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スキル『疲れにくい』だけの自認低スぺおじさん、自宅に出来たダンジョンにひたすら潜り続けていたら国家指定S級戦力になっていた件  作者: 猫鍋まるい


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第3話 初勝利

 光りツムリのように時たま中立的だったり友好的なのもいるが、ダンジョンの中に発生する生き物は基本人を襲うような凶暴なやつが多い。


 だから俺たちは奴らをモンスターや怪物なんて呼ぶわけだが。


「……さっそくお出ましか」


 ゆっくりとした動きでこちらへ近づいてくる粘液状の生き物、緑スライム。


 こいつは教科書に載ってるレベルで有名なモンスターなので、一目見ただけで俺にも分かった。


(たしかあのヌチャヌチャした身体のおかげで、物理攻撃に多少の耐性があるんだったか)


 でも関係ない。緑スライムに有効な火や雷といった属性攻撃の代表格といえば『魔法』だが、俺は魔法が使えるようになるスキルがないし、肉弾戦でやるっきゃないわけだ。


「おらー!!覚悟ーッ!!」


 大声で自分を鼓舞し、緑スライムを蹴り上げる。


 一見、触れたらヤバそうな色をしている緑スライムだがこいつはモンスターの中でも最弱レベルなので毒もないし仮に素肌が触れたとしても問題ない。


 俺の必殺、おっさんキックが炸裂し緑スライムの体がベチャッと平らになった。


(今だ……!)


 粘液状の体が伸び広がったことで、緑スライムの弱点である丸いコアの位置がハッキリ目視で確認できた。


「ふんぬッ!!」


 ボカンと一発、上からボコる棒を振り下ろす。


 すると、コアを思い切り叩かれた緑スライムはその場で膨張し弾け飛んだ。


「やった、やったぞー!!」


 最弱の緑スライムとはいえ、初勝利は初勝利だ。


 飛び散った粘液のせいでズボンが汚れちまったが、そんなことどーでもいいと思えるくらいこの手でモンスターを倒せたことに興奮していた。




「おっと、そうだそうだ」


 せっかく倒したんだし素材を回収しないとな。


「どれどれ……」


 スマホを取り出し、YouTu-ne(ユーチューーン)のアプリを開いて、初心者向け素材回収動画を確認する。


『はーいユイナだよー☆今日は初心者向けダンジョンによく出るモンスターの素材回収のやり方を教えてあげるねー☆』


 いや違うぞ、たまたま上の方にこの動画があっただけで俺は決してやましい気持ちでこの動画を開いたわけじゃないからな。


(って、ホタルがいるわけでもないのになに一人で言い訳してんだか)


 昔から何故か俺がこういう動画を見てると怒っていたので、ホタルがこの場に居たら確実に罵倒されてただろう。


 が、ここは非公開ダンジョン。


 いくら家族ぐるみの付き合いで合鍵まで持ってるホタルであっても、このダンジョンには入ってこれまい、まあそもそもホタルは冒険者手帳を持ってないしな。


「ええとまずは、コアを二つに割って……」


 動画を見ながら緑スライムのコアを安価な解体用ナイフで切り裂くと、中から小さな石が出てきた。


「これが魔石か」


 なんの色もないガラスのような透明な石。


 これは無色魔石といい、緑スライムのような属性魔力を持たないモンスターから採れる素材だ。


 その後、飛び散った粘液も出来るだけ瓶に詰め回収しておく。


 緑スライムの粘液なんていくらにもならないが、何かと使い道はあるのでこれは自分で使っちまったっていい。


「ま、こんなもんか」


 動画を見ながらやったのとそもそも初心者で手際が悪く、回収しきれなかった粘液がダンジョンの床に染みてしまったが、ダンジョンは死んだモンスターを吸収・分解してくれるので問題ないだろう。


「それにしても」


 粘液の染みで緑に色付いた床をみて、ふと疑問が湧きあがる。


(ダンジョンの床ってこんな感じだったか?)


 他のダンジョンに入ったことがないので、動画などで得た知識になってしまうが。


 普通、ダンジョンの床……というか地面は土のイメージだったんだが。


 俺がいるこのダンジョンの床は白くツルツルしていて人工的というか、端的に言えばダンジョンぽくない。


 それに、白い床にはマス目状に線が引いてあって……ちょうど人一人が立てるくらいの大きさに正方形で仕切られている。


(ま、市役所の人は普通のストーンドアだって言ってたし、そこまで気にしなくていいか)


 一たびダンジョンのドアを潜ればそこは別世界。


 シルバードアやゴールドアの話だが、ダンジョンの中に街や城があったりすることもあるみたいだし、俺ん家に出来たダンジョンがたまたま風変わりな見た目だったんだろう。

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