第18話 ダレ、その娘?
「あ、帰ってきた。おかえり」
「ただいま……って、なんでいんだよお前は」
クラフトエンチャントによりパワーアップを果たしたショートソードを引っ提げ家に戻ると、また人の留守中に忍び込んだのかホタルがリビングで寛いでいた。
「夕飯のお裾分け、お母さんが煮物作りすぎちゃったからって。もう冷蔵庫に入れといたから」
「おお、何時も悪いな」
あれだけ家事が出来る人がそうそう作りすぎることもないだろうに、小森のおばさんは昔から一人暮らしの俺を気にかけてくれている。
「ん、ハジメ、その剣買ったの?」
「ふっ。いーや、自力で獲ったドロップ品だぜ」
「うーわすっごいドヤ顔。でも凄いじゃん。ハジメ、なんだかんだ冒険者上手くやれてるんだね」
「ああ、自分の才能が恐ろしいぜ……」
「すーぐ調子乗るんだから……あれ?」
「どうかしたか?」
興味深そうにショートソードを眺めていたホタルが、急にくんくんと鼻を鳴らし始めた。
「……ハジメ、なんか臭う」
「え、マジ?」
(おいおい嘘だろ、今日は人に会うから薬で済まさずちゃんと風呂に入ったってのに)
考えたくはないが、まさか加齢臭ってやつか……?と体を嗅いでみるも自分じゃまったく分からない。
「うん、特にこの辺り。ほら、薄っすらだけどチークがついてるし……ハジメ、まさかとは思うけど怪しいお店とかいってないよね?」
や、ヤバい。ホタルさんからとてつもない圧を感じるぜ……!
なんだか分からんが早く誤解を解かないとマズい。
「いやいや、そういう店に昼間っから行くわけな――」
「ふーん」
「――じゃなくて、そもそもそんな店行くわけないだろ、俺が金欠なのはホタルも知ってるだろ?」
「じゃあなんでハジメの服にチークがついてるのかな」
ぐっ、笑顔なのに目がまったく笑っていない。
(チークがついてるっていわれても、チークってたしか化粧に使うもんだよな?そんなもん心当たりは……)
「あ゛」
「あ?」
(あった。絶対そうだ、服に化粧がつくとしたら、アイツに引っ付かれた時しかない……!)
「ご、誤解だホタル!これはヒバナので……!」
「ヒバナ……ダレ、その娘?」




