第19話 カメラでも買うか
「ふーん、鍛冶屋見習い。そっか」
「そうそう、だからやましいことは何もねぇって」
コモン品だったショートソードにクラフトエンチャントを施してもらったことを説明すれば、渋々といった感じでホタルは頷いた。
「まっ、今回はそういうことにしといてあげる」
「ははーありがたやー。って、あの、ホタルさん……。そもそもどうして俺はこんなに詰めらているのでしょうか?」
「ハジメが外でやらしいことしないように見張っておくのが私の役目だからね」
「どんな役目だよ」
「さて、コイツの試し斬りといくか」
何時ものようにホタルを家まで送り届け、俺はピカピカのショートソードを手にダンジョンへとやってきた。
自宅にストーンドアが出現してからまともに寝てない気がするが、今のところ体にガタはきていないのでまだ大丈夫だろう。
「ありゃりゃ、また変わってやがる」
スライムフロアに入ると、すぐに新たな変化に気付いた。
(今度は草か)
緑ブロック・苔ブロック・深緑ブロックに続き、ついに草が生えた草ブロックまで現れ始めた。
「こりゃもう今度、定点カメラでも買って設置しとくか」
出入りする度にどんどん様変わりしていく我が家のダンジョン、この変化を記録するには専用のカメラが必要になるだろう。
「草に関してもちゃんと、マス目を守って生えてるんだな……」
それにしても不思議な光景だ。
(このダンジョンには土も水もないのにどうやって生えてきたんだ?)
「試しに除草してみるか……」
近くを徘徊するスライムどもを蹴散らし安全を確保した後、一先ず1ブロックぶん草を刈ってみた。
「そらッ」
鎌の代わりにショートソードを振るってみたが、流石ダンジョン産、スパッと気持ちよく草を刈ることが出来た。
「やっぱり、か」
上の方の葉を刈ってみて分かったのは、草は深緑のブロックから生えたってことだ。
土があるわけではなく、白い床と同じツルツルした深緑の床からいきなり草が生えてきている。
(根っこも深緑ブロックの表面にくっついてるし、まったくわけが分からないぜ)
「一先ず、これは持って帰るか」
この草ももしかしたら何か使い道があるかもしれない。
床に張り付いた根っこは簡単に剝がせるし、次からは剣で刈らずに手で引っぺがしたほうがいいだろう。




