第8話 その話乗った!
こちらへ駆けてくる3匹のゴブリン。
連戦だろうと疲れを知らない俺の脳は、こんな状況でも妙に冴えていた。
「これでも喰らいな!」
バックパックから取り出した、緑スライムの粘液瓶。
奴らの足元に、コイツを思い切り投げつける。
「ギャッ!?」
床にぶちまけられた粘液に足を取られたゴブリンどもが派手にすっ転ぶ。
「あばよー!お前ら」
割れたガラスの破片が刺さり奴らが騒いでいる隙に、倒したゴブリンの死体をむんずと掴み一目散に逃走する。
(一体だけなら何とかなるが、ボコる棒の火力じゃ複数相手はキツい)
不意打ちをキメてなお倒すのに5、6発いるのだ。
あの3匹に手間取ってるうちに、さらに仲間を呼ばれたら数の暴力で逆に狩られる。
今日の探索で実感した圧倒的火力不足、こりゃ早急に武器を見直す必要がある。
(う~ん、悩ましい)
大きな木箱に乱雑に積まれた武器の山。
ここは俺が住むエド都市の西端、ハイテイル地区の冒険者街。
新たな武器を買いにやってきた俺は、冒険者から買い取った不用品を売りさばくジャンク屋を訪れていた。
「お」
淡く緑がかった刃を持つダガー。
テープで張られたメモ書きによるとコイツはゴブリンナイフ、ゴブリン種の敵に対し特効があるらしい。
(ゴブリン特化で1000円か……これを高いとみるか、安いとみるか)
「おい、そいつはやめといたほうがいいぞハジメ」
「んお!?って、なんだゴウか。驚かすなよ」
急にガシッと肩を掴まれ、オヤジ狩りかと思ったじゃねぇか。
「ハハハすまんすまん、珍しい場所でお前さんを見かけたもんでな」
スキンヘッドの筋肉達磨。
どう見ても堅気には見えないこの大男は後藤ゴウ、高校・大学と共に過ごした俺の親友だ。
外見のせいで勘違いされやすいが優しい男で、美人の奥さんと二人の子がいるいい父親だ。
B等級冒険者のゴウは、俺なんかと違いめちゃくちゃ忙しいのでこうして直接顔を合わせるのも久しぶりだ。
「お前こそ珍しいじゃねぇかこんな時間に。ここに居るってことはこの前話してた遠征は上手くいったのか?」
「ああなんとかな。と、立ち話もなんだし久しぶりにどうだ?」
くいっとお猪口を傾けるあの仕草。
コイツ、真昼間から飲む気かよ。
「その話乗った!」




