彼に対して見栄を張りたかったからとか、そんな理由では無い。そんな理由ではないはずだ。
それにしても俺は思う。――俺はもう、何人に同じ話をしただろうか? 『小説で数万円を稼いでいる』――というのは“俺自身”からすればすごい話だ。彼からしても凄い話だろう。
だとしてももう、俺の耳には少しばかりタコが出来ていた。まるで人の自慢話を何度も聞かされた時のように、うんざりした気持ちになっていた。
だから俺は他に何か別の“自慢できるもの”を探してはみたものの、俺にはもうなにも無かった。
「へえ~。良いじゃん。クリエイティブな事してるね」
彼はチューハイを飲みながら、そう言った。
本当にそう思っているのだろうか? 本心では、俺が少しばかり上手くいっている事を残念に思っているのでは?
夢を追うなんて事は馬鹿げている。失敗するに決まっている。だから、失敗してほしい。なぜなら、そうでないと自分の生き方が間違っていた事になってしまうから。今までリスクを遠ざけ続け、退屈な単調を受け入れ続けてきた自分が、馬鹿馬鹿しく思えてくるから。
「霜降り明星って、知ってる?」
唐突に、俺は一見、関係の無い話を切り出してみた。
「まあ、知ってるよ」
当然のように頷く森。
「その、霜降り明星の『せいや』っているだろ?」
「うん、ボケ担当の方だよね?」
「あれ、実は高校の時の、俺の同級生なんだ」
「同級生? ……ってことは、同じ高校出身?」
そう聞き返してきた森の反応は予想よりもあっさりとしていた。たぶんこの様子だと、ただ“出身高校が同じだった”だけだと思っているのだろう。
「うん。同級生だよ」
もう一度俺が繰り返して、やっと彼はハッとした様子を見せた。ようやく意味が分かったらしい。
「……マジで⁉」
「同じクラスになった事は無いし、友達……と言えるほど仲も良くなかったけど……」
目を見開いて唸る森。俺がこの話をしたのには、ちゃんと意味がある。
「あの子は、高校の時からお笑い芸人になるのが夢だったんだよ」
「へえ……やっぱそうなんだ……」
「でもさ、俺は無理だと思っていた」
そう。俺も昔は、“他人の夢を嗤う側”の人間だった。
「確かにあの子は面白かった。でも、世の中には面白い人なんてたくさんいるし、その中で売れるだなんて、きっと無理だと思っていた」
しかし、あの子はずっと、ブレなかった。
「俺達が20歳になってからも、ときどき同級生たちへの一斉送信で、俺にも連絡が来たりしたな。『何月何日にどこそこでライブ漫才に出るので、ぜひ来てください』って。行かなかったけど……」
その時の俺は彼を鼻で嗤っていた。『必死に足掻いた所で、どうせ無理なのに』って……心の底では、俺は鼻で嗤っていたんだ。
「そしてね。霜降り明星のM-1優勝を知ったのは、26歳の3月頃だった。ちょうど、俺が会社をうつ病で休んでいるときだった」
「ええ~……あ、そうだね。たしかちょうどそのころだった」
「俺はその当時、ちょうど人生の岐路に立たされていた。会社に残るか、会社を辞めて冒険に出るか、迷っていたんだ。……そんな時に彼の優勝を知ったんだよ。今まで、彼の事を心の中でどんなふうに思っていたか、土下座して謝りたい気持ちになった。そして、その時にこう思ったのを、今でも鮮明に覚えている――『夢は本当に叶うもんなんだ』って」
「だからぶんちゃんも小説家になろうって思ったわけね」
彼はクスクスと笑いながらそう言った。そんなバカにした反応を示すのも、ムリは無い。
だって、こうやって口に出して、言葉にして話してみると、なんともチープな物語に思えた。ひどくありきたりで、誰でも考え付きそうな物語だ。まるで就活面接で新卒学生が話す取り留めも無い自己経験談みたいだ。
『ぼくはこんなのむりだとおもいました。でもだれかがこんなことをしました。すごいなあとおもいました。ぼくもできるとおもいました。だから、ぼくもちょうせんしてみようとおもいました』
でも、それでもたしかに俺は、あの時に運命を感じた。心が湧いた。血が湧いた。勇気が湧いた。そして、考えるのをやめた。清水の舞台から飛び降りる様に――だ。
「でもね、俺に限ってはたぶん、成功なんて出来ないと思う――」
しかし、俺は今までの話をひっくり返す様に、そう言ってのけた。
「一度でも、他人の夢をバカにした人間は、夢を追う資格なんてないんだよ」
「……」
理解しているのか、していないのか、彼は何とも言えない表情でただ目の前にある肴をつまんでいた。たぶん、森にとっては、“異世界”の話に聞こえているのだろう。アニメを見ながらだらだら酒を飲むように、目の前の空想世界の話を片手間に聞きながら、酒を愉しんでいるのだろう。
「神様に見放されるんだ」
