15:覇王、夜叉へ導く。
翌朝。
俺とザフィラは、廃村から北西へ二時間ほど歩いた場所にある『亡者の地下墓地』へ到着していた。
山肌に開いた巨大な石門。
その周囲には、折れた剣や朽ちた防具が無造作に転がっている。
入口の上部に刻まれた髑髏の紋章からは、絶えず黒い霧が流れ出していた。
「……何度見ても、まともな人間が入る場所には見えんな」
「そうか? 推奨レベル40からの普通の中級ダンジョンだぞ」
「この国ではSランク指定の魔境だ!」
この程度でSランクとはほんとに聞いて呆れる……。
世界水準低すぎんだろ……。
この様子だと、レベルカンストなんて誰一人としていないんだろうな。
「ほんと、基準が違いすぎるんだよなぁ……」
俺はメニューを開き、ザフィラへパーティー申請を送る。
『ザフィラをパーティーへ招待しました』
目の前に表示された通知を見て、ザフィラが眉をひそめた。
「これはなんだ?」
「パーティー申請。俺と組めば、近くで倒した敵の経験値がお前にも入る」
「つまり、お前が戦い、私は後ろで見ていろと?」
「最初はな」
「馬鹿にするな。私も戦える」
「昨日まで短剣を使ってた奴が、いきなり大鎌を振り回してアンデッドの群れ相手にまともに戦える訳ねぇだろ。まずは俺の動きを見てろ」
「……命令するな」
「死にたくなきゃ、俺の後についてこい」
不満そうに尻尾を揺らしながらも、ザフィラは申請を承認した。
『ザフィラがパーティーへ参加しました』
にゃーにゃ―文句言わないなら可愛げもあるんだがなぁ。
さて、それはそれとして!
「それじゃ、レベリングを始めるぞ!」
♢
ダンジョン内に入ると、体感温度が少し下がったように感じた。
ここはいつ来ても空気が悪ィんだよなぁ…。
気が滅入りそうだ。
まぁそんなこと言ってても、早く相棒を使いたくてしょうがない俺がいるんだがな!
あの黒猫にも世界最強の戦い方を今のうちに見せておきたい。
初見で見せて、足が止まるようじゃこの先困るからな。
っと、おあつらえ向きの相手が来たじゃねぇの!
通路の奥から、五体のスケルトンが姿を現した。
錆びた剣を引きずり、空洞になった眼窩に青白い炎を灯している。
「来るぞ」
ザフィラが『クロノア』を構えた。
「わぁってるよ、そこで見てろ」
「だから、私も――」
言葉を最後まで聞かず、俺はフィーアを投げた。
四枚の刃が高速で回転し、先頭のスケルトンを両断する。
「『座標転移』」
視界が一瞬で切り替わった。
飛翔するフィーアの持ち手を掴み、そのまま身体を回転させる。
二体目の頭蓋が砕け、返す刃で三体目の胴体を切断。
残った二体が剣を振り上げるより早く、再びフィーアを放る。
「『座標転移』!」
今度は二体の背後。
振り向く暇すら与えず、まとめて刈り取った。
砕けた骨が床へ落ちるまで、十秒もかかっていない。
「……何だ、今のは」
「これが初代覇王の普通だ。ちゃんとこのレベルまでついて来いよ?」
「どこが普通だ!」
一階。二階。三階。
階層を下りるたび、現れるモンスターは増え、強くなっていった。
だが、俺たちの歩みが止まることはない。
フィーアの使い心地を確かめながら、道を塞ぐ敵の群れを殲滅していく。
♢
フィーアが通路を駆け抜ける。
次の瞬間には、リンドウの姿が消えていた。
右。左。頭上。敵の背後。
巨大な投剣の軌道を追うように、リンドウもまた空間を飛び回る。
モンスターたちは、彼の姿を捉えることさえできない。
