第10話 ありゃなんだ?
ゴウのアドバイスは目から鱗だった。
仕事柄冒険者手帳を持っていただけで、ダンジョンに関してはつい先日までずぶの素人だった俺のイメージではダンジョン産の装備といえば宝箱から入手するか、ボスと呼ばれる強力なモンスターが稀に落とすだけだと思っていたが。
(まさかどんなモンスターでも装備を落とす可能性があるとはな……)
つまりあの緑スライムですら、根気よく倒していればいつかは装備を落とすってわけだ。
「こいつは面白くなってきたぜ……!」
昔から何かをコツコツとやるのは得意だ。
何せ疲れにくいからな、集中力も途切れない。
楽しいひと時を過ごしゴウと別れた後、結局俺は武器を買わずにそのまま家に戻ってきた。
「さーてそろそろ行きますか」
納品用アイテムの梱包作業を済ませ酔いも醒めてきた、今夜はここからひたすらスライム狩りだ。
ゴブリン相手は火力不足でも、緑スライムはサクサク倒せる。
なら、最初のフロアをひたすら回って装備を整えればいい。
「緑スライム……と、ありゃなんだ?」
頼れる二つの薬をキメ、ボコる棒片手にダンジョンへ突入すれば。
見慣れた黄緑色のスライムたちに交じって、なんだか様子が違うスライムがいた。
スマホのズーム機能で遠方から様子を探ると体は濃い緑色、最大の特徴は体の表面に苔が生えていることだ。
(ほぉ、アイツは苔スライムっていうのか……なんというか、そのまんまだな)
画像検索機能を使い軽く情報を調べると、奴らの体表に生える苔には解毒作用があり、低級解毒ポーションの材料に使われているらしい。
「でも苔スライムがなんで急に……ん?」
苔スライムに気を取られ暫く気付かなかったが、ダンジョンの床にも新たな変化が起きていた。
(あそこも、向こうも……何か所か苔むしてやがる)
もしやと思い、ライブラリーから前に撮影した床の写真を引っ張り出せば。
「ビンゴ」
予想通り、緑に変色したマスの一部が苔ブロックに変わっていることが分かった。
「って、おいおいアイツら……床に生えた苔を食い始めたぞ」
もしかして、ああやって緑スライムが苔スライムに変化したのか?なんて思いもしたが。
ネットの情報によると苔スライムと緑スライムは別の種類で、緑スライムは割とどこにでも発生するのに対し苔スライムは水気のあるジメジメした場所で生まれるらしい。
(っていっても、このダンジョンに水気はないしな……)
どうして苔スライムがポップしたのかは謎だが、薬の材料になるなら湧いてくれてラッキーって感じだぜ。