『神様』という単語に、森は馬鹿馬鹿しそうに笑った。
「お前まだ中二病こじらせてんのかよ」
彼が急にそんな訳の分からない事を言いだした。中二病と言うのは『自分を特別視』してしまう精神病の事だろう? 当然、俺にはなんら覚えはない。
俺は彼の茶々入れを無視して言葉を続けた。
「だって……虫が良すぎるだろう。そんな奴が成功なんてしちゃあ“正義”がすたる」
自分でも自分が何を言っているのか分からなかった。それは森も同感だったらしい。彼は依然としてニヤニヤしながら、酒を注文しようと店員を呼んでいた。
「実際、成功する人間、才能のある人間というのは、いま自分の打ち込んでいる“それ”を芯から愛せる人なんだよ。彼らからすれば、自分が成功するとかしないとか、そんなのどうだっていいんだ。“それ”に打ち込んでいるだけで幸せ、そんなやつらが、真の成功者、天才というやつなんだよ」
俺は、たぶん違う。
「でも、他人の夢を笑い、そして、笑った相手が成功するところを見てしまった人間は、これから先、いまさら夢を追い始めたって、それは単なる“成功願望”だ。誰かが橋を渡るのを見てから、安全だと確認したうえで後から続く、凡人と何ら変わらないんだよ」
たぶん俺の頭の中には、『もしかしたら、俺もワンチャンイケんじゃね?』みたいな軽い思考が、どこかに必ず存在しているのだと思う。
「さっき、俺が小説でいくらか稼いでると言ったよね?」
「おう」
店員が持ってきたチューハイを受け取りながら森は頷く。
「俺の親友がね、その話を聞いて、『自分も小説を書く』なんてことを言い出したんだ。ちなみに彼は小説なんてものに一切興味が無い」
森は面白おかしそうに笑った。しかし、これに関しては正しい。馬鹿な話だ。
「ちなみに言うと、彼も俺と同じ、他人の夢を笑う性質の人間だった。あと、その時の彼は“てっとり早く稼ぐ”方法を探すのに躍起になっていたね。だから彼は俺のこの話を聞いて、『じゃあ稼げるんなら俺もやろう』と言い出したんだ」
「結果は?」
森はさっきよりも楽しそうに続きを促した。
「すぐにやめたよ。成功、失敗とかじゃない。“やめた”。そして彼はまた俺に、『お前もどうせ無理だからあきらめた方が良い』って言ってきた」
やはり森は、楽しそうに笑った。
「でもね。俺も彼と、同じ人間なのかもしれない。たぶん、俺には夢を追う資格なんてものは無い。だから、いくら努力しても、決して神様が成功を許しちゃくれないと、思う」
世の中の八割がたは、運で出来ている。人間の力ではどうしようもない、運だ。これだけを聞くとさも理不尽に思えるかもしれない。しかし、実を言うと全然理不尽なんかじゃない。神様は、実に平等に、“ふさわしい”人間にだけ運を授けるのだ。
俺の親友は、論外だった。そもそも、努力すらしなかった。恐らくは神様も、彼の姿など見かけすらしなかっただろう。求めないのであれば、与えようがないのだ。
「実際、ぶんちゃんさ。失敗したらどうするつもりなの?」
森がそんなことを聞いてきた。失敗……か。
「失敗とは?」
逆に聞いてやった。
「失敗って……だから……」
彼は口ごもった。
ほら見ろ。過去の俺も含めて、みんなそうだ。みんな失敗、失敗って口々に言うけれど、失敗の定義なんてものは考えてもいない。
そろそろ答えてやろう。
「俺にとって、失敗って言うのは、成功せずに、タイムリミットが来ること」
「タイムリミットって?」
「人生のさ」
「死ぬって事?」
「ああ。老衰で死ぬかもしれない。食う物に困って野垂れ死ぬかもしれない。明日車に撥ねられて死ぬかもしれない。要するに、成功しないまま死ぬってことさ」
「じゃあ、一生涯続けるって事?」
「途中で諦めるのは失敗とは言わない。ただ自分から諦めただけだよ。だから決して、『自分には才能が無かった』だなんてふざけた事を言ってはいけないんだ」
「でも、自分では成功できないと思っているんでしょ?」
「成功できない……というよりかは、成功する資格がないってことかな?」
「それでも続けるってこと?」
「うん。バカだろ?」
「いやいや……」
そう否定した彼の表情はまじめだった。その気持ちしか読み取れなかった。ほんの少し、ほんの少しだけ、俺の本気さを信じてくれたのかもしれない。
俺は、破滅の道を歩んでいる。たぶん、俺は成功できない。入り口で、神様にきっぱりと言われるはずだ。『きみ、夢追うのは勝手だけど……それ、叶わないからね?』と。
それでも、俺は行く。
惨めに失敗する為に、俺は生涯を生きる。
自らの不純な動機に、自ら気が付かないフリをし続け、それでもなお真摯に夢を愛しているフリを続けていれば……
いつかは、そんな俺を許してくれるだろうか?
ねえ、神様?