剣を振り上げたまま首を落とされ、魔術を唱える前に身体を砕かれ、次々と塵へ変わっていく。
私は『クロノア』を握りながら、無意識に息を呑んでいた。
昨日、自分がこの男へ襲いかかったとき。
もし彼が本気であったなら――。
その先を考える必要すらなかった。
しかし当の本人は、
「んー、これこれ!やっぱりフィーアだよなぁ!さっさとヒヒイロカネで強化してぇ!」
と、私の考えの外にいた。
♢
九階層の最奥には、六体の石像が並んでいた。
どれも剣を胸元へ掲げ、正面の巨大な扉を守っている。
「ボスへの道は、あの扉の先か」
「そっちは表ルートだ」
俺は一番左の石像へ近づき、掲げられた剣を逆向きに差し替えた。
続いて右から三番目。
最後に中央の二体を同時に押し込む。
低い振動音とともに、何もなかった床へ紫色の魔法陣が浮かび上がった。
「……こんなところに転移陣が!?」
「普通に進んでたら、一生見つからんよ」
「どうしてお前は知っている!」
「120年前に死ぬほど周回したからだよ」
この隠しルートを発見したのは、レーゼンだったな。
あいつとはよくこのダンジョン一緒に周回したもんだ。
当時はレベルもカンストしてなかったし、装備だって攻略手順だって確立されてなかった。
今となっちゃいい思い出だな。
ここまでの道中だけで、ザフィラのレベルは39まで上がっていた。
推奨レベルより低い状態で、パーティーを組んだ俺が格上のアンデッドを倒し続けた結果だ。
これなら、アノマリー・ロードを倒した時点でレベル40は確実に超える。
「さ、行くぞ」
そう言って黒猫と一緒に転移陣に乗る。
転移先は、巨大な円形の墓室だった。
壁一面を埋める棺。
天井から吊り下げられた無数の骨。
その中央に、黒い法衣を纏った骸骨が浮かんでいる。
頭上にはひび割れた王冠。
眼窩の奥では、紫色の炎が揺れていた。
『『アノマリー・ロード』が出現しました』
「倒し方をこれから見せるから、ちゃんと覚えろよ?お前とあと24人鍛えるんだから。パワーレベリングをするのはお前だけだ。あとは全員が戦えるようになるために、攻略法を覚えろ。」
アノマリー・ロードが杖を掲げる。
足元から黒い魔力が膨れ上がり、無数の亡者が地面を突き破ろうとした。
「遅い遅い!」
俺はフィーアを奴の背後へ投げる。
「『座標転移』」
フィーアのもとへ転移し、空中で持ち手を掴む。
そのまま全体重を乗せ、四枚の刃を背中へ叩き込んだ。
アノマリー・ロードの身体が吹き飛び、墓室の壁へ激突する。
奴が体勢を立て直すより早く、フィーアを手放した。
「『召喚』!」
一度消えた相棒が、再び俺の手へ戻る。
踏み込み、横薙ぎ。再び壁へ叩きつける。
アノマリー・ロードが杖を持ち上げる。
だが、詠唱が始まる前に三撃目。
奴は床へ降りることすらできない。
「……おい」
背後から、ザフィラの呆然とした声が聞こえた。
「なんだ?」
「あれは、本当にダンジョンボスなのか?」
「一応な」
「一応だと!?何故、何もさせずに倒せる!」
「こいつ、詠唱させると強いけどノックバック耐性が極端に低いんだよなぁ」
「そんな弱点を知っていたところで、普通はここまで一方的にならん!」
そんなこと言われても……。
『レムオン』ではこれが普通だった。
ハメれる相手はハメる。
相手のやりたいことをさせずに、自分のしたいことを強引に押し付ける。
どのジャンルのゲームにおいても、これは絶対の勝利方法だ。
例えばカードゲームでも、先攻で妨害札をこれでもかと用意するだろ?
