第14話 クラフトエンチャント
「で、結局。赤井さんは俺に何の用だったんだ?武器がどうとかいっていたが」
「あははヒバナでいいって、赤井だと師匠と被るからさ。あたしもハジメって呼ぶし」
「このバカ弟子、目上の方に失礼だぞ」
「あイタっ!?」
「はは、いいっていいって。俺もその方が呼びやすいしな」
師匠と同じ赤井の苗字か。
けど、二人は親子ではない筈だ。
鬼人族の血は強いためヒバナがアヤカさんの娘なら、ぱっと見で分かるからだ。
画師や鍛冶師の中には今でも画号や名乗りを弟子に譲る者もいるが、ヒバナはまだ見習いだしな……。
(となると、なにか訳ありか)
まあ、ただの偶然って可能性もあるが。
「へへっ、ありがとなハジメ」
「まったく、お前という奴は……。それで、どうして忍埼さんに声を掛けたんだ?まあ大方の予想はついているが」
「あたし、クラフトエンチャントの練習がしたくてさ。けど、練習するにももととなるダンジョン産の装備がいるし。そこで思いついたわけ、冒険者に声を掛けて装備をクラフトエンチャントさせてもらおうって」
クラフトエンチャント、たしか装備を再構築し新たに特殊能力を付与するクラフト系スキルだったな。
「それで鑑定屋さんの近くをウロウロしてたら、ハジメを見つけたんだよ。外からだったから全部は聞こえなかったけど、ハジメのその剣がコモン品なんだっていうのは分かったし。これだー!って」
「コモン品のショートソードが良かったのか?」
「うん。あたしは見習いだし、失敗して付与されている特殊能力がもとより悪いものに置き換わっちゃう可能性もあるからさ。その点、特殊効果がないコモン品ならどんなに結果になってもプラスしかないでしょ?」
「なるほど、考えたな」
ヒバナにとってはレアな装備をダメにしてしまうリスクが無くなるし、ジャンク屋などでダンジョン産の装備を仕入れる必要もなくなる。
一方、声を掛けてもらった冒険者からしてもコモン品が能力持ちに化けて嬉しいわけだ。
まさにWin-Winってやつだな。
「ん?というかその話だと、鑑定屋からずっと俺を付けてきてたのか?」
「あ、あはは……なかなか声を掛けるタイミングが見つからなくてさ。いざ声を掛けようと思ったら緊張しちゃって」
(なるほど、それであんなキマった目をしていたわけか)
「それで……どうかな?ハジメの武器、あたしに打たせてくれない?」




