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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
下巻・第一章 国王軍、ソワソンからコンピエーニュへ/詩と予言

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下1.5 荒廃した国の悲惨な人々(1)ノエルの声

 (ポワトゥーへ戻る)退路を断たれた国王軍は、ブリー地方へ後退した。

 7日の日曜の朝にはクーロミエに到達し、シャトー=ティエリで再びマルヌ川を渡った。[28] シャルル王はランス市民から「もっと近くまで来てください」と懇願する使者を受け取った。[29] 10日にはラ・フェルテに、11日にはクレピー=アン=ヴァロワにいた。[30]


 ラ・フェルテからクレピーへの行軍中、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは王とともに、ランス大司教と「オルレアンの私生児」卿の間で馬に乗っていた時のことだ。


 民衆が王の前に駆け寄り、「ノエル!(万歳)」と歓声を上げたのを見て、彼女は叫んだ。


「いい人たち! 美しい王が来たことをこれほど喜んでいる人を見たことがありません……」[31]


 ヴァロワとイル・ド・フランスの農民たちは、シャルル王の到来に「ノエル!」と叫んだが、イングランド摂政とブルゴーニュ公が通り過ぎる時も同じように歓声を上げた。


 おそらく彼らは、ジャンヌが思ったほど喜んでいたわけではないだろう。

 もし、この小さな聖女が、彼らの貧しい家の戸口で耳を澄ませば、おそらくこんな声が聞こえたに違いない。


「どうすればいいのだろう? 悪魔にすべてを明け渡そう。俺たちがどうなろうと関係ない。裏切りと悪政のせいで、妻や子供たちを捨てて、野生の獣のように森へ逃げ込まなければならないのだから。このような『不幸な踊り』を強いられてから1年や2年どころか14〜15年経っている。フランスの偉大な貴族のほとんどは剣で殺されるか、告白(懺悔)もできないまま毒殺や裏切りの犠牲となり、ようするに何らかの非業の死を遂げた。キリスト教徒に仕えるよりもサラセン人(異教徒、イスラム教徒)に仕える方がましだろう。悪く生きようと良く生きようと同じことだ。俺たちの力でできる限りの悪事を働こう。殺されるか捕らわれるよりも悪いことは起こり得ないのだから」 [32]



 土地が耕作されていたのは、都市や要塞、城の周辺に限られ、ようするに塔や鐘楼の上から見張り番の目が届く範囲のみだった。


 武装した兵士が近づくと、見張り番は鐘を鳴らすか角笛を吹いて、ぶどうの手入れや畑を耕している農夫に安全な場所へ逃げるよう警告した。

 多くの地域で、警報の鐘が頻繁に鳴らされたため、牛、羊、豚までもが鐘の音を聞くと自発的に隠れ場所へ逃げ込んだ。[33]


 特に、侵入が容易な平野部は、アルマニャック派とイングランド軍によってすべてが破壊されていた。

 ボーヴェ、サンリス、ソワソン、ラオンから少し離れた地域では、畑を休耕させ、かつて耕作地だった土地にはあちこちで低木や下草が生い茂っていた。


——「ノエル! ノエル!」


 ヴァロワ公爵領の全域で、農民たちはひらけた平地を放棄して、森や岩場、採石場などに身を隠していた。[34]


 生計を立てるために、ソワソン近郊のノワイヤンの仕立て屋ジャン・ド・ボンヴァルのようなことをする人も多かった。彼は妻子がいるにもかかわらずブルゴーニュ派の集団に加わり、国中を荒らして回って、略奪を働き、機会があれば教会に避難した人々を焼き払って追い出した。


 ある日、仕立て屋ジャンと仲間たちは穀物2樽を盗んだ。別の日には牛を6〜7頭、また別の日にはヤギと牛を1頭ずつ、また別の日は銀のベルトと手袋と靴を1組ずつ、さらに別の日は外套を作るための布地18エル(約20メートル)を略奪した。


 仕立て屋ジャン・ド・ボンヴァルは、自分の知る限りでは、多くの敬虔な聖職者も同じことをしていると語った。[35]


——「ノエル! ノエル!」

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