VRでも2Dゲームでも同じだ。
結局は相手を行動不能状態に持っていき、何もさせないままゴリ押す。
これが一番手っ取り早くて強いんだ。
フィーアで転移を繰り返し、ものの数分でロードの核を砕く。
アノマリー・ロードの身体が黒い塵へ変わると同時に、視界の端へ立て続けに通知が流れた。
『ザフィラのレベルが39から45へ上がりました』
『《斥候》がレベル45へ上がりました』
『《狩人》がレベル45へ上がりました』
「おい、レベルが一気に6も上がったぞ!!」
ザフィラが興奮気味に伝えてくる。
『リンドウのレベルが43へ上がりました』
「想定内だ。見てろよ、これからだ」
続いて、見慣れない通知が表示される。
『複合上位職の解放条件を確認しています』
『『斥候』レベル40以上――達成』
『『狩人』レベル40以上――達成』
『『PKカウント100以上』――達成』
100人。
『レムオン』なら、ただの戦績だ。
だが、この世界でその数字が意味するものは違う。
ザフィラは今日まで、少なくとも百人以上の人間を殺してきた。
奴隷商人。騎士。追っ手。
誰かを救うために、その手で奪わなければならなかった命もあったのだろう。
俺はその数字について、何も言わなかった。
『上位職――幽影夜叉が解放されました』
「今、目の前に職業進化の選択肢が出てるだろ」
「……出ている」
「選ぶのはお前だ。俺が決めることじゃない」
ザフィラは『クロノア』を握りしめた。
やがて黄金の瞳に決意を宿し、表示へ手を伸ばす。
「私は、もっと強くなる」
『ザフィラの職業が幽影夜叉へ進化しました』
ロード討伐後に現れた帰還陣で、俺たちは地下墓地の入口へ戻った。
ダンジョンの魔物は、核が破壊されない限り一定時間で再構築される。
入口で水と携帯食を口にしている間にも、内部では倒したアンデッドたちが復活を始めているはずだ。
「さ、それじゃ張り切って二周目行くぞ」
「に、二周目?」
「当たり前だろ、レベル上げは周回が基本だ。今度は表ボスのグールキングを倒す。今回はお前もクロノアを使って戦闘に参加しろ。雑魚戦は手出ししないからそのつもりでな」
「なっ」
「甘えんな」
そう言って黒猫にデコピンをする。
「な、何をする!」とにゃーにゃ―鳴く黒猫を置いて、ダンジョンへと俺は足を向けた。
♢
結論から言うと、雑魚戦は何の問題もなかった。
最初こそ慣れない大鎌に振り回されていたが、コツをつかんだのだろう。
二階層に到達するころにはクロノアを使いこなしていた。
黒猫の戦闘センスはもちろん、上位職である幽影夜叉のジョブ補正によるものだ。
危なげなく九階層も突破し、いよいよグールキングとご対面だ。
「いいか黒猫。流石の俺も初見のボスを一人で倒せなんて鬼畜なことは言わん。どちらかが『スイッチ』と言ったら、前衛と後衛を交代する。お前が前にいるなら俺が出る。俺が前ならお前が出ろ」
「……すいっち?だな。その合図には従おう」
「よし、じゃあ行くぞ!」
俺が最下層へ続く扉を押し開けると、腐りきった空気が一気に流れ込んできた。
「うっ……!」
隣にいた黒猫が鼻を押さえ、露骨に顔をしかめる。
「臭っさ。中身は相変わらずひでぇな、ここは……」
「よく平然としていられるな……」
「昔は臭いまで再現されてなかったからな。俺もできれば帰りたい」
「なら帰ればいいだろう!」
「ボスを倒したあとにな」
巨大な石扉の向こうに広がっていたのは、円形の大広間だった。
天井は高く、壁際には腐敗した死体が山のように積み重なっている。
その中央。
三メートルを超える巨体が、肉を貪りながらこちらへ背を向けていた。
腐り落ちた皮膚。
腹部は異様なほど膨れ上がり、全身から黒緑色の液体が滴っている。
頭には、死体の骨を組み合わせて作ったような歪な王冠。
太い右腕には、巨大な棍棒が握られていた。
『『グールキング』が出現しました』
俺たちの侵入に気づいたグールキングが、ゆっくりと振り返る。
『グォォォォォォォォッ!!』
咆哮だけで空気が震え、腐敗臭を含んだ風が吹き荒れた。
「こいつはさっきのロードみたいに壁ハメできない」
「何故だ?」
「ノックバック無効。怯み耐性も高い。攻撃を当てても、基本的には止まらねぇと思え」
「……それを先に言え!」
「今言っただろ」
グールキングが棍棒を振り上げる。
狙いは俺ではなく、黒猫。
「来るぞ!」
黒猫が『クロノア』を構え、正面から棍棒を受け止めようとする。
「馬鹿! 受けるな!」
「なっ――」
棍棒が振り下ろされる直前、俺はフィーアをザフィラの横へ投げた。
「『座標転移』!」
一瞬でザフィラの前へ移動し、フィーアの刃を棍棒へ斜めに滑らせる。
まともに受ければ、今の俺でも腕ごと潰される。
だから受け止めない。
力の向きを僅かに逸らし、そのまま地面へ叩きつけさせた。
轟音とともに石床が砕ける。
「黒猫、後ろへ回れ!」
「分かった!」
ザフィラがグールキングの側面を駆け抜ける。
「膝を狙え! 大鎌は振り下ろすんじゃねぇ! 引っ掛けて刈れ!」
「注文が多い!」
低く姿勢を落とした黒猫が、身体を回転させる。
『クロノア』の湾曲した刃がグールキングの膝裏へ食い込み、腐肉を深く切り裂いた。
『グガァッ!』
それでもグールキングは倒れない。
傷ついた足を強引に踏み込み、背後のザフィラへ裏拳を振るう。
「スイッチ!」
俺の声に反応し、黒猫が地面を蹴て横へ飛んだ。
入れ替わるようにフィーアを投げ、その軌道上へ転移する。
振り抜かれた腕の内側へ潜り込み、脇腹へ四枚の刃を叩き込んだ。
硬い。
筋肉というより、何層にも重なった死肉の鎧だ。
フィーアの刃が半ばまで食い込んだところで止まる。
『グォォォッ!』
「うおっ!」
グールキングが身体ごと回転した。
刃を引き抜く暇はない。
俺はフィーアから手を離し、床へ転がって棍棒を回避する。
すぐに右手を伸ばす。
「『召喚』!」
巨体へ食い込んでいたフィーアが光となって消え、俺の手へ戻ってくる。
「便利すぎるだろう、その武器!」
「羨ましいだろ? やらんぞ! こいつは俺の相棒だ!」
「いらん!」
グールキングが大きく息を吸い込んだ。
膨れ上がった腹部が、さらに不気味に膨張していく。
「黒猫、離れろ! 毒霧が来る!」
次の瞬間、グールキングの口から黒緑色の霧が吐き出された。
広間を覆い尽くすような腐敗の息。
俺はフィーアを霧の外側へ投げ、すぐに『座標転移』で脱出する。
だが、ザフィラはまだ霧の範囲内にいた。
「黒猫!」
「分かっている!」
黒猫が『クロノア』の石突きを床へ突き立てる。
長い柄を軸にして身体を浮かせ、そのまま大きく旋回。
霧が届く直前、湾曲した刃を床の亀裂へ引っ掛け、その反動で一気に外側へ飛び出した。
ほ~さっき教えたばかりの大鎌の重心を、もう移動にまで使い始めやがった。
流石戦闘経験が豊富なだけあるな。
「上出来だ、黒猫!」
「あとで斬るぞ!」
怒鳴り返す余裕があるなら問題ないな。
毒霧を吐き終えたグールキングが、僅かに前屈みになる。
「今がチャンスだ! 行け!」
「命令するな!」
そう言いながらも、ザフィラは迷わず駆け出した。
地面すれすれまで身体を沈め、グールキングの視界から消えるように巨体の陰へ潜り込む。
『幽影夜叉』へ進化した影響だろう。
動きの鋭さが、二周目へ入った直後とはまるで違う。
無駄な踏み込みが消え、最短距離で敵の死角へ入り込んでいる。
黒猫が傷ついた右膝へ、再び『クロノア』を引っ掛けた。
「はぁぁっ!」
腕だけではない。
腰を捻り、全身の回転と大鎌の重さを乗せて刃を引く。
腐肉と骨がまとめて断ち切られ、グールキングの巨体が大きく傾いた。
『グガァァァッ!』
「そうだ! 大鎌は腕力だけで振るうな! 刃の重さに身体をついていかせろ!」
「戦いながら喋るな! 集中できん!」
「教わる側が贅沢言うんじゃねぇ! やるんだよ!」
片膝を失ったグールキングが、棍棒を横薙ぎに振るう。
「スイッチ!」
今度はザフィラから声が飛んだ。
俺は口元を緩め、フィーアを奴の頭上へ投げる。
「『座標転移』!」
転移と同時に、落下の勢いを乗せてフィーアを王冠へ叩きつけた。
骨で作られた王冠が砕け、グールキングの頭が大きく沈む。
「もう一度だ、ザフィラ!」
「っ……!分かっている!」
ザフィラが後退する。
だが、逃げるためではない。
十分な助走距離を確保するためだ。
グールキングが俺を振り払おうと腕を伸ばす。
俺はフィーアをグールキングの背後にある床へ投げ、その軌道上へ転移して攻撃を回避する。
奴の背後へ着地し、残った膝裏を横薙ぎに斬りつけた。
巨体が完全に均衡を失う。
「今だ!」
ザフィラが石床を蹴った。
黒い外套が大きく翻り、その姿が一瞬だけ床の影へ溶け込んだように見えた。
次の瞬間には、グールキングの懐。
ザフィラは『クロノア』を低く構えたまま、巨体の横を駆け抜ける。
月のような軌跡を描いた刃が、太い首へ深々と食い込んだ。
だが、一撃では断ち切れない。
「止まるな! そのまま回し切れ!」
「言われなくても!」
踏み込んだ足を軸に、ザフィラがさらに身体を回転させる。
大鎌の重みと遠心力が、食い込んだ刃を強引に押し進めた。
「――終わりだ!」
腐った肉と頸骨が断ち切られる。
グールキングの頭部が宙を舞い、遅れて巨体が石床へ倒れ込んだ。
広間全体を揺らすほどの轟音。
頭を失った身体が数度痙攣し、やがて黒い塵となって崩れていく。
『ダンジョンボス『グールキング』を討伐しました』
戦闘終了の通知が表示される。
ザフィラは荒い息を吐きながら、『クロノア』を床へ突き立てた。
「はぁ……はぁ……」
「初めてにしちゃ上出来だな、二重丸くらいはやろう」
「上出来、だと……?」
「大鎌に振り回されるのをやめるまで、思ったより早かった」
「戦闘中ずっと怒鳴られていた気がするが」
「馬鹿言ってんじゃねぇ。指導だよ、指導」
「お前の指導は乱暴すぎる!それに……名前……」
「ん?なんか言ったか?」
「別に…!」
それでも、ザフィラの口元には僅かな笑みが浮かんでいた。
手にした『クロノア』も、もう借り物のようには見えない。
『ザフィラのレベルが48へ上がりました』
『リンドウのレベルが46へ上がりました』
「レベル48……」
ザフィラが目の前の表示を見つめ、呆然と呟く。
「朝は32だったんだよな、私……」
「まだ12も残ってるぞ」
「一日で16も上がれば十分だ!」
俺は体力と魔力の残量を確認する。
まだ半分以上残っている。
時間的にも、そろそろアノマリー・ロードが再構築されている頃だ。
「よし。そろそろロードも復活しただろうし、もう一周行くか?」
「……勘弁してくれ」
ザフィラは『クロノア』を杖代わりにしながら、その場へ崩れるように膝をついた。
お読みいただきありがとうございます。
ここまで読んで「続きが気になる」と思っていただけましたら、
